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JUGEMテーマ:戯言 ミルクキャラメルを口の中で転がしながら、私は川原に腰掛けている。激しい雨が上がったばかりだったから、地面は濡れていて、だからお尻も濡れてしまった。少し気持ち悪かったけれど、私はその感情を許す。日差しは鋭さを取り戻していたし、空の大部分は脳天気な青に染まっていたから。こんな午後はお尻が濡れても良い午後なのだと思えた。 深呼吸を一つ。瞬きを二つ。 買ったばかりのノートを鞄から取り出し、最初の一ページを破り取る。そしてそれを川へと投げた。手裏剣を投げるよ...
pale asymmetry | 2021.06.10 Thu 21:01
JUGEMテーマ:戯言 踝が水を引っかけ、水面を掻き分ける。この脚は水を切り裂くことは出来ないし、水を纏わせて従わせることも出来ない。私は非力だ。そう思うのは簡単だ。私は無能だ。それは既によく知っている。そしてそれを気に入っていたりするのだからどうしようもないヤツなのだ。 強く吹く風を見送る。透明なはずなのに青灰色に見えてしまう。 それは風のせいなのか、それとも私のせいなのか、あるいは世界のせいなのか。どれであっても構わないけれど、きっとどれでもないだろう。ない色を見いだ...
pale asymmetry | 2021.06.07 Mon 21:04
JUGEMテーマ:戯言 夜は水没してしまったから、私たちは舟を浮かべるしかないの。 その舟は風に翻弄され、流れに弄ばれるでしょう。私たちはひたすらにしがみつき、その揺さぶりに耐えるしかないのかしら。いいえ、そんなことはない。私たちは水をかき、生きたいところにいけるわ。そこで見たい風景に浸ることだって出来るでしょう。それは自由。鼻歌交じりの自由なの。 雨は大粒すぎて、それは鋼鉄の馬車。あるいはそれに擬態する、狡賢い黄金の獣。 傘はないから花を開いてさしましょう。頭上に掲...
pale asymmetry | 2021.06.06 Sun 21:27
JUGEMテーマ:戯言 「今夜世界が滅びます」 少しイラついた表情でその子が言うから、私は何だか残念な気分になった。 「エビデンスは何です?」 私がそう問いかけると、その子は肩を竦める。 「そんなの、当たり前のことでしょう」 そう言って、目をそらす。それは日が沈むのと同じくらいに当たり前のことだと、言いたいようだった。だから私は今夜世界が滅びない証拠を、ゆっくりと、一つずつ、データで裏付けしながら並べていった。それは十九個あった。あれ、この場合の助数詞は個で良かった...
pale asymmetry | 2021.06.05 Sat 21:12
JUGEMテーマ:戯言 うつらうつらとしながらイメージするに、世界は多層構造に円環構造が絡まった感じのものだ。一つ一つの層は独立した様相を有した世界だから、それが多層構造ならば幾つもの世界が重なり合っていることになるのだろう。あるいはそれは選択によって層から層へとリープすることになるのかも知れないし、そんなことは一切起こらず、各層は他の層を知ることなくそれでも一群の世界を構築するための某かの連携をしているのかもしれない。連動をしているのかもしれないし。 何か忘れているなぁ。あ...
pale asymmetry | 2021.06.03 Thu 21:44
JUGEMテーマ:戯言 溶けるということに身を委ねようとしてみたけれど、呼吸の乱れが激しくなってしまって、上手くいかない。もっと気を落ち着かせて、身体の力を抜いて、沈むように漂うように浮かぶようにすれば良いのだろうけれど、そうは出来ないのだった。それは私の身体のあちらこちらが痛んでいるからだろうか。あちらのビスやこちらのスプリングが、抜け落ちているからだろうか。それとも細かな部分が錆び付いているからかも知れない。 例えばそれが深い青で、少しだけ朱色がかっていたとして、私はそこ...
pale asymmetry | 2021.06.01 Tue 21:50
JUGEMテーマ:戯言 それは雨が降りそうで降らない空の表情のようだと言えば、かなり近いのかも知れない。あるいは雨が降り始めた瞬間から、雨が降り始めていると認識する瞬間までのタイムラグのようなものだと言っても良いかもしれない。それは飛び去った蝶の残した余韻のようでもあり、透明な未知なる獣が翻ったときの残り香のようでもある。つまりそれは掴むことも出来ないし、触れることも確かには出来ない。それは突然に飛来して、例えば受け止めて抱きしめて温めてやるなどと言うことは全く出来ないのだ。 ...
pale asymmetry | 2021.05.29 Sat 21:19
JUGEMテーマ:戯言 ラビリンス型のダムは未完成で、だからどのようにも妄想できる。たとえばそれは巨大な魔物と戦うために有効な武器であるとか。でもよく考えてみるとその考えはあながち間違ってはいないから、それはもう妄想ではなくなっているのかもしれない。どこから拾い集めるかということに注意しなければ、そういうことは度々起こるものだ。テレヴィジョンが吐き出すのは、大抵大昔の事象ばかりなので、ラビリンス型のダムも実はとっくに完成していて、今この瞬間にも巨大な魔物と戦っているのかも知れない...
pale asymmetry | 2021.05.28 Fri 20:38
JUGEMテーマ:戯言 バリケードを乗り越えるのなんて簡単だ。こんなへなちょこのバリケードなんて。だから皆乗り越えて行ってしまうよ、当然さ。そして次々と垂直落下だ。それがまた愉しくて仕方がないから、誰もが何度も繰り返し、路面に叩きつけられて頭蓋骨を砕いたりしているんだ。 何のためのバリケードなんだ。失われたパレードを懐かしむためかな。それをスレートに書き留めて、フルートの調べを聞きながら、イリュージョンを夢見ていたら、全てがアラートだってことに気づいたりして、そして自分が垂直...
pale asymmetry | 2021.05.25 Tue 22:00
JUGEMテーマ:戯言 あなたの心臓を直接掴むことが出来るのなら、私はもっと深くあなたを理解できるのかしら。あなたが私の心臓を直接抱きかかえることが出来るのなら、あなたは私の言葉に惑わされることはないのかしら。いいえ、それでも私はあなたを理解できないでしょう。そしてあなたも私に惑わされるでしょう。問題はそこにはないのだと言うこと。流星が一瞬で消えるように。問題はまだ構築されていないのです。 うつらうつらと風に吹かれて、歩いているのか彷徨っているのか。私の手を強く握るあなたの熱...
pale asymmetry | 2021.05.23 Sun 21:13
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