[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
JUGEMテーマ:戯言 丸い部屋だった。真ん丸かと問われれば、そうではないかもしれない。しかし楕円だとも思えないほどには丸かった。ひしゃげていたとしても、地球と同じくらいかそれ以下だろう。部屋の真ん中に、バスタブが置かれている。アイボリーの眉を開いたようなバスタブ。金色の短い脚が支えている。宇宙の果てまで転がっていかないように。短い脚は、聖獣のそれだろう。この宇宙が生まれる前に、この宇宙の卵を抱いて温めた聖獣の。その聖獣は脚を残してどこに行ったのだろう。次の次元に飛び去ったのだろ...
pale asymmetry | 2019.08.31 Sat 22:04
JUGEMテーマ:戯言 少年は飛行機を折る。彼がまだ知らないテクノロジーで生み出されたペーパーで。それがどんなに悪魔的なオーバーテクノロジーのペーパーであったとしても、彼にとっては真っ新な紙だ。彼はそこに自身のイメージの飛行機を宿らせる。とても単純な手順で折り上げた紙飛行機。誰もが思いつく折り方の紙飛行機だ。でも少年はそんなことは知らない。彼にとっては、それは今まで世界に存在しなかったシェイプの飛行機だ。風の中にずっと眠っていて、誰も気づかなかったインフォメーションを密かに拾い上...
pale asymmetry | 2019.08.26 Mon 21:44
JUGEMテーマ:戯言 魔獣を焼き殺す槍が空から降り注ぐ。そんな槍のような陽光が降りそそぐ。私は魔獣だろうか。魔獣的な生命だろうか。魔獣の記号が織り込まれた螺旋を有する知性体だろうか。確かなことはとてもくだらない知性しか所有していないという事実。それでもいつ何時でも暴れ狂う覚悟はあるという秘密。槍に貫かれても傷つかない妄想。グロテスクなくらいにしぶとい妄想。だからこそゴージャスな時間を空回りさせる妄想。 魔獣を忌み嫌う陽光を浴びながら、私は濡れている。汚れすぎているのだおまえ...
pale asymmetry | 2019.08.23 Fri 20:19
JUGEMテーマ:戯言 オーロラという名前の少女が、降り注ぐオーロラに傘をさす。水晶のベルのような傘。妖精が行進するような音が響くベルのような傘。舞踏のような行進が、風の織り目から花弁を散らす様子をイメージせずにはいられない傘。そんな傘をくるくる回しながら、オーロラという名前の少女は、オーロラから身を守る。物語を夢見るために。 「花弁のことを想像してごらん」 誰かが少女を唆す。オーロラという名前の少女は傘を投げ捨て、やわらかく目を閉じる。斜めに顎を上げ、彗星のような気品を醸...
pale asymmetry | 2019.08.21 Wed 21:55
JUGEMテーマ:戯言 あなたが私をはむ。私の臓器をはむ。唾液を滴らせながら、吸い付き、噛み、頬張ったりする。血が流れないのは、喰らっているわけではないからだ。私は、喰らわれても良いと思っているのに。はまれている私は、ただただくすぐったい。ときどき、堪えきれずに声が漏れ出したりする。それは微細な痛みの声なのだけど、歓びの痛みの声だ。痛みが裏返って、そこに歓びが描かれた声だ。その声を聞いて、あなたは笑う。愛おしそうに嘲う。きっとあなたの気持ちも複雑なのだ。私の気持ちがそうであるよう...
pale asymmetry | 2019.08.20 Tue 22:02
JUGEMテーマ:戯言 ここは何処ですか? と問われたらどう答えるだろう。大抵の人は限定されたエリアを意味する記号をチョイスするのではないだろうか。つまりは住所を。もう少しややこしい状況ならどうだろう。例えば国から国へと空を飛んでいて、その途中で不時着してしまって、それが隣の国へと飛んでいたわけではなく、いくつもの国を跨いで飛んでいたとしたら。 そこで最初に出会った人物に「ここは何処ですか?」と問うとき、私はどんな答えを期待しているだろう。あるいはそういう状況で尋ねられた方な...
pale asymmetry | 2019.08.19 Mon 21:34
JUGEMテーマ:戯言 どんなに言語を連ねて説明されていたとしても、実際にその対象を目にしたときに、それまで抱いていた自分の中のイメージと大きく違うことは、ままあることではないかと思える。先日も、友人の奥方と初めて相対する機会があった。それまで、友人から奥方についてのたくさんの言語的フォルムを聞かされていたから、私の内にはかなり明確な彼女のイメージが出来上がっていた。しかし私が目にした彼女の姿はそのイメージから遠く離れていて、驚いてしまったのだ。これは言語の限界だろうか、それとも私...
pale asymmetry | 2019.08.13 Tue 22:22
JUGEMテーマ:戯言 世界で最も忙しい空港の片隅で、私はキャンプしている。快適で、そして不自由この上ない。電源は奪い放題だったから、電子機器はいくらでも使える。世界中のインフォーメーションを手に入れることが出来る。けれど、それに触れることは出来ない。私はこのキャンプ地を離れることが出来ないから。 小さなテントとふかふかの寝袋。持っている家具はそれだけだ。というかテントは家そのものだから、持っている家具は寝袋だけか。日用品や衣類はロッカーに突っ込んであるので、この家にあるもの...
pale asymmetry | 2019.08.06 Tue 22:21
JUGEMテーマ:戯言 「あれがそうだよ」 貴方が指をさす。やわらかく、それでいて毅然と神々の黄昏を告げるように、貴方が指をさす。そこには花、花、そして花。色とりどりの艶やかな花が壁となって私たちの前にそびえている。細かな花たちは、風に揺れている。繊細に、精密に、そして夢見るように。 「どこに?」 私は尋ねる。半ば微睡んでいるような自分の声に少し驚く。いや、私が気づいていないだけで、私は今半覚醒の水面を漂っているのかも知れない。すると貴方もそうなのだろうか。それとも貴方は...
pale asymmetry | 2019.07.30 Tue 22:26
JUGEMテーマ:戯言 不用意に息をすると星を吸い込んでしまうから、なるべく息をしてはいけないよ。とあなたが真剣な顔で言う。その星は長い長い距離を旅している間に、様々な熱量を取り込んで、もうすっかり灼熱のジュエルになってしまっているのだからね。とあなたは私の耳元で囁く。それは貴重な秘密で、大きな声で言ってはいけない事象だったから。 息をするときはね、ブラックホールをイメージするといいよ。その内側にね、事象の地平面の内側に息を入力するように細く吐き、吸うときはね、ホーキング放射...
pale asymmetry | 2019.07.28 Sun 20:46
全1000件中 921 - 930 件表示 (93/100 ページ)