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JUGEMテーマ:戯言 生きることは眠ることだと言ったのは、宮殿の玉座で退屈を持て余していた皇帝ではなっかたかしら。それは太古の大帝国で、超大陸に君臨した国家だったような。全ての権力を手に入れた皇帝が、あり得そうもないくだらないものを欲するのはよくある話。おとぎ話の類い。でっち上げの伝説。感動する人はとてもするけど、しない人は苦笑するだけ。でも感動する人が意外と多いと、寝転がって読んでいたりすると怒られたりするのだろう。で、寝落ちの至福を妨害されるのだ。 皇帝の話だった。「眠...
pale asymmetry | 2019.04.20 Sat 21:18
JUGEMテーマ:戯言 「※※が、美し過ぎまして」 申し訳なさそうな顔で、その紳士は言う。ダークスーツに同色の山高帽姿。ネクタイだけは青にも緑にも紫にも見える不思議な色彩をしている。構造色だろうか。 「本当に※※の美しさが邪魔をしてしまうのですよ」 ※※と発するとき、紳士の口元はぐしゃぐしゃに重ねられたシルバーの線の束に隠される。その音は、ノイズでしかない。けれど綺麗なノイズだった。シルバーが似合うノイズだった。偶然に世界の真理に触れてしまった幼子が、独自の言葉でそれを表現して...
pale asymmetry | 2019.04.17 Wed 21:47
JUGEMテーマ:戯言 四角い家だった。立方体の箱だった。コンクリートの色がそのままで、うなだれている感じがした。誰かに叱られたのか、大きな失敗をしたのか、お気に入りの靴下に穴が空いてしまったのか、そんなところだろう。そういう感じで気持ちが白灰色に陰っているのだ。灰色の脳細胞の力でも、その陰りは拭えないのだろう。そんな感じだった。 四角い家には窓が見当たらなかった。ゆっくりと観察しながら一回りしてみると、扉らしきものも見当たらなかった。家ではないのだろうかと思ってもみたけれど...
pale asymmetry | 2019.04.16 Tue 21:38
JUGEMテーマ:戯言 ある日のある瞬間、僕の右手の爪が猫になった。青い目の黒猫だ。青は真夏の真昼の空よりも青く、黒は水浴びをする狡猾なカラスよりも黒い。五匹の猫が僕を見つめる。 「君は、君の奥底のジュエルを磨いているかい?」 その瞳は僕にそんなことを問いかけているようだ。僕には答えられない。僕は僕の奥底のジュエルを知らないから。 ある日のある瞬間、僕の左手の爪が犬になった。金色の目の白い犬だ。その金色は普通の金色で、その白も普通の白色だ。普通すぎて諭されているよう...
pale asymmetry | 2019.04.15 Mon 21:13
JUGEMテーマ:戯言 戒厳令下の都市の奥深く、燈火の欠片も見当たらない真夜中過ぎ、淑やかに沈む闇を揺らすことなく、少女たちは行進する。紫色の軍服の、下半身は丈の短いスカートで、フリルは細かく哲学的で、靴もソックスも胸のリボンも全て紫。けれどそれぞれの紫には若干の相違と個性が見受けられる。切磋琢磨する紫たちだ。 少女たちは肩に傘を担いでいる。長く重く頑丈そうな傘。鮮やかなサフラン色で、スイッチの一押しでしなやかに開く傘だ。その傘はでも機関銃よりも強力な殲滅兵器で、残忍で残酷な...
pale asymmetry | 2019.04.11 Thu 20:44
JUGEMテーマ:戯言 それはたぶん真夜中に前線が通過したりして、暖気から寒気へと空が衣替えをしたりもして、犬と猫が狂喜するような大雨のあと、疾走する風が雲を蹴散らしたりして、星たちが半覚醒の瞬きで怠けるような夜の事象だろう。 小さな小さな彗星が、気まぐれに軌道を離れたりして、この惑星の未成熟な神様と戯れたいと思ったりもして、深い思慮もなしに地上に落下しようとするところを、紅茶の満たされたカップで受け止めたりするのだ、私が。 彗星茶はwonderful。それにincredible...
pale asymmetry | 2019.04.10 Wed 21:58
JUGEMテーマ:戯言 玉虫の宮が傾いている。と彼が指差す。それは明けの明星の方向で、確かに中空に浮かぶ玉虫色の宮殿が見える。どんな魔術かは知らないけれど、そこから私を見下ろしている。それが傾いているのかといえば、私にはそうは見えない。それは地平のラインと調和していて、そこに乱れを感じたりはしなかった。 傾いてなんかいないわよ。と私が指差す。宵の明星の方向を。沈んだ太陽が放ったエメラルドを吸収したかのように、宮殿は不可思議で高貴に輝いている。今夜は月が昇らないでしょうね、と私...
pale asymmetry | 2019.04.09 Tue 21:12
JUGEMテーマ:戯言 ミスタープラネットはツインズだ。「でも実はそんなに似ていないのですよ」と彼は言うけれど、そもそも青白くごつごつしたその頭部が二つ並んでも、違いなどはわからない。その上、二人共にいつも漆黒のタキシードを身に纏っている。さらには片割れの呼び名もミスタープラネットだ。「私の衣装が漆黒なのは、宇宙に果てがあるからなのです」と言う彼が、どちらのミスタープラネットなのかさっぱり解らない。もっとも、そもそもこの二人を見分ける必要などないという意見も多々あるのだけれど。 ...
pale asymmetry | 2019.04.07 Sun 20:22
JUGEMテーマ:戯言 頭蓋骨というものは、大抵隅に潜んでいる。光が当たっていると、人は何故かそこに目を向けることを忘れてしまう。光が当たっていなければ、闇に織り込まれてしまって存在そのものが曖昧になる。曖昧になると、人は気にしないものだ。それを紋様に分解して、背景に組み込んでしまうのだ。頭蓋骨の無常は、そうして事象として成立しなくなるようだ。 しかしまあ私はそういうものを好むので、ついつい隅を探してしまう。慣れると、意外と簡単に見つかるものだ。日中であれば、だいたいハレーシ...
pale asymmetry | 2019.04.05 Fri 20:13
JUGEMテーマ:戯言 「世界は寒いね」と貴方が言う。 「寒いから世界なのよ」と私が答える。 「寒いのは苦手なんだ。寒いと寂しくなってしまうから。そこはかとなく」と貴方は自分自身を抱きしめる。強く、熱を閉じ込めるように。 「寂しくなったら泣けばいいのよ。頬を流れる涙の滴が寒さを取り込み、その一つ一つが世界になるから」と私は貴方の右耳の耳朶を軽く加える。少しだけ、私の熱を貴方にあげるために。 「そうすれば、僕は世界の創造主になってしまうのかな。涙の滴の数だけ、新たな世界を咲か...
pale asymmetry | 2019.04.03 Wed 21:43
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