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JUGEMテーマ:戯言 テーブルの上に並んだ千切られた耳。メープルシロップをたっぷりとかけて食べてしまいましょう。きっと美味しいはず。この耳は新鮮だから。そんな風に私を誘う人形は、少し刺々しい表情をしている。和服であることが正装な今夜に、ゴシックロリータで微笑んでいる。とってもやわらかいから耳だって気づかないかもよ。シロップをかけなくても十分に甘いはずだから、シロップが上乗せされてとろけるような甘さになっているはずよ。人形はテーブルの端で奇妙なダンスを踊りながら言う。私はその細長...
pale asymmetry | 2024.03.03 Sun 21:12
JUGEMテーマ:戯言 小さなロボットは、川原を歩いていた。アルミニュームのボディが奇妙な軋み音を立てている。何が原因でそんな音が響いているのかは、ロボット自身にも解らなかった。オイルか、シリンダーか、ギアかネジか、きっと何かに不具合が起こっているのだろうけれど、それを見つける術をロボットは有していなかった。だから音を響かせたまま川原を進み続けた。川原に住む生き物たちは、ロボットの位置をその音から判断することが出来た。ロボットの背後から、一匹のイタチが近づいていく。臙脂色の毛で覆...
pale asymmetry | 2024.03.02 Sat 19:00
JUGEMテーマ:戯言 小さな精霊が、私の足下で囁く。 「跳躍しなければ。跳躍しても良い日なのよ」 にわか雨が上がって青空が見え始めた午後の真ん中。濡れた路面を私は歩く。跳躍の必要性を説かれても、突然すぎて上手く対応できない。私には私のリズムが合って、それにそって暮らしているから。そしてその暮らしに日常的な跳躍は含まれていない。どちらかというと這い蹲ることの方が日常だ。そうやって顔を地面に近づけて、微細な事象にフォーカスする日常を私は過ごしているのだ。もちろん愉しくてそうし...
pale asymmetry | 2024.02.29 Thu 21:03
JUGEMテーマ:戯言 私たちは楽園を夢見て、暗闇に蹲る。私たちは快楽を求めて、痛みを引き受ける。私たちは安穏を願って、蹂躙に跪く。私たちは形にこだわりながら、飽食を繰り返す。私たちは安眠を探しながら、真夜中に彷徨う。私たちは自傷しているのだ。やわらかな自傷を自身に施すことで、生を実感しているのだろう。あなたはそれを悲しむだろうか。私は悲しまない。やわらかな自傷は、私を掬ってくれるから。身体は傷ついているのに、心は癒されているから。私は歪んでいるのだろうか。邪な気の病に冒されてい...
pale asymmetry | 2024.02.26 Mon 18:11
JUGEMテーマ:戯言 冷たい風は渦を巻いている。多くの人がその風に顔を顰めていたけれど、私に対してはその風は好意的に感じた。もちろん私の熱を奪っていく。私を冷たく撫で上げ、水晶へと磨いてしまおうと考えているのかもしれない。そう思えてしまうくらい洗練された風だ。この一週間、洗練すること洗練されること、そして洗練さを纏うことを考えてきた。その間にあなたは旅をし、旅から帰還し、次の旅の計画を練っている。その旅にも私は含まれていないけれど、それを寂しいと思ったりはしないくらいに私は身勝...
pale asymmetry | 2024.02.25 Sun 19:46
JUGEMテーマ:戯言 「博士たちの視野は狭いのよ」 旅から帰ったあなたが語る。今回の旅で、あなたがどのように繋がったのかを。変幻自在に揺らぐ世界の、どの部分にどのくらいアクセスできたのかを。繊細に慎重にあなたは語る。少し跳躍し、思いも寄らない方向に弾みそうになりながらも、それを何度も立て直してあなたは語る。積み上げられていく言葉はレンガのように隙間なく並んでいく。あなたはブリックレイヤーのように、綺麗に言葉を構築していく。私はただそれに耳を傾け、ときどきイメージを遊ばせた。そ...
pale asymmetry | 2024.02.23 Fri 18:53
JUGEMテーマ:戯言 取り敢えず微笑んでおく。それで事態が停滞しないのであれば、容易いことだ。微笑の仮面を被るようなイメージで、私は笑う。もっと苦痛を伴う作業かと思ったけれど、案外容易いことだった。私はもう無意識に諦めてしまっているのだろうか。それとも何も、完成された事象を何も期待していないから、苦痛を伴わないのかもしれない。だから傷つくこともなく、冷静に観察し、必要ならば暗躍し、必要ないのならば飄々と転がっていけば良いのだろう。実際には転がるわけではなく、よじ登っていくのだけ...
pale asymmetry | 2024.02.22 Thu 18:49
JUGEMテーマ:戯言 テレビジョンはがなり立てていたけれど、私はずっと黙っていた。朝からずっと、窓からのやわらかい日差しにときどきうとうとしながら、ずっと沈黙していた。テレヴィジョンから流れる映像は私の応えを求めてはいない。当たり前だ。それが解っていても、何か応えなければいけないのではと思ってしまうのは、純度の高い孤独を抱えているからだろうか。歌を歌ってみようか、などと考えて口を開く。でも今の私に相応しい歌が浮かばなくてまた口を閉じる。テレヴィジョンは変わらずがなり立てているか...
pale asymmetry | 2024.02.21 Wed 18:45
JUGEMテーマ:戯言 眠っても眠っても、眠気を拭うことが出来ない。身体は重く、思考は浮遊している。気持ちが沈んでいるというわけではない。むしろ気分は清涼で、淀みを感じることはない。ただ行方が解らないのだ。私自身の行方。見当たらないのだ。自分が今どこにいるのかが。哲学的な疑問というわけではなく、単純に今日の過ごし方を考えたときに、私にとっての今日がどういう意味を有しているのかが解らなくなってしまうのだ。そんことはどうでも良いことなのかもしれない。それよりももっと具体的な事象を考え...
pale asymmetry | 2024.02.20 Tue 18:54
JUGEMテーマ:戯言 恰幅の良い南風に吹かれる。人影のないビーチでのこと。細い林道を脱けて辿り着いたから、私は世界の外側に来てしまったのかも知れない。そんな空想を弄ぶ。それが出来るくらいに牧歌的な水面だ。上空の薄雲は速いスピードで流れていき、私を誘ってはくれない。彼らが目指すユートピアには、私の居場所はないらしい。すると私はこの世界の外側で、ずっと孤独と踊らなければいけないのだろうか。そんなことを考えながら立ち尽くす。ダンスは苦手だから。南風は水平線へと吹いていく。風景の色彩か...
pale asymmetry | 2024.02.19 Mon 19:10
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