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JUGEMテーマ:戯言 狂暴な陽光の下で透明な色彩が氾濫した水面を飛翔して、時々水面下に色彩のトレジャーを探りに行ったりして、さんざんにはしゃいだあと、私たちは坂の上のパーラーまで駆け上がる。さっきまで抱かれていたやわらかな青を後ろに置き去りにして、斜め上の鋭利な青を目指すように駆け上がる。 南西からの風と暴君な日差しと私たち自身の興奮が、私たちの身体とフィンとシュノーケルとマスクをあっという間に乾かしてしまう。何も奪われてはいないのに、奪われている気分。奪い奪われるのが世界...
pale asymmetry | 2019.06.19 Wed 22:22
JUGEMテーマ:戯言 先生が「雨について語るということを語りなさい」と私に言われる。語ることも難しいのに、語るということを語るなんてもっと難しい。どこからどの様に手を着けて良いのかもさっぱり解らない。思わず言語というものの起源にまで遡らなければいけないのでは、とか思ってしまう。それならいっそ、脳が肥大化した人間そのものの進化の旅を紐解かなければいけないのだろうか、とかも考えてしまう。 困った私は「ヒントを下さい」と先生にお願いをしてみる。「よくよく観察すれば良いのだよ」と先...
pale asymmetry | 2019.06.18 Tue 21:55
JUGEMテーマ:戯言 地下鉄のホームに私は立っている。置き去りにされているのかもしれないし、連れ去られてきたのかもしれないけれど、とにかく佇んでいる。でも確かに立っているのかと問われれば、自信はない。実は僅かに、例えはほんの数ミクロンほど浮いているかもしれない。私は眠くて、その辺りがはっきりとしない。まあ、どちらでも良いと思っているのだ。ホームに足が付いていてもそうでなくても。浮遊しているとしても、固定されているとしても。溶解されているとしても、凝固されているとしても。何しろ本...
pale asymmetry | 2019.06.15 Sat 21:14
JUGEMテーマ:戯言 目覚めると、後頭部がとても痛かった。隕石が落下して、生命の大量絶滅が起こっているのではと思えるほどに痛かった。死滅した恐竜の魂が、マグマになって渦巻いているのではと思えるくらいに痛かった。そのマグマが人型に固まり、猛々しい巨人になって大地を踏みならしているのではと思えるほどに痛かった。 バスルームに行き顔を洗い、鏡で確認してみる。おそらく頭蓋骨の後部が割れていて、後頭葉の一部がこぼれ出ているのだろうと思って鏡を覗いてみたけれど、そういうことは起こってい...
pale asymmetry | 2019.06.13 Thu 22:06
JUGEMテーマ:戯言 号泣するとひどく体力を消耗する。例えそれが夢の中であったとしても。そうしてへとへとになることで、ようやく私は夢を脱ぎ捨てて、眠るためだけのの眠りへと落ちることができるのだ。全身を弛緩させて、気持ちも弛緩させて、ひたすらに沈むことが出来るのだ。 貴方を失ってから、私はそんな風にしか眠れない。いっそのこと私自身さえも失ってしまいたいのに、そうすることができない。臆病者の自分が嫌になる。嫌になりながら、私の身体は日々を刻んでいる。貴方の知らない時間が、私に蓄...
pale asymmetry | 2019.06.11 Tue 21:29
JUGEMテーマ:戯言 未明の雷鳴は、深海からの誘いだったかもしれない。刻が迫っていて、次の世界に進みたいのならば、そこにいてはいけないというメッセージを込めた。つまりこの世界は、少なからず不埒な方向へと進んでいるのかも。そういう時間軸に足を踏み入れてから、もうどのくらい進んでしまっているのか。 解除できないスイッチはもういくつもいくつも起動されているはずだ。防護服に身を包み、汚染されきったストリートでどれだけ目を見開いて待ち構えても、透明なバスの通過を見極めることは出来ず、...
pale asymmetry | 2019.06.03 Mon 19:54
JUGEMテーマ:戯言 私の母は、敬虔なランガリアンだ。いつなんどきでもランガリアを身につけている。入浴中でも睡眠中でも、酩酊中でも不倫相手との性交中でも。おそらく死んだあとでも彼女がランガリアを手放すことはないだろう。ランガリアをとてもやっかいなものだと考えている父が、棺からランガリアを取り出そうとしてもきっと成功しないだろう。たぶん安らかな表情をしていた母が急に顔を顰めて、「私の好きにさせて」とか叫んで父からランガリアを奪い取るだろう。そうして父は諦めるしかないだろう。「何だ...
pale asymmetry | 2019.05.23 Thu 20:37
JUGEMテーマ:戯言 四角いテーブルは白と黒の市松模様、つまりそれはチェス盤を模していた。しかしながら盤自体は巨大で、格子の数も遙かに多い。だからそれはきっと銀河なのだろう。そうでないのなら銀河の影なのだろう。つまり一つ次元が省かれているのだ。そのことによってシンプルにシンボライズされているはずなのに、その盤卓は唯々不気味なだけだった。 部屋の照明が貧弱すぎるせいであろうか。それとも私の心が貧弱すぎるせいであろうか。 卓である以上、それを囲むように椅子が並べられている。...
pale asymmetry | 2019.05.22 Wed 22:08
JUGEMテーマ:戯言 夜空を静かに横切るのは、実験船だろう。ぎりぎりの宇宙空間を猛スピードで疾駆しているのだろう。船内では今この瞬間にも、膨大な実験データが蓄積され解析されているのかもしれない。それが未来の歯車に組み込まれるのか仇なすのかは解らないけど。たとえ仇なす記述であったとしても、その事象には意味があり、それ故に世界に示されなければならないだろう。未来そのものを破壊する宿命を有していてさえも。 実験船は黒い空の一点から滲むように現れ、頼りなさげな直線を描き、黒い空の一...
pale asymmetry | 2019.05.21 Tue 22:37
JUGEMテーマ:戯言 男は古の王で、すでに死んでいた。肉体は隅々まで遥か昔に分解されていたけれど、身体の形を彼は失ってはいない。魂とやらがそれを維持しているのか、精神とやらが回路を走り続けているからなのか、それとも別の、何か私の想像の外側にある記述のせいなのかは解らなかったけど、確かに彼はまだ彼という秩序を纏っていた。局所的ではあったけれど。 それは輝く銀色の素材で出来ていた。金属のようであり、液体のようでもあった。あるいは疾風のようでもあり、囁きのようでもあった。時間や空...
pale asymmetry | 2019.05.15 Wed 22:28
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