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JUGEMテーマ:戯言 目が覚めると、左目から涙が出ていた。左目からだけ。右脳だけに悲しみの感情が満ちている、というわけでもないのに。拭っても拭っても涙は止まらなかった。身体中の水分が排出されるまで止まらないのだろうかと考え始めたとき、涙と一緒に傘が出てきた。 最初それは涙の雫と同じくらいの大きさだったけれど、すぐに6センチくらいの長さになった。閉じた傘だった。ターコイズブルーの傘だった。頑なに閉ざされた心のような色だった。 私の頬から浮き上がり、傘は勢いよく開かれた。部...
pale asymmetry | 2018.06.18 Mon 21:41
JUGEMテーマ:戯言 花に埋もれる。色とりどりの花に。甘い香り、酸っぱい香り。ひんやりとさらさらした感触。 花に埋もれて私は祈る。遠い遠い場所で起こった、遠い遠い過去の殺戮に。遠い遠い場所で起こるだろう、遠い遠い未来の虐殺に。その双方で失われる同じ命と魂のために。 花に埋もれて私は祈り、夢を見る。大地から上昇する菫色の煌めき。銀河群のような煌めきが、碧空で昇華し種子となってまた大地に還る夢を。大地は乾いていて、切り裂かれていて、荒んでいるけれど、種子は怯むことなく降り注...
pale asymmetry | 2018.06.11 Mon 21:25
JUGEMテーマ:戯言 嵐が来ればいいのに。嵐が来て、何もかもをめちゃめちゃにすればいいのに。何もかもをめちゃめちゃにして、その本質を吹き飛ばしてしまえばいいのに。 本質が吹き飛ばされて、全ての骨格が意味を成さなくなればいいのに。骨格が意味を成さなくなって、装飾が忌み嫌われればいいのに。装飾が忌み嫌われて、ネイキッドなコネクトがメインストリームになればいいのに。 そうなったところで、私は次の嵐を望むのだろうけど。 でも、嵐が来ればいいにな。
pale asymmetry | 2018.06.08 Fri 21:20
JUGEMテーマ:戯言 鮮やかに青い空は、触れられるのではと感じられるほどに銀色に輝いていた。 でも誰かが言っていたっけ。空は触れられないからこそ綺麗なのだと。 するとこの空は汚いのか。それに触れようとしている私も汚れているのだろうか。 別にかまわないけど。 いや、そもそも私はこの空を綺麗だと思っていただろうか。ただ眩しさに目を細めていただけではなかったか。 あるいは何か別のことを感じていたような気もするし、それではない別の何かに綺麗さを感じていたような気もす...
pale asymmetry | 2018.06.04 Mon 21:41
JUGEMテーマ:戯言 雨が降る。甘い雨、みだれた雨、からまる雨、弛緩させる雨。夜明けから夜更けまで、ずっと雨が降る。 雨だから、私は引きこもる。毛布をにくるまり、思考を止める。雨音に身を委ね、気持ちを溶かして宇宙を沈める。 窓を叩く音。彼が硝子をこづいている。雨に濡れることなく、笑っているような困っているような表情。窓の鍵は空いているのに、彼は部屋に入ってくることはない。窓を開けることが出来ないのだ。彼は幽霊だから。 私は毛布を纏わり付かせたまま、ベッドのオアシスを...
pale asymmetry | 2018.06.01 Fri 21:14
JUGEMテーマ:戯言 ゴテゴテとした装飾が、いつの間にか私の皮膚を締め上げていたりする。痛みという程の痛みもなく、気持ちいいといえないこともない。けれど、重い。ひたすらに重い。きっと私の周りの空間を、鋭く歪めているかも。それはもう特異点のように。 私のなかのハインリヒが、不安を感じている。とても漠然とした不安で、漠然としすぎているためにやわらげることの出来ない不安を。私のなかのハインリヒが電話をかけたがっている。誰彼かまわず電話をかけて、汚い言葉を吐き出したがっている。でも...
pale asymmetry | 2018.05.28 Mon 20:40
JUGEMテーマ:戯言 駒が独楽を回している。その様子を、私はコマ送りで妄想している。細々とした日常ごとに翻弄されながら。 独楽を回している駒は私の頭の奥にあり、駒に回されている独楽は私の胸の奥にある。私を翻弄する細々とした事象が、私に妄想の渦を湧き上がらせ、駒と独楽を結びつける。 駒は回転を生み出し、独楽は回転によって生み出される。 私は、その回転によって少しだけ濡れたりする。ほんの少しだけ。 そんな自分に、困ってしまったりする。 小回りのきかない自分を、持...
pale asymmetry | 2018.05.25 Fri 22:32
JUGEMテーマ:戯言 白い魔物は唯々締め付ける。私は為す術無く唯々締め付けられる。苦しくて息も出来ない。助けを叫ぶけれど、声にならない。私は巻き取られる。ぐるぐると巻き取られ続ける。 あの人がビジネス・トリップで出かけてしまったので、私は悪夢に弄ばれることになる。まだ二晩帰ってこないので、私は寝室の四隅に本を積む。お気に入りの、何度も読み返した本だけを厳選して。 それを端境として、白い魔物を寄せ付けないために。安らかに眠るために。 本を積む...
pale asymmetry | 2018.05.21 Mon 21:18
JUGEMテーマ:戯言 闇の中でテディを抱きしめ、私は丸まる。毛布の深海にひたすら沈み、息を止める。エアーコンディショナーが猛威を振るい、室内は月面の日陰のようだ。沈んでいたと思っていたのに、いつの間にか真逆。衛星まで離脱してしまった。テディと一緒にウサギを探さないといけないのだろうか。そして一緒に跳ねるのかな。それで気分が高揚するかな。 お腹が空いている。かなり、そうとう、くっつくくらい。しかし残念ことに、1ミリも動きたくないのだ。仕方がないので、魂を食べる。まずはテディの...
pale asymmetry | 2018.05.17 Thu 19:33
JUGEMテーマ:戯言 ギシガシとうるさい。身体中から、ギシガシギシガシと。 解っているんだ、稼働限界ギリギリで回転しているから。全てのパーツが不協和音。 潤滑油を流し込んで誤魔化し、ATPを大量生産して騙しているの。 本当は一旦停止して、全てのパーツをばらして磨いて冷まさなければ。稼働の基底を研ぎ澄まさなければ。 今は無理。 もう少しだけ。もう少しだけ回転しよう。そうしたら、前のめりに倒れて、泥に同化して眠り、知性をめったやたらに脱ぎ捨てビショビショの堕落を纏...
pale asymmetry | 2018.05.11 Fri 21:38
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