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JUGEMテーマ:戯言 一つは、バリケードのこと。巨大なコンクリートの塊。立方体のブロック。真ん中にくびれがあって、頭頂部に金属の輪、逆さになったU字が突き刺さるような輪。赤錆色で襞が多数。露出した血管のようにも見える。あるいは啓示のようにも感じる。この輪を覗いてみなさいと促されているように感じたりするのだ。この輪から見える景色は思いも寄らない地獄なのだからとか、逆にこの上ない天国なのだよとか、そういう類いの啓示。まあ、この二つは根元が同じなので、同じ風景が見えるわけなのだけど。 ...
pale asymmetry | 2021.08.27 Fri 21:19
JUGEMテーマ:戯言 時間を持て余している人がいるのだという。持て余しすぎて、心が沈んでいる人がいるのだという。時間を追いかけている人がいるのだという。どこまでも追いかけようと、なりふり構わず疾走している人がいるのだという。どちらもやがて倒れてしまって、助けが来ないと嘆くことになるのだという。 私はといえば、時間に踊らされている。ヘトヘトになるまで踊らされているというのに、甘い汗をかいて何故だか気持ち良くなったりしている。夏の最中に秋の鳴き声を聞いたりして、何かがおかしいと...
pale asymmetry | 2021.08.26 Thu 21:26
JUGEMテーマ:戯言 手首は横に薙いではいけないのだそうだ。邪魔なものが多すぎるのだという。深く傷つけたければ、縦に強く切るのが良いのだそうだ。そうすれば、必要十分な痛みを感じることが出来るのだろう。私はしないけど。しもしないのに、それが印象として私に確実に沈み込んだりするのは、それが、つまりその傷が、その痛みが綺麗だと思えてしまうからだろう。何故そう思えるのかは全然解らないけれど。 痛みには弱いのだ。それは確か。でも激痛が走ったとき、声が出ない。そして動きが止まらない。私...
pale asymmetry | 2021.08.24 Tue 21:35
JUGEMテーマ:戯言 もう夕暮れ時のはずなのに、それは欠片も見当たらない。陽光はまだ凶暴なままで、その支配力によって風まで沈めてしまった。無風の街路には、オートモービルがひっきりなしに行き交うのに、運転席に人影は見えない。誰も乗っていないはずはないのだけれど、陽光の反射が強すぎて車内が見えないのだ。そして私は世界の終わりを感じてしまったりする。騒々しい音を響かせながら、忙しなくオートモービルが駆け巡っているというのに。 歩道には人影がない。前方見渡す限り、後方を振り返っても...
pale asymmetry | 2021.08.21 Sat 20:58
JUGEMテーマ:戯言 私は巨大な猿の背中にしがみついている。そんな気分だ。 黒々とした猿の鬣を両手で懸命に握りしめている。猿は疾走している。その疾走は速過ぎて、飛んでいるようだ。何かを超越している。だからどんなに速過ぎても、風が唸りを上げることはない。猿の動きは洗練されているから、無駄な発熱もない。だから私に業火のような熱は伝わってこない。むしろ穏やかな時間だけが流れているように思える。 それでも、私は猿の鬣にしがみついていなければいけない。 黒い猿はゆるやかに両手...
pale asymmetry | 2021.08.17 Tue 21:40
JUGEMテーマ:戯言 鍵を分け合うことにこだわる人が意外と多いように思えてしまうのは、私が無造作に扉を開けすぎるせいだろうか。もっと慎重に、もっと躊躇して開けることが常識とされているのかもしれない。まあ、私には関係ないけれど。 「鍵なんて、いくらあっても良いものでしょう?」という人も多いけれど、鍵なんてあってもなくても何も変わらないと思えてしまうのだ。扉は閉じるためにあるのではなく、閉じられるためにあるのでもなく、閉じたままを維持するためにあるわけでもないでしょう。それは開く...
pale asymmetry | 2021.08.15 Sun 21:12
JUGEMテーマ:戯言 目隠しが解かれて広がった風景の内で、人形たちが踊っていた。 人形たちは輪を描くように踊っている。純白のドレスを艶やかに揺らしながら。丸いステージはそれ自体も回転していて、煌びやかな電飾に埋め尽くされている。まるで回転木馬だ。その木馬が全て自動人形に置き換えられたような様相だった。人形たちは皆王冠のようなボンネットを被っている。それには過度の装飾が盛り付けられていて、人形たちの顔は見えなかった。人形たちは軽快に奇妙な動作で踊りながら、回るステージと共に円...
pale asymmetry | 2021.08.12 Thu 21:17
JUGEMテーマ:戯言 コードが挿入された。とても単純なコードが。気をつけなさいと、皆が言う。コードがあなたの内部で暴れると。そしてそれに呼応して、あなた自身が暴走するからと。しかも暴走するあなた自身はあなたでありながら、あなたの制御下にはないのだと。だから、あなたはじっと身を潜めるしかないのだと。アンチコードを噛み砕いて、ただあなた自身の暴走が去るのを待つしかないのだと。 私自身の暴走なのに、どこに去って行くというのだろう。去ってしまった私の暴走が、私の与り知らぬところで世...
pale asymmetry | 2021.08.10 Tue 18:55
JUGEMテーマ:戯言 嵐が迫っている深夜、私は街路を転がっている。何だが、最近はよく転がっているような気がするな、とか考えながら。回転する世界からは、夜のヴァージニティーが滲み出て滴っている。それが街路を濡らし、私を回転させる。月は銀色の舟で、それは中天へと昇ろうとして、追随できない私を嘲笑っている。世界と一緒にそんな月も回転している。 嘘だ。回転しているのは私だけ。 街路は想像のエジンバラで、道端の自動販売機は輝く宮殿だ。内部に貴重な宝石を隠し、どんな呪文も受け付けず...
pale asymmetry | 2021.08.07 Sat 21:02
JUGEMテーマ:戯言 私は箱の外にいて、それが悲しい。 「でもあなたは箱の外にいるから、転がれるでしょう?」 箱の中からあなたは言う。そうして私は転がり続けて、無数の傷を纏うことになる。その一つ一つは小さく浅いから、痛みも不快もない。それどころが、どこにどんな傷がどれだけあるのかなんて気にならない。けれど傷は確実に私から奪うのだ。 「でもあなたは奪われるから、歌うことができるでしょう?」 透明な箱の内側で、あなたは蹲って笑う。透明なのに仄かに輝く箱の中で、ハレーショ...
pale asymmetry | 2021.08.05 Thu 21:31
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