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JUGEMテーマ:戯言 藍の沈んだ空におわすあの方は、半身を隠した貴婦人だ。 薄いベールを纏っているから、とてもエロチックだ。膝を抱えていて、懐に顔を埋めていて、物憂げな皮膚だけで夜気を支配している。藍に冷酷さを忍ばせ、優しい気配を輝かせている。 憧れたりする。傅きたいと思う。侵されたいと願ったりもする。現に私は濡れそぼっていたりする。 猥雑な気持ちをもて余しながら、この夜の半月に跪いてみる。
pale asymmetry | 2018.08.22 Wed 22:00
JUGEMテーマ:戯言 青白い眠りから覚めて、青白い服を着る。青白い靴を履いて、青白い傘を差す。 青白い陽光の下を、青白い犬と歩く。青白い足取りで。青白い日差しは、じゃらじゃらとした感じに見える。触れると痣ができそうだ。傘を差してきて良かった。けれど、青白い犬は大喜びでときどき日差しに噛みついたりしている。 青白い夢を見たことを思い出す。青白くて、とても酸味の強い夢だった。発酵していたのかもしれない。あるいは腐敗し始めていたのかもしれない。その夢が、今日という日を青白くし...
pale asymmetry | 2018.08.20 Mon 21:26
JUGEMテーマ:戯言 虎は転がる。コロコロ、ゴロゴロ。前へ前へとでんぐり返し。グルル、グルルと唸りながら。あるいはそれは心地よい笑いにも思えたけれど。 クルクル回り、眼を回す。それでも虎はでんぐり返り。巨体に巻き取り続けるために。何を? それは運命の糸。それは宿命の糸。それは使命の糸。 目眩の中で虎は気づく。どれだけ転がっても、身体に糸は巻きついていない。そんな糸は存在しない。次の世界にしかそれはない。ここは逆さずりの世界だから、経を読め。 それでも虎はでんぐり返る。...
pale asymmetry | 2018.08.17 Fri 22:14
JUGEMテーマ:戯言 突然の雨にうたれる。大粒の雨だ。真ん丸くて暖かい雨だ。真っ直ぐに降臨する雨に全身を捧げる。身体だけではなく心も捧げる。魂も捧げたかったけれど、その方法が解らないので、それは諦める。 こういう雨は愉しい。天空に顔を向けて笑ってみる。息が苦しいけど、それが可笑しい。そういうことをしている自分と、こういう存在を許してくれるこの世界が面白い。 ただ立ち尽くし、私は抱きしめる。雨がもたらす透明な想いを。私の核に還元される祈りに似た想いを。それはとても甘くて、...
pale asymmetry | 2018.08.13 Mon 22:09
JUGEMテーマ:戯言 例えばそれは飛行船だろう。緩やかに空を流れ、留まることはなく、遙かな彼方へと消えていく。例えばそれは列車だろう。巨大な大陸を横断する列車。弾丸のように昼夜を問わずに走り続ける。例えばそれは長距離バスかもしれない。砂埃の中を、屋根の上にまで人と荷物を満載して揺れる乗り合いバスだ。 朝日を浴びるだろう。暑い風に吹かれるだろう。土の匂いを、あるいは潮の匂いに包まれるだろう。夕日に涙するかもしれない。深夜に心を沈ませるかもしれない。月に手を伸ばすだろう。星の群...
pale asymmetry | 2018.08.10 Fri 21:30
JUGEMテーマ:戯言 私は水面を纏う。そして水面はみなもになる。私はみなもに魚をあしらう。そして魚はさかなになる。みなもという素材に、さかなという紋様が取り込まれた。私はそれをドレスに変換して、戯れる。オフショアの疾風と手を繋いで輪舞する。疾風ははやてという機関になって、私を螺旋に上昇させる。そう、私は上昇しなければ。この世界の最後の長距離彗星便に乗るために。 十分にはやてと旋回したあと私は放たれ、赤銅色の隼の背にしがみつく。隼の翼からは銀河が放射され、この世界を飲み込んで...
pale asymmetry | 2018.08.08 Wed 21:31
JUGEMテーマ:戯言 空気がしなやかに沈み込み、雨が落ちてくる。群れをなす雨が、傍若無人に落ちてくる。ベランダの彼女と彼女の描いていた水彩画をあっという間に濡れそぼらせる。水彩画は、ぐちょぐちょに破壊されてしまう。彼女は肩を竦め、けれど心底愉しそうに笑う。 濡れ鼠になって部屋に入ってくると、衣服を全部脱ぎ捨て、私を抱えてベッドにダイブ。そのままの勢いで私の衣服も剥ぎ取り、ベッドの外へと放り投げる。されるがままで、私も笑い出していた。可笑しかったから。彼女の水彩が、とろけてし...
pale asymmetry | 2018.08.01 Wed 21:04
JUGEMテーマ:戯言 Jを追いかけ疾走する。何処までも何処までも全力で走り続ける。それでもその背中は、少しも近づかない。その距離は一向に縮まらない。 Mに追いつかれないように疾走する。いつまでもいつまでも休むことなく逃げ続ける。背中に触れられたら、その瞬間に転倒し二度と走り出すことはできないだろう。 倒れるように走り追いかける。同じように走り逃げる。 私自身が作りだしているのだ、Jとの距離を。私自身が削り取っているのだ、Mとの距離を。それが解っていてもなお、私は走り、追...
pale asymmetry | 2018.07.30 Mon 22:06
JUGEMテーマ:戯言 ロボットは私の全ての毛穴から生まれ、両手に持った旗を小刻みに振る。泥にまみれたロボットは、複雑に滑稽に旗を振る。立方体と直方体だけで形作られたボディを不器用に動かし旗を振る。 信号が誰に放たれているのか、私は知らない。でもこの信号に意味などないのだから、誰が受け取ろうと価値はないだろう。価値がないという価値を、それ故の勝手気ままを放っているのかもしれないな。 ロボットは隊列を作って、行進を始める。旗を振りながら規則正しく歩いて行く。先頭のロボットが...
pale asymmetry | 2018.07.27 Fri 21:49
JUGEMテーマ:戯言 翼を失った鳥は、落下するしかない。四肢を失った獣は、転がるしかない。墜落した鳥はそのまま転がり出すだろうから、結局どちらも転がるのだ。 思考の裾を広げ続ければ、全ての事象がそうだろう。蝕まれる月さえも、やがては転がるのだ。 ベクトルの積層で回転する運動が、この星の未来を雁字搦めに支配する。知性を否定する無慈悲な集積回路が、上っ面だけ思慮深く微笑みながら、「エトピリカとエントロピーの相似性は、エンサイクロペディアを見れば明らかだ」とか宣うのだ。 ...
pale asymmetry | 2018.07.25 Wed 21:29
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