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JUGEMテーマ:戯言 仄暗い流れが私を揺さぶる。油断すると私はあっけなく転がされる。厄介なのはその転がりが心地良いことだ。けれどそれに翻弄され続ければ、やがて私は自分を見失うだろう。二つの音を私は見つめる。それは聞き取るべき音ではないからだ。二つの音が一つのコードを生み出すために、私は幻想に浸るしかない。 心の何処かで雨を求めていることに、私は薄々気づいている。けれどそれが何に起因する欲求なのかが解らないから、戸惑うしかない。これは嫉妬だろうか。あるいは諦めだろうか、それと...
pale asymmetry | 2023.06.19 Mon 22:10
JUGEMテーマ:戯言 「まだ何も終わってはいないと思っているのでしょう?」 幼い私がそう言う。雨上がりの空は少し憂鬱なブルーグレイで、それは約束の地を隠す色彩に見えた。 「何もかもを欲しいと思っているのでしょう?」 少女の私が、私に問う。聡明な眼差しが私を貫く。高いビルディングの屋上庭園で、私はベンチに腰掛けている。空気はたっぷりと水分を含んでいて、油断をすると溺れてしまいそうだ。 「きっとずっと、あなたは欲張りなままね」 隣に腰掛けていた小さな私が跳ねるように立...
pale asymmetry | 2023.06.18 Sun 21:05
JUGEMテーマ:戯言 白いカイトが流されていく。川の流れは速く、川原を走る私はカイトに追いつくことが出来ない。遠ざかっていくカイトに手を伸ばす。掴むことが出来るのは透明な粒子だけだ。それは想いに似ている。白いカイトが銀河に向かって伸びやかに躍動していたときの、それを見つめる私の想いとよく似ている。 もちろん透明だから、その粒子を私の手の中に保存することは出来ない。零れ落ちたと感じることさえ出来ない。そんなものは最初からなかったのかもしれない。それとも掴んだ瞬間に失ってしまっ...
pale asymmetry | 2023.06.17 Sat 19:54
JUGEMテーマ:戯言 濡れた椅子に腰を下ろせば、私自身も濡れてしまう。当たり前のことだ。でもその椅子に腰掛けることで見えてくる風景があり、その風景から学ぶ事象があるのなら、私は濡れなければいけないだろう。雨が降り出して、椅子と共に私自身もずぶ濡れになってしまうとしても、私はそこに留まり続けるだろう。 温い雨が私に問い掛ける。「どの方向に進めば良いと思う?」と。もちろん私には解らない。道は全方位に延びていて、そのどれも私を拒んではいない。好きなタイミングで好きな方向に私は走り...
pale asymmetry | 2023.06.16 Fri 21:41
JUGEMテーマ:戯言 そこに悪意はない。それは確か。でもそれは攻撃で、明確な傷害行為。それも確か。足りないものは二つ。知性と礼だろう。つまりそれは愚か者の攻撃なのだ。何の悪意もなく、それどころか屈託なくそして知性なく他者を攻撃してしまう生物なんだ、私たちは。そういうのに一々傷ついて血を流していては、世界を放棄したくなってしまいそうだ、私は。 まあ、私も愚か者なのだろうな。愚か者の攻撃と愚か者の防衛がぶつかっているだけなんだ、結局の所。こういうのはいつまで続くのだろう。知性と...
pale asymmetry | 2023.06.15 Thu 20:09
JUGEMテーマ:戯言 「傘をささなければ、雨は降り出さない」 久しぶりに出会った彼がそう切り出す。まだ挨拶さえ交わしていないのに。あるいはこの言葉が彼にとっての挨拶なのだろうか。私は彼をじっと見つめる。ふざけているわけではない。とても真剣な表情。では私も真面目に返答しなければいけないのだろうと考えて、言葉を選んだ。 「真っ直ぐに降る雨が、風を導いているわ」 私の言葉に彼は何度も頷き、満面の笑みを浮かべる。そして乳白色の薄雲に覆われた空を指差す。 「それでも、魚たちはお...
pale asymmetry | 2023.06.12 Mon 20:05
JUGEMテーマ:戯言 生温かい北風に戸惑う。額に張り付く前髪に戸惑う。どんよりとした灰色の隙間に覗く鮮やかな青に戸惑う。甘え上手な少年に戸惑う。その場凌ぎでやり過ごそうとする老人に戸惑う。強い煙草の臭いが私を締めつける。笑っているのに威圧して、従わない者の存在を消そうとする。そういう老人の全てに戸惑う。 それでも私は混乱したりしない。その私自身に戸惑う。強くなったわけでもないし、狡猾になったわけでもないのに、その無意味な男性性に嫌悪は感じない。誰もが結構ぎりぎりのラインを歩...
pale asymmetry | 2023.06.11 Sun 20:19
JUGEMテーマ:戯言 私の身体から弾け飛んだいくつかの螺子は、宙を転がる間に雨滴になって雨に紛れてしまった。そのまま透明な雫の群と共に異次元に旅立ってしまったから、もう回収することは出来ない。だから改修することだって出来ない。私はこの先ずっと壊れたままだ。そして私が抱える世界も、ずっと壊れたままだ。 それを悩んでいるわけではない。もちろん怒っているわけでもない。その世界が綺麗なら私は満足だし、壊れているとかいないとかは関係ないと思えるから。私には関係ない。私が壊れていても、...
pale asymmetry | 2023.06.10 Sat 19:24
JUGEMテーマ:戯言 ガラクタの山は、しっかりとロックされている。無数のパーツが精密に結びつき、結びつくことでさらに強固な結びつきを構築しているのだ。どのパーツに触れても、それは完璧に宇宙に固定されていて、動かそうとすれば宇宙全体を歪めることになるだろう。確信を持ってそう思えた。それでも私は解錠しなければいけない。ロックしたまま安穏に浸るわけにはいかないのだ。 まずはコードを読み解くことから始めなければいけないだろう。あらゆる法則を総動員して、今ここに揃っている因子と、ここ...
pale asymmetry | 2023.06.09 Fri 18:07
JUGEMテーマ:戯言 目まぐるしく、何もかもが失われていく。瞬きをするだけで、見失ってしまった。息を吐くだけで喪失してしまった。鼓動を刻むだけで、砕けて消えた。振り向くだけで、記憶は曖昧になる。際限なく曖昧になって、現実感を失う。それが本当なのか嘘なのかも解らなくなる。記憶が嘘ならば、私も嘘になってしまう。この瞬間の私は、もうすっかり失われているのだ。 流れていくのは雲だけではない。強い風に私の想いも翻弄されている。南からの風をこんなに冷たく感じてしまうのは、単なる錯覚では...
pale asymmetry | 2023.06.08 Thu 21:07
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