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JUGEMテーマ:戯言 私が犯した罪は、うねりを起こさなかったことだ。起伏をしっかりと捉えていたにもかかわらず、そこに流れを這わさなかったことだ。走り出すはずだった事象を阻害して、表面的な凪だけを優先してしまったことだ。結果として暗黒が滲み出したとしても、私にはそれをどうすることも出来ない。どうすることも出来ないからこそ、それは私の罪なのだ。 取り敢えず眠る。鋭すぎる日差しが私の体力を奪っていたから。エアコンの効いた部屋で、毛布に包まって眠る。夢は即座に噛み砕いて、泥に沈んで...
pale asymmetry | 2023.08.21 Mon 20:37
JUGEMテーマ:戯言 青空を見上げながらシャワーを浴びれば、私の表層に纏わり付く濁りを洗い流せるのではないかと思った。それで、海を見下ろす国道沿いのパーキングで、ポータブルシャワーを浴びてみる。髪も、水着の全身もすっかり濡らしきってから、どうも私の表層はそんなに濁っていないようだと気づく。ではどうして濁っているのではなどと思ってしまったのだろうか。 一筆書きの天使の白日夢を見る。世界は都合良く揺らいで、その揺らぎは凶悪なほどに強く、私はすっかり魅了されてしまう。その天使が短...
pale asymmetry | 2023.08.18 Fri 21:06
JUGEMテーマ:戯言 ヒツジの代わりにキツネを数える。安らかに眠りたいわけではないから。このまま消えてしまっても良いと思う。溶けてしまえたら良いのにと思う。そうならないことは十分に承知しているけれど。痛みを和らげるためにキツネを数えてみるけれど、頭の中のキツネはにへらにへらと笑うばかりで、一向に痛みを和らげてはくれない。裏切られたような気分になる。裏切っているのは私の方なのに。 あなたの手を離してしまったから、こんな風になってしまったのだろうか。いっそのこと気の病に倒れてし...
pale asymmetry | 2023.08.17 Thu 21:40
JUGEMテーマ:戯言 私は別荘に向かって歩いていた。街は多層構造のようで、長閑な田園風景の上に複雑に入り組んだ高架の道路が縦横無尽に走っていた。ちぐはぐな風景だけど、とくに違和感を感じることなく私は歩いていた。道は上り坂で、そろそろ別荘が近づいた頃に上の方から知り合いが歩いてくる。よく見知った人のはずなのに、顔が解らなかった。 「久しぶりですね」 私が手を上げると、相手も手を上げる。 「本当に。こんな所で会うなんて」 相手は嬉しそうに微笑んでいる。顔は解らないままだ...
pale asymmetry | 2023.08.15 Tue 21:14
JUGEMテーマ:戯言 ここではない。突然そう思ってしまった。ここにはもう何もないと。もう私はここで貪り尽くしてしまったということだろうか。だからそんな考えが浮かんでしまったのだろうか。ではもう、ここから旅立たなければいけないのだろうか。でもどこへ向かえば良いのだろう。その標は見当たらない。 そもそも、ここではないどこかなんてあるのだろうか。そういうものは幻想に過ぎないのではないだろうか。ここではないどこかを空想しながら、ここであがく日々こそが正常な日常ではないだろうか。ここ...
pale asymmetry | 2023.08.14 Mon 21:30
JUGEMテーマ:戯言 血流が揺さぶられる違和感を感じる。この感じはどこから来るのだろうか。その子を見つめながら考えてみる。この子に不満があるわけではない。苛立ちを感じているわけでもない。生理的に合わないという感じでもなく、作為的な悪意を感じるわけでもない。それなのにどうしてこんなにもざわつくのだろう。 ひょっとして私はこの子に過去の自分自身を感じているのかもしれない。まだ世界を知らなかった頃の自分。世界と並び立つということがどういうことなのかを考えもしなかった私自身を。あの...
pale asymmetry | 2023.08.11 Fri 22:16
JUGEMテーマ:戯言 ショウビンの声が聞こえる早朝に、あなたのことを思い出す。立秋が過ぎて、少し冷ややかになった早朝に。別にあなたとの間にショウビンに纏わる何かのエピソードがあるわけではない。それなのにふと思い出してしまった。きっと油断していたのだ。しっかりと蓋を閉じていたはずなのに、ショウビンの綺麗な囀りがその蓋を弛めてしまったのかもしれない。 跪くあなたを思い出す。跪いて私の脚を抱きしめるあなたを思い出す。あなたは私の膝頭に頬を寄せ、そこから微かに響き出す暗号を聴きとろ...
pale asymmetry | 2023.08.10 Thu 21:23
JUGEMテーマ:戯言 雨は宝石のように降っていた。宝石のような雨が降っていたわけではない。それは確かに宝石のように降っていたのだった。どんな様子で降っていたのか、それは解らない。私は目隠しをしていて、世界を見失っていたからだ。そしてただ先触れを待っていた。暗転した舞台に再び照明が灯るような先触れを。 「午後からは晴れるそうよ」 女帝はそう言って、ワインを口に運ぶ。それは切なすぎる匂いのするワインだった。女帝は私の手にもワインを握らせる。グラスに口を付けると、怠惰な味がした...
pale asymmetry | 2023.08.09 Wed 20:45
JUGEMテーマ:戯言 立ち止まる。立ち止まるしかないから。振り返る。恐れを静めるためには振り返ることが必要だと思えたから。意味もなくあくびをする。私はまだ眠気を纏えるのだと訴えるため。それは私自身に対してではなく、私に無理矢理付随しようとする厄介ごとに対して訴えるためだ。そういう厄介ごとを振り払いたいわけではない。厄介ごとだというラベリングを確認したいだけ。 傾く身体を立て直す。壁際に隠れてバランスを確認する。空は暗雲に埋め尽くされているけれど、私の大地はまだ私のものだ。た...
pale asymmetry | 2023.08.06 Sun 21:07
JUGEMテーマ:戯言 「急げ、急げ」 誰かの急かす声に抗う。何度も何度も掬い上げた言葉を、飽きたらず掬い上げて装飾しなおす。どこまでも出鱈目に。どこまでも支離滅裂に。 雨が世界を終わらせようとしている。そんな日が続いているのに、終わってしまわないのはどうしてなのだろう。世界が、雨以上に獣の魂を抱えているからだろうか。私の魂はすでに半分昇天している。過剰に覚醒しているはそのせいだろうか。 「たるを知れ」 誰かの声に頷く。旋律の殻に安堵して、風の鉤爪を受け流す。傷つけら...
pale asymmetry | 2023.08.05 Sat 11:10
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