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JUGEMテーマ:戯言 取り敢えず二枚目のカードを開く。外側の嵐と内側の嵐の両方に翻弄されて、予定より少し遅れてしまったけれどなんとか開く。その展開は優雅にとはいかず、不格好なスタイルだらけになってしまったけれど、もちろん得たものも多く、さらに得たいと思ったものはもっとずっと多い。 理解しなければいけないのは呪文なのだ。それは良く解っていて、それが最も高い壁であることもよく解っている。しかも取っ掛かりは感動するほど簡単だから、すぐにでも上手に操れるようになれると思ったのに、そ...
pale asymmetry | 2023.09.02 Sat 20:50
JUGEMテーマ:戯言 僕らは怠け者の獣だ。海沿いに積み上げられたテトラポットにだらしなく腰掛けながら、ふとそう思った。空は凶暴な銀色に晴れ渡っていて、それなのにどこかから弱い雨滴が運ばれてくる。風は海からだったり街からだったり、目まぐるしく向きを変えて踊っている。はしゃいでいるような、ふざけているような、矜持に酔っているような、そんな感じに吹いていた。 「僕らは怠け者の獣だね」 隣のテトラに器用に寝そべる友達にそう言うと、彼は少し首を傾げ、気怠げに目を細め、「それだよね」...
pale asymmetry | 2023.09.01 Fri 18:53
JUGEMテーマ:戯言 再びの満月にあなたを思う。私のこの命は今もまだあなたと繋がっているのだろうかと。忍び寄る嵐が私の想いを掻き乱すけれど、今宵はまだ凪の範疇だ。だから大丈夫。世界は冷静な理を保っている。そう自分に言い聞かせる。それは冷徹な理でもあることを心の底では知っているけれど、それからは僅かに目をそらしながら。 私の願いを夜に放とう。それはこの惑星の重力を振り切り、成層圏を突き抜けあの月へと到達し、その裏側を優しく撫でてから月光に織り込まれて再びこの惑星に戻るのだ。濃...
pale asymmetry | 2023.08.30 Wed 18:38
JUGEMテーマ:戯言 肯定、と声に出せば世界は素直に振る舞うものなのかもしれない。誰しもが全ての情報を開示しているわけではなく、ましてや開示された情報には嘘が紛れ込んでいるものだ。あるいは故意に嘘を吐いているわけではなく、理解という名の勘違いにより偽の情報となってしまったものもあるだろう。 本当に綺麗な華は秘されているもので、目につくところに現れるそれはじつは本当の華に擬態した別の事象であることがほとんどだ。そういうものには少なからず違和感を感じるものだけれど、最近はとても...
pale asymmetry | 2023.08.29 Tue 20:30
JUGEMテーマ:戯言 アラベスクの紋様が、私の心臓から滲み出す。これは昨日の水彩の熱のせいだ。きっとあの熱が、私の心臓を裏返してしまったのだろう。そのせいで私の時間はすっかり停滞している。あるいは私を取り囲む世界も、奇妙に凝固してしまっているかもしれない。だから今日の空は計略を隠しているように見えるのだろうか。 とにかく呼吸を調えなければ。鼓動はもはやしっちゃかめっちゃかだから、せめて呼吸だけでも世界との整合性を保たなければいけないだろう。それが凝固してしまった世界でも。不...
pale asymmetry | 2023.08.27 Sun 09:30
JUGEMテーマ:戯言 水彩の熱が、私の筋肉を震わせる。水彩の熱が、私の骨を軋ませる。水彩の熱が、私の内臓を揺さぶる。水彩の熱が私の芯を解き放つ。滲んだ無数の色が私の螺旋に絡みつき、私を世界に溶かそうとする。世界の裾に、世界の袖に、世界の襟元に。あがなっても無駄なこと。私の存在は世界という法則の末端とリンクしているのだから。 夢を見たような気がする。滑空している夢だったような気がする。あるいは私は静止していて、滑空していたのは取り囲む風景の方だっただろうか。その加速は先鋭的で...
pale asymmetry | 2023.08.26 Sat 19:43
JUGEMテーマ:戯言 恐れなければいけないとしたらそれは異星人そのものであるはずなのに、皆が恐れているのは異星人の気配だと思えた。それをどんなに恐れてもそこに実体はないのだから、具体的にどんな対策をすることも出来はしないだろう。それなのに執拗に恐れ、不必要に後ずさりし、疑心暗鬼に陥るなんて愚かだと言わざるを得ない。 私たちは繋がり合うことを必要とする生命体なのだから、疑うことにより分断されてしまえば脆く崩れるほかはない。本当にあっけなく塵となって風に舞うことになるだろう。そ...
pale asymmetry | 2023.08.25 Fri 20:59
JUGEMテーマ:戯言 私は旅をしていて、その途中で何の気なしに立ち寄った。入館料は無料。ただし、退館時に切なさを少しだけ奪われるのだという。そういう説明に胡散臭さを感じなかったのかというと、まあ少なからず感じはした。けれどそれでも魅力を感じたのだ。螺旋博物館という奇妙な郷愁を誘う名称に。 館内は虹の七色に満ちていた。そういう照明だったのだ。けれど見回しても光源が見当たらない。照明設備がないのに館内の空気が七色に色づいている。まるで空気そのものが発光しているかのように。 「...
pale asymmetry | 2023.08.24 Thu 19:41
JUGEMテーマ:戯言 風のない空を見上げて探す。自分が探したいものがなんなのかを。空は銀色を従えたブルー。高貴な色だと思えるし、傍若無人な色彩だとも思える。そう感じてしまう私の奥底に、そういうものに繋がる要素が目覚めようとしているのかもしれない。それは忌むべき事だろうか。でもそれを抑えつけてしまえば、大事な事象を見失ってしまうと思えてならない。 旅立ってしまった友達のことを考える。その友達の旅立ちを嘲笑った人のことを考える。友達は順調に旅を続けているだろうか。嘲笑って人が嫉...
pale asymmetry | 2023.08.23 Wed 19:14
JUGEMテーマ:戯言 私は蝶だった。人並みが折り重なる駅のホームをゆらゆらと漂っていた。ホームにさす光は鋭く、でも空気は陰の隠ったざらつきに満ちていて、午後の遅くなのだろうなと思った。多くの人が声を荒げていた。どうやら電車が遅延しているようだ。何が原因なのかは解らないが、険悪な雰囲気がホームのあちらこちらで波打っていた。 人々の頭のすぐ上を漂っていると、いきなり誰かの腕が伸びてきて私は握りつぶされた。一瞬の闇、けれど次の瞬間には私はホームに立つ人間の一人になっていた。長身で...
pale asymmetry | 2023.08.22 Tue 21:12
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