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JUGEMテーマ:戯言 世界とは常に流れていて、その流れは決して止まることがないから、いつだって去って行く。あらゆる事象が去って行く。流れはときに速く激しく怒りに満ちているから、あらゆる事象の形が歪められる。あるいは千切られる。あるいは砕かれる。極稀に、全く違う事象と相似になり、私を混乱させる。 世界の中に私という現象は存在するので、私もまた形を変換される。自分のお気に入りの形になろうとしても、あるいは今まさにその形になっていたとしても、それは次の瞬間ぐにゃぐにゃに捏ねくり回...
pale asymmetry | 2022.11.29 Tue 20:51
JUGEMテーマ:戯言 炎を追いかけてはいけないと、何度も何度も教えられてきた。幼少の頃から、周りの大人たちは皆私にそう言い聞かせてきた。炎は神様だけが追いかけられるものだから、人のような未熟な者が追いかけてはいけないのだよと皆が私に言った。私は神妙に頷きながら、本心では全く納得していなかった。炎は美しく、常に手の届きそうなところを進んでいて、しかもその速度はとてもゆっくりだ。少し小走りすれば簡単に触れられそうだったから、これが神様の領域に属するものだとは思えなかったのだ。 ...
pale asymmetry | 2022.11.27 Sun 21:55
JUGEMテーマ:戯言 早朝の湿った部屋で「疲れているのよ」と私が言うと、「それは偽りなんだよ」とあなたは笑う。私のことを一番知っているのは私で、その私が疲れていると言っているのだから、疲れているに違いないのに。「私自身が言っているのだから、そうなのよ」と私が言っても、「僕は君以上に君のことを知っているんだよ」とあなたは笑う。 なんだか理不尽な気分になる。私があなたに制御されているようではないか。でも私を支配しているのは私だし、私をコントロールしているのも私だ。そしてどちらも...
pale asymmetry | 2022.11.26 Sat 21:08
JUGEMテーマ:戯言 私のこの痛みは、もちろん私のものだ。けれど同時に誰かの痛みでもある。誰かの痛みが偏光したそれなのだと思える。その誰かはここから遠く離れた場所にいて、それは10万光年ほど離れた場所で、そこでその誰かが血を流しているのだ。あるいは、流れ出る血を舐めているのだ。 その血は鉄の味ではないかもしれない。 その場所までどれくらい離れていようとも、どのくらいの時間的隔たりがあったとしても、その誰かの痛みと私の痛みは同時性を有していて、これを切り離すことなど出来ない...
pale asymmetry | 2022.11.24 Thu 21:32
JUGEMテーマ:戯言 テレヴィジョンの内部では、タロットカードが舞い踊っている。薄明の空で無数のカードたちが乱れ狂っている。それは入り乱れて繁殖活動に勤しんでいるようにも見えたし、ただただ殺戮を繰り広げているようにも見えた。でもその映像を見つめていると、私は潤んできて、気持ちよくなる。これは夢ではない。妄想でもない。世界の片隅で起こっている事件なのだ。 フライドチキンとフライドポテトをコーラで流し込み、たらふく食べてすぐさま吐き出す。そうすれば食べてもいない宝石が出てくるの...
pale asymmetry | 2022.11.21 Mon 20:38
JUGEMテーマ:戯言 私は一つの現象なのだから、明日も人であるとは限りません。明日には私は雨かもしれないし、風かもしれないし、渦かもしれないし、鳴音かもしれません。あるいは黎明かもしれないし薄暮かもしれません。けれど私は今現在人であるから、明日も人であるであろうことを疑ってはいません。 そう言ったら、お前は阿呆だと罵られました。 ああそうか、私は阿呆なのかと納得し、少なからず安堵している自分に気づいて、私は何て自由なのだろうと思ってみたりもしたのです。こんなにも自由なの...
pale asymmetry | 2022.11.18 Fri 20:40
JUGEMテーマ:戯言 私の隣で横たわる老人は、もう息をしていなかった。やわらかく目を閉じ、唇の両端で密かに笑っている。まだその脳裏には何かのイメージが浮かび上がっているのだろう。それは楽園のイメージかもしれない。それとも生まれた瞬間の歓喜か。あるいは人生で最も傷ついた日の翌日、その朝の爽やかな記憶か。 私は横たわり、空を見上げている。それなのに老人の顔が解るのはおかしいだろうか。それだけではなく、私は老人に問うことが出来る。「世界はもう終わってしまったのですか?」と。 『...
pale asymmetry | 2022.11.16 Wed 22:21
JUGEMテーマ:戯言 井戸は浅いはずだけど、底は見えなかった。暗く黒く陰鬱だった。水の色は黒だったわけではなく、それは神聖なブルーだったのかもしれないけれど、私にはその色彩は全く認識出来なかった。ただ、激しく速く渦巻いていることだけは解った。その渦には煌めく微細な星が散りばめられていて、その乱舞が渦の存在を私に教えてくれたのだった。 手を浸せば、私もこの渦の捉えられてしまうだろうか。 渦に巻き込まれ、この小規模な銀河に飲み込まれてしまうだろうか。 渦は私の見知らぬコ...
pale asymmetry | 2022.11.15 Tue 21:51
JUGEMテーマ:戯言 その水は透きとおっていた。これ以上ないほどに澄み渡っていた。深度は深く、底は見えない。指を浸すと刺すように冷たい。飛び込めば、どこまでも沈み落ちて別の世界へと辿り着けるだろうか。それとも呼吸を止めて、鼓動を止めて、浮かび上がったそこは来世か。そんなものはないかもしれないけれど。 澄み渡った水は無色というわけではない。その液体は確かに色を纏っている。あるいは色彩を棲まわせている。その色彩を使役している。ではその色はどんなか。それを言語で記述することは難し...
pale asymmetry | 2022.11.14 Mon 21:32
JUGEMテーマ:戯言 次元は低いけれど決して消えることのない眠気が、私の思考を妨げる。薬がいけないのだ。でもそれがないと痛みに耐えられない。重い痛みから痛みを取り除くことが出来るのなら、私は薬を飲み続けるしかない。でも重みは取り除けないから、私は際限なく質量を増していくのだった。 最終的にはブラックホールになるかもしれない。 這う者について考える。そして跳ぶ者についても考える。さらには翻る者に結びつけて考えてみる。これは微細な事象から巨大な事象へとシフトしているのだった...
pale asymmetry | 2022.11.12 Sat 21:09
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