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JUGEMテーマ:戯言 全ては密かに沈んでいく。叫んでみたところで、声は泡となって消える。私は選択しなければいけない。空気を求めて光に向かうか。それとも真理を求めて闇に向かうか。悩んでいる時間はそんなにはないだろう。何もかもが許されているわけではないのだから。それでも私はオーダーのグレーゾーンをつくように僅かでも猶予を稼がなければ。 厳密さを追求されて糾弾されたとしても、私は沈黙を守るしかない。結局の所密やかに潜降するしかないのだから。どんなに苦しくとも、私が求めているものは...
pale asymmetry | 2023.10.12 Thu 20:31
JUGEMテーマ:戯言 砂が降る。強固な館であったはずなのに。でも私という館は砂でできていたんだ。ビーチで子供らが作るお城のように。さらさらと崩れていく。いずれ形を失い、風に流されるかもしれない。そうして私という館は、その姿を揺らぎの内側に沈めてしまうのだろう。私は逆らえないだろう。私は住人に過ぎない。この館を建てたわけではない。この私という館はいつの間にか建っていたのだ。私を取り囲み、私と世界との間の緩衝材として。 雨は降らない。だから世界は終わらない。あるいはまだ始まって...
pale asymmetry | 2023.10.10 Tue 19:43
JUGEMテーマ:戯言 小さな渦を制御できない自分に少し戸惑う。心が傾いたり、沈んだり、痛んだりするわけではないから、戸惑いはほんの少し。それでも上手に笑えていないことに気づく。微かに歪んでいるはずだ、私の笑顔は。それが周囲に見破られないかとどきどきしてしまう。見破られたからと言って、とくにどうということはないのに。恥ずかしいわけでもなく、苛立つわけでもなく、もちろん争いになるわけでもないのに。 それでも小さな渦はぐるぐると蠢きながら、私の血流に便乗して全身を駆け回ったりして...
pale asymmetry | 2023.10.06 Fri 20:38
JUGEMテーマ:戯言 甘い水に沈む花は夢を見ていない。その水は夢を見るには甘すぎるのだ。だから物語は何処にもない。それは棚引いたりしないし、舞い踊ったりもしない。私は何も見ていない。両目を閉じていたから、私の目は綺麗な闇だけを受け入れていたのだ。光は痛みでしかなく、それに触れることは今は困難だった。私自身は沈んでいるわけではないのに、言語の音節が奇妙に裏返ってしまって、あらゆるものがゲシュタルト崩壊するような気持ち悪さ。吐き戻せれば良いのかもしれない。でもそれも出来ない。今の私...
pale asymmetry | 2023.10.03 Tue 19:03
JUGEMテーマ:戯言 扉を開けば風が止まる。扉を開くから風が止まるんだ。だから扉を閉じる。すると扉の向こう側で風が吹く音が響いているのが聞こえる。けれどその風は私の頬を撫でてはくれない。私の髪を弄んではくれない。堪えきれなくて扉をまた開く。そして風のない世界を見つめて心が重くなる。 薬を飲めば気分が変わるかも。私と世界はもっと上手に繋がれるかも。私の方にも世界の方にも、きっと至らない部分があるんだ。そう思って薬を飲んで吐き戻して、墜落する心を見失う。私は取り残されて、風を求...
pale asymmetry | 2023.09.30 Sat 19:00
JUGEMテーマ:戯言 仕事から自宅に戻り玄関のドアを開けると、そこは一匹の猫で塞がれていた。つまり扉いっぱいの巨大な猫が立ち塞がっていたのだ。三毛猫だった。片方の腕を顔の横に掲げている。いわゆる招き猫のポーズでそこにいた。三毛猫だから雌なのだろうかと考えていると、その猫が野太い声を響かせた。 「月はどっちかね?」 それは、はっきりと人語だった。 「望月は、どっちかね?」 人間ならば恰幅の良い中年男性を連想させる声だった。顔には満面の笑みを浮かべている。猫の表情に詳し...
pale asymmetry | 2023.09.29 Fri 20:51
JUGEMテーマ:戯言 気忙しい犬のように、私は透明な壁を這う。それは垂直にそそり立っているけれど、私は奔放に這い回る。世界は重力に支配されていて、私もその支配からはみ出しているわけではないけれど、それでも一時的にならそのルールの解釈を曲げることが出来るんだ。それが私の特技。誰かに歪められないようにこっそりと発動する。 気忙しい犬ならば、私のことを許してくれるだろう。どんなに世界が荒廃していても、駆け回ることを止められない犬だから、同じように留まることの出来ない私を敵視したり...
pale asymmetry | 2023.09.28 Thu 18:48
JUGEMテーマ:戯言 日傘で作る陰は濃く、北から吹く風の涼は完全に無効化されている。私はペットボトルを頬につけ、額に乗せ、それから口をつけて透明な液体を流し込む。私の身体は淀んでいて、そのくらいの流れでは清浄さを取り戻すことはないけれど、それでもギクシャクしていた心が少なからず滑らかになったような気がした。 私たちはベンチに腰掛けている。それは国道沿いの広い歩道に設置されている。その歩道は国道と海の境界を形作っている。それは結界のようにも思えたし、繕い目のようにも思えた。隣...
pale asymmetry | 2023.09.26 Tue 20:42
JUGEMテーマ:戯言 「八番診察室の前でお待ちください」 そう看護師に告げられて診察室のプレートを確認する。三つ並ぶ診察室のプレートには『7』、『11』、『13』の数字。『8』という数字はどこにも見当たらない。辺りをキョロキョロしても、その三つ以外に診察室はない。よく解らなかったけれど、取り敢えず三つの部屋の前のベンチシートに腰を下ろす。そのシートは過剰に冷たくて、過剰に湿っているように思えた。 「番号札3をお持ちの方どうぞ」 それは僕のことだ。その声は『7』の診察室と『11』の...
pale asymmetry | 2023.09.25 Mon 21:30
JUGEMテーマ:戯言 躓いたわけでもないに、足先に痛みが走る。風が吹き抜けただけなのに、切り傷から血が滴る。それは嘘ではないはずなのに、真実を見失う。お日様に願いたいだけなのに、私はこんがらがっている。河を渡れば全てを知ることが出来るのか。それ以前に私は全てを知りたいのか。どちらも解らないから、踝を血で濡らす。 どこかから雨滴が運ばれてくる。空を隅々まで見回しても黒雲はない。ではこの雫は別の世界から来たのだろうか。それは河の向こう側だろうか。それならこの雨に濡れることで、私...
pale asymmetry | 2023.09.24 Sun 20:58
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