[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
JUGEMテーマ:戯言 あなたが置いていった残り香は、不可思議に波打ち私を揺する。それは果実のような匂いだったけれど、私が見知った果実のどれとも違っていた。この世の果てを感じさせる匂いだった。来世の終焉を感じさせる匂いだった。太古の黎明を感じさせる匂いでもあった。つまり私はただただ惑わされていた。 夜の裾と朝の襟が擦れ合う時間に、あなたは静かにしとねから立ち上がった。私の背中を見つめ、長い息を吐き、賢者の予言のようにぽつりと言った。 「souvenir」 私はあなたをぼんやりと...
pale asymmetry | 2023.07.21 Fri 21:21
JUGEMテーマ:戯言 あなたは水なのかと問われれば、否定するしかない。私は水に溶けることは出来ず、水を受け入れることも出来ない。水の内部に自身を織り込むことも出来ないし、私の内部に水を張り巡らせることも出来ない。では私と水は相容れない関係なのかと言えば、決してそうではない。私は水の中で、藻掻くことなく荷重を移動させることが出来るのだから。 大切なことは重心の位置を制御することと、そこから合理的に荷重を移動させることだと思う。つまり絶対的な力など必要ないのだ。だからそういうも...
pale asymmetry | 2023.07.20 Thu 21:22
JUGEMテーマ:戯言 すれ違った少年たちは笑っていた。でもそれは凶悪な笑顔だった。何に対する凶悪さなのかは重要だ。きっと世界に対する凶悪さなのだろう。それならばその笑顔は綺麗だと思えた。私もその笑顔を纏いたいと思った。それは無理なことだと解っていたけれど。私は少年たちのように世界と正対していないから。そういう時代はとっくに過ぎ去っていたから。 いつの間にか、灰色の狼が私の傍らにいる。孤高の狼であるはずなのに、私のふくらはぎにすり寄ってくる。甘えているわけではなく、身体から滲...
pale asymmetry | 2023.07.16 Sun 21:07
JUGEMテーマ:戯言 起こるべくして起こったことの理由を私は知っている。それはそうだ。起こるべくして起こったことなのだから。けれどその理由の根は深い。深すぎるのであの人たちは目を向けようとしない。そこに目を向けることに労力を使うくらいなら、もっと浅い理由に頷くことで事を前に進めたいのだ、たぶん。 右を向けと言われたら、思わず左を向いてしまう。膝をつけと言われたら背伸びしてしまい、悲しめと言われたら笑ってしまう。それは私が天邪鬼だからではない。単に阿呆なだけだなのだ。でも阿呆...
pale asymmetry | 2023.07.15 Sat 21:16
JUGEMテーマ:戯言 ヒマワリは少し揺れながら、水平線を見下ろしている。強い夏の風が、水面を銀色に掻きむしっている。陽光の乱反射が出鱈目にはしゃいでいるようで、羨ましかった。これが夏の季節風ならもっとゆるやかで退屈なはずなのに、風は無闇に強く、風景を高揚させているようだ。その風と戯れるようにヒマワリが揺れる。 陽光は真上から降り注いでいるのに、ヒマワリは水平線を見下ろしている。こんなことって許されて良いの? もちろん良いのだろう。世界はいつだってそういう感じだ。そういう感じ...
pale asymmetry | 2023.07.14 Fri 22:02
JUGEMテーマ:戯言 小糠星と向き合いながら横たわる夜。そんな夜を積み重ねる旅でありたい。雨が降ったならば、ただただ濡れ続ける夜。そんな夜を過ごす旅でありたい。どんな邪気に晒されても、どんな怒気に殴られても、無数の星や無数の雨滴に浄化される夜。そんな夜を友とする旅でありたい。 ふらふらと歩き、忙しなくあちらこちらに眼差しを向け、見知らぬ人たちの会話に耳を澄まし、けれどそういう人たちと対話するわけでもなく、風に舞う花びらのように、雨に翻弄される蝶のように、陽光に擽られる草木の...
pale asymmetry | 2023.07.11 Tue 20:39
JUGEMテーマ:戯言 追いかけているのはキツネだ。姿は見えないけれど、その足音は確かに聞こえる。すばしっこいやつ。狡猾なやつ。その姿は透明なのかもしれない。もちろんそんなはずはないけれど、そう思わせるやつなのだ。夏の黄昏の熱が、私とキツネの距離感を狂わせる。あるいは私たちは違う次元にいるのかもしれない。だから永遠にキツネに触れることなんてできないのかもしれない。 追いかけられているのはウサギだ。その姿も見えないけれど、足音はすぐ背後に迫っている。賢明なやつ。ゆるふわなやつ。...
pale asymmetry | 2023.07.08 Sat 21:37
JUGEMテーマ:戯言 毎朝下る坂の途中には花が咲いている。小さな花。赤い花。少し憂鬱そうな赤。ぶら下がるように咲いている。吊されたように咲いている。そういう花と毎朝すれ違う。坂の途中には犬がいて、私が通る時間にはまだ眠っていて、きっとこの犬は花のことを知らないのだろうと思う。目覚めても、花に気づかないだろうと思ってしまう。 きっと私は傲慢なのだと思う。 探しているものはこの花に告げる言葉だろうか。それともこの花が私に告げる言葉だろうか。あるいは眠る犬が夢の中で叫んでいる...
pale asymmetry | 2023.07.07 Fri 21:23
JUGEMテーマ:戯言 宵の明星を探す前に眠ってしまった。次に目覚めるのはこの世界ではないだろう。もうこの世界の寿命は尽きていて、誰も気づかないうちに終わってしまうのだから。そんなことを考えながら眠りに落ちた。それは幸せな墜落。だって、この世界の秘密を一つ解き明かしたのだから。もちろん出鱈目だけど。 レーザービームが夜を裂く。夜空を切り裂いたわけではない。夜そのものを切り裂いたのだ。夜はとても立腹して、そのレーザービームを槍に変えた。そして少し欠け始めた月を貫いて、レーザービ...
pale asymmetry | 2023.07.06 Thu 21:05
JUGEMテーマ:戯言 結局、貪らなければ日々を乗り越えることが出来ない自分に気づく。楽園に落ちて、楽園から堕ちている自身にも気づく。より小さな事象へ、より些末な事象へとフォーカスを繰り返し、それはもう際限なく繰り返し、そしてどこにも行き着いていない自分に気づく。そんな自分を愛してしまっている自分にも気づく。それが少し苦しかったりもする。 それはアトムより小さく、そうであるならばビキニなのかもしれない。あるいはビキニよりも小さく、そうであるならばストリングスなのかもしれない。...
pale asymmetry | 2023.07.05 Wed 21:45
全1000件中 331 - 340 件表示 (34/100 ページ)