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JUGEMテーマ:戯言 午後はとても長いのに、私にはそれを乗り切るための忍耐がない。頭が重いのだ。頭蓋骨のすぐ内側で、尖った螺子がダンスしている。痛みは跳ね回っているけれど、それが私を打ちのめしているかというとそうでもない。そういうのにはもうすっかり慣れてしまっているから、そんな痛みにひるんだりしない。ただ偽物の眠りが、降り注いでいるのを感じるだけだ。いや、降り注いでいるのではなく芽吹いているのかも知れない。痛みが滑らかに偽物の眠りに変換されて、電子計算機を操る私の指が、その動作...
pale asymmetry | 2021.05.09 Sun 21:12
JUGEMテーマ:戯言 ときどき、翼の幻影を見る。通りを歩いているとき、行き交う人たちの何人かの、その背中から翼が生えているのだ。けれどそれは実体のない幻影の翼だと解る。そこに確かに見えるけれど、そこに存在しない翼なのだと解るのだ。色彩の豊かな翼だ。同じ翼は一つもない。様々な色の組み合わせが、様々な紋様を生み出している。その紋様を纏って、幻影の翼はゆるやかに羽ばたいている。けれどそれは空に舞い上がろうとしているわけではない。何故だか私にはそれが解る。では何のために羽ばたいているの...
pale asymmetry | 2021.05.06 Thu 21:50
JUGEMテーマ:戯言 巨大な翼は飛ぶためのものではなく、泳ぐためのものだ。だからその翼は那由他の微細な鱗で覆われていた。それは奇妙だけど水中で水を弾き、例えば千年水中にあっても濡れることがない翼だ。その翼が何者から生え出ていたのかというと、それは何者からでもない。つまりそれは翼だけで、水中を飛翔するように遊泳していたのだ。あるいはそれは、遊泳していたと表現するには鋭すぎたかも知れない。だから滑空に近い動きだったかも。するとそれは滑泳と表現した方が良いだろうか。それとももっと、イ...
pale asymmetry | 2021.05.03 Mon 21:09
JUGEMテーマ:戯言 地図を燃やす。燃えやすい地図を燃やす。地図というものは元来燃えにくいものだけど、近年ではその傾向がますます強まっていると訊く。それはつまり世界が燃えやすい方向へと、知らず知らずのうちに転がってしまっているからだろうか。いや、誰かは知っていて、それを隠しているのだろうけれど、その誰かは世界を燃えやすく変えたかったのだろうか。 その誰かは、その変化を進化だと考えているのだろうか? その誰かは、次の変換で完全に地図は燃えなくなるだろうと予測しているのだろ...
pale asymmetry | 2021.05.02 Sun 21:38
JUGEMテーマ:戯言 碧瑠璃色の翼を広げた天使は、微笑みながら私の乳房を切り取った。 「大いなる渦は、もう羅針盤に粉みじんに砕かれたのだよ」 碧瑠璃の翼が羽ばたくと、そこから碧瑠璃の風が生まれ、それは神を挑発する古の塔のような螺旋を描いて上昇していった。砕かれることなく、遙かな高みへと。私は痛みに叫び声を発しようとしたけれど、顔全体が仮面で拘束されていたために声が出せない。苦しくて、仮面をディスコードで無理矢理に引き剥がすと、顔が仮面の内側に張り付いたまま外れてしまった。...
pale asymmetry | 2021.04.30 Fri 21:37
JUGEMテーマ:戯言 桃を狩り、桃を食す。ただそれだけの会だった。しかしながら問題なのは、桃はそう簡単に狩らしてはくれないと言うことだ。なにせ動きが半端なくすばしっこい。仮にその動きを把握できたとしても、そのパワーも並大抵のものではない。つまりその桃は、獣なのだ。野獣といった方が正確かも知れない。普段から休むことなく山野を駆け回っている桃だから、疲れも知らない。そんなヤツを相手に狩りをするのだから、並の装備では歯が立たないのだった。 というわけで、参加者は皆モンキースパナを...
pale asymmetry | 2021.04.27 Tue 22:00
JUGEMテーマ:戯言 気がつくと歩幅がひどく短くなっていることってありません? 私はあるんですよ。特に最近は多いです。それって、素顔を見せてないことに起因しているようにも思えるんです。最近、誰も素顔を見せ合わなくなったじゃありませんか。そしてそれが新しいルールなんですよね。距離と共に。だから外出するとき、うっかり素顔で出かけたらもうすぐ戻りますよ。顔の半分を隠さないと、すごく恥ずかしいような気分です。 いつだったか、テレヴィジョンでコメンテーターが、「口を隠さないことは、局...
pale asymmetry | 2021.04.26 Mon 21:41
JUGEMテーマ:戯言 街路樹に咲き乱れる花は、緑青色の鶏だった。全てがそうで、大きな鶏冠を振り乱していた。風が強かったのだ。もちろん鶏冠も緑青色だった。花は輝いていたけれど、鶏冠は艶を持たない質感だった。だから、それは果実なのかも知れないと僕は思った。強い風は真東から吹き降りていて、というのも東側には山があったからだ。その山は風景の東側全域に横たわっていて、そうであるから龍のような山だった。山肌の緑が冷徹な色合いだったからかも知れない。空は薄い灰色で太陽は見当たらなかったけれど...
pale asymmetry | 2021.04.24 Sat 21:25
JUGEMテーマ:戯言 遠いところで減衰していく渦と、私の螺旋は共鳴していない。共振もしていないし、共感だって出来ない。それでも雨を見上げて、何とも言えない眠気を感じながら、一方では際限のない冴えを抱えている自分をやや持て余していたりするのだ。というのも、私は疲れているわけではないのに、どこかで疲れていなければいけないなどという強迫観念に囚われているからだろう。実際には心のほんの表層だけに気怠さを感じたりはしているかも知れないけれど、それ以外の全てが、それは心だけではなく身体も魂...
pale asymmetry | 2021.04.23 Fri 20:59
JUGEMテーマ:戯言 岬の先端から、誰かが叫んでいる。それは西の岬だ。私は東の渚からそれを見つめている。風は立った今南から北に風向を変えた。翻ったというよりは、のたうったという感じに思えた。何者かの攻撃を受けたのかも知れない。それとも、ただの気まぐれか。どちらであっても、どちらでもなくても、風は表情を目まぐるしく変化させながら時の向こうへと吹いていく。それが北でも南でも結局は同じことだ。方角は時間に変換できない。それを気にするのは私だけかも知れないけど。 岬の先端から叫んで...
pale asymmetry | 2021.04.17 Sat 21:31
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