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JUGEMテーマ:戯言 ベルギーからチョコレートが届いた。小さなチョコが六つ並んだ詰め合わせ。差出人は古い友人。そう、今なら古い友人と呼べる存在。たぶん数年前ならカテゴライズ出来ない人だったと思う。数年前なら、このチョコレートの箱も開けなかったかも。時間が、私の心をなめらかにしてくれたのかもしれない。あるいは、あの人の心も同じくらいなめらかにしてくれたのかも。 私たちはあの頃毎年チョコを贈り合っていた。世間の慣習なんてお構いなしに。きっとこのチョコレートも十四日に届けたかった...
pale asymmetry | 2023.02.18 Sat 21:33
JUGEMテーマ:戯言 私は綺麗だな、とふと思う。そして恥ずかしくなる。もちろんその想いに嘘はなく、驕りや過信はない。それは確かなことだと思える。でも恥ずかしくなる。綺麗という響きがそうさせるのかもしれない。その響きや字面に、マッチョなコードが見られないから。そんなコードは必要ないと私は考えるけれど、世界はそうではないらしい。 世界は常に殺戮を好み、殺戮に翻弄される者を良しとする。そんなわけないとあなたは考えるだろうか。けれど表だって主張されないだけで、たいていの場合マッチョ...
pale asymmetry | 2023.02.16 Thu 19:07
JUGEMテーマ:戯言 不明バスが突然急停車。制服の男が僕に言う。 「足りないのです、タイヤが」 隣の少年はシートに沈み込んで眠っている。周りを見回すと皆が眠っている。外は灼熱の陽光が降り注いでいるのに、車内は夜の静寂に溢れている。 「パンクが続いて、もうタイヤが足りないのです。鉛を踏みすぎたせいかもしれません」 制服の男は眉間に皺を寄せる。隣の少年は笑顔を浮かべている。世界は常に分断されている。そして僕はどちらにも所属していない。所属したいとも思っていない。 「そ...
pale asymmetry | 2023.02.15 Wed 18:31
JUGEMテーマ:戯言 行き先不明のバスに揺られている。軽い眠気と闘いながら。ただシートに身を沈めているだけだから、哲学は何処にも存在しない。今の僕の状況のこと。この時間は何だろう。意味を探ることさえ無駄なような気がする。じゃあ何故そんなバスに乗ったのかってあなたは尋ねるかな。でも、僕が乗り込んだときは、このバスには明確な目的地があったんだ。 そう、このバスは最初から行く先不明じゃなかった。だから、その経路にも哲学が存在したんだ。その哲学に則った地図を基準に、バスは走り続けて...
pale asymmetry | 2023.02.14 Tue 18:10
JUGEMテーマ:戯言 透明と向き合う。その向こう側には何もない。それでも私は真っ正面から向き合う。その面に愚直な想いを染み込ませるために。何者かが透明の向こう側にいるのかもしれない。けれどその何者かも透明だ。だからその姿を私が見つけることは出来ない。そのことに少しがっかりしたり。同時に少し安堵したり。 本当は向き合いたくないのかもしれない。全ての透明から目をそらしていたのかもしれない。私はそうやって安息を得たいと願っているのかもしれない。そうすることが本当に安息に繋がるのか...
pale asymmetry | 2023.02.13 Mon 18:23
JUGEMテーマ:戯言 ベルが鳴る。昨日も今日もベルが鳴る。明日も明後日もきっと鳴るのだろう。そして私は考える。ベルが鳴る意味を。誰がそのベルを鳴らしたかはどうでも良い。誰が鳴らそうがベルの音が私に起こすエフェクトは同じだから。そのエフェクトの意味を、深く考えるだけだ。そのエフェクトの意味から目をそらすことができない。 意味などないのかもしれない。ベルの音に意味が織り込まれるわけなどないのだから。そうだ、意味なんてない。私が意味を欲しているだけなのだ。私が意味を欲するから、ベ...
pale asymmetry | 2023.02.11 Sat 18:24
JUGEMテーマ:戯言 脊椎が引きちぎられるような恐れを感じた。裏側から見つめてしまったから。いや、その瞬間に立ち会ってしまったということの方が問題だったのかもしれない。呼吸が乱れそうになるのを、思考の速度を落とすことでやり過ごす。綺麗だったから、そうすることができた。恐ろしいものは大抵綺麗だ。世界はたぶんそうなっていて、だから私はまだ生きている。 表側に顔を出すと横殴りの波を喰らう。衝撃というより、感じるのは熱情だ。誰かの溜息が聞こえるような気がして耳を傾けると、それは私の...
pale asymmetry | 2023.02.10 Fri 21:45
JUGEMテーマ:戯言 小石を蹴飛ばすと私のつま先が少し痛い。当たり前のことだけど当たり前じゃない。この痛みは小石から私に注がれたものなのか、それとも私が小石に注いだものの逆流か。どちらであったとしても、私は受け入れなければいけないのだろう。つまりそれは私の外に拡がる世界と私の内側に閉じられた世界との接続を意味するのだから。 「あたしは天帝なのよ」 紫のドレスを纏った少女が言う。私を真っ直ぐに見つめて言う。黄昏時の街角で私は足を止め、膝を折って少女と視線を合わせる。 「だ...
pale asymmetry | 2023.02.09 Thu 19:55
JUGEMテーマ:戯言 いつの間にか、身体に傷跡がついている。いつ、何が原因でついたのかさっぱり解らない。まるでかまいたちにやられたかのように、体表面のあちらこちらに私の気を引こうとしているかのように、赤いラインが引かれている。 傷を撫でてみる。痛みはない。違和感も感じない。この傷跡はもうすっかり私だ。 眠れない夜に、小さなオレンジの明かりを灯し、そんな傷跡のことを考える。たぶん私はこのような傷跡と、もっと親しくなりたいと思っているのだろう。自分の気持ちの本当のところは、...
pale asymmetry | 2023.02.08 Wed 20:04
JUGEMテーマ:戯言 自分が旅の途中で途方に暮れているのだと気づき、戦慄が走る。立ち止まり、深呼吸。本当はその場に蹲り泣き叫ぶか、丸まって眠ってしまいたかったけれど、雨脚が強くなってきたので両脚に力を込めて立ち尽くしていた。前方には長く延びる道。振り返っても長く延びる道。右を向いても左を向いても斜めを見上げても道だ。そして私は道の上にいる。 やっぱり私は見失っているのだろうか。翼はこんなにも煌めいているのに。 取り敢えず傘を閉じ、地面に刺す。雨の粒は大きく、宝石のようだ...
pale asymmetry | 2023.02.06 Mon 19:51
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