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JUGEMテーマ:戯言 嘘で怒りを誤魔化すあの人が、偽の情報をばら撒く。全ての情報が嘘だから、瞬く間に風景は嘘で溢れかえってしまいそう。ガシガシと不快な蠢きで、嘘が風景を破壊する。どこにも本当はないから、私は目を閉じ耳を塞ぐしかない。そして呼吸を止めて、苦しくなって仕方がないので空を見上げる。 それにしても気持ちのいい青空。風は珍しく南から。その風は強く、私を温めては冷ます。その繰り返し。繰り返すリズムが私の鼓動を安定させる。あの人はどうして怒りを嘘に変換するのか。どうして怒...
pale asymmetry | 2023.01.12 Thu 21:17
JUGEMテーマ:戯言 甲板では、複数の人物が箱を取り囲んでいた。アンティークな木の箱。鎧のような金属のフレームを纏っている。厳重に鍵がかかっているらしく、箱の中身は見られない。箱を囲む人のなかの一人が言う。 「どうやら、中にはダイヤモンドが入っているらしいよ」 他の人たちが一斉にざわつく。けれどそのなかの一人が鋭く言う。 「中身はヘドロだと聞いたよ」 また他の人たちがざわめく。何とか箱を開けようと協力し出すけれど、箱が解錠されそうな気配はない。 「この鍵は時限式だ...
pale asymmetry | 2023.01.11 Wed 21:27
JUGEMテーマ:戯言 浅い眠りが私を揉みしだく。心地良いのか、違和感なのか、その境界線上なのか、よく解らない。眠気の奥底で覚醒しているので、どこの誰とも知らない自分を抱えて途方に暮れそうになる。時間は私を無視して加速していくし、風景は煌めきを鋭利に尖らせて私に傷を刻む。 無数に刻む。 五十六億七千万刻む。 浅い眠りは、浅いせいで私から剥がれない。いつまでも纏わり付き、甘く私を舐め回すのだ。甘く舐め回す? いやらしい。それでもそれは確かなこと。ひたひたと私ではない私が...
pale asymmetry | 2023.01.10 Tue 22:03
JUGEMテーマ:戯言 風は微睡んでいて、朝は気怠い半裸のままだ。そういう早朝に、私は仕事に向かう急な坂道を下る。見下ろす風景の終端は海。綺麗に凪いだ薄暗い海が広がっている。私は立ち止まり、海に目を凝らす。何かが跳ねたように思えたけれど、気のせいかもしれない。しばらく目を凝らしてみたけれど、何も見つけられない。 歩き出した足先が何かを弾いた。目を向けるとそれは歯車だった。冷たい銀色の歯車。私の掌サイズで、見た目は重そうなのに持ち上げるとひどく軽い。そして指から伝わるひんやりと...
pale asymmetry | 2023.01.09 Mon 21:38
JUGEMテーマ:戯言 久しぶりに月を見たような気がした。そんなはずはないと思えるのだけれど、ではこの前はいつ月に出会っただろうかと考えてみるけれど、それがいつだったか思い出すことが出来ない。雨の日が続いていたかと言えばそうではない。だから夜空に月を見つけることが出来たはずなのに、その記憶はない。夜空を見つめることがなかったのだろうか。そうだとしたら何故だろう。それもよく解らない。 今日の夜空は雲量が多い。隙間は所々に僅か。その僅かな切れ目の一つに月が浮かんでいる。少し白味の...
pale asymmetry | 2023.01.05 Thu 21:31
JUGEMテーマ:戯言 最初のそれは鍵とグリス。ギクシャクと軋む挙動。振る舞いの不自然さ。度を超えた優しさ。それが辱めるもの。そういうことを告げて、私に踏みとどまらせた。縺れてしまって、取り返しがつかなくなる前に。それはコール。立ち止まらせるコール。犬の声。怒っているような甘えているような声。あるいは怒りながら甘えている声。 その次は老シャーマンの語り。モニターの中の荒野。サボテンの実を分け合う人たち。ゆっくりと引き剥がされるシーツ。それは皮膚の暗喩で、骨を顕わにすることで、...
pale asymmetry | 2023.01.03 Tue 21:19
JUGEMテーマ:戯言 少し酔ってしまったかもしれない。もともとそんなに強くはないのだ。だから普段は飲まないのに、特別な日だと感じてしまうときにはついつい飲んでしまう。そして普段から飲み慣れていないからこそ、ついつい飲み過ぎてしまったりするのだろう。とっておきの美味しいお酒を飲んでしまうのも良くないのかもしれない。 あなたは忙しく動き回っている。暦の節目に間に合わなかったことを、てきぱきとこなしている。もちろん私のお酒にも付き合っている。でも動き回っているせいか、酔っているよ...
pale asymmetry | 2023.01.01 Sun 21:24
JUGEMテーマ:戯言 冷たい雨は思考を鈍らせるから、私は寒い部屋の隅っこで膝を抱えて紋様を妄想する。風の音は聞こえない。雨の音も聞こえない。私の心臓の音も聞こえない。それはヘッドホンで耳を塞いでいるから。ヘッドホンからは魔女の語り。見知らぬ私の行く末を語っている。繋がらない未来と断片的な過去を並列して、あり得ない世界を構築している。 とても滑稽な語りだ。でも私は笑えない。毛布を抱きしめて、透明な祈りに身を委ねる。 ポケットには甘いコード。それは世界を救えない。私のことは...
pale asymmetry | 2022.12.30 Fri 20:43
JUGEMテーマ:戯言 吐き出した息が渦を巻く。渦は天界へと上昇していく。けれど全てが天界までいってしまうわけではないだろう。幾ばくかは、あるいは多くは宙に拡散して虚に取り込まれるだろう。それともただただ拡散して、いずれ誰かの呼吸に織り込まれたりするだろうか。そしてその誰かの吐く息を渦巻かせるだろうか。 でもそれ以前に、私自身が吸い込む空気に織り込まれているだろう。そして吐き出した私の息を渦巻かせるのだ。なるほど、だから私の呼吸は格好良いのか。何て考えてみたりして寒さを紛らわ...
pale asymmetry | 2022.12.29 Thu 21:13
JUGEMテーマ:戯言 「私には両手がないの」 少女はそう言って笑う。差し出された両手はクチバシのグラブ。ゴムっぽく見えるけど、プラスチックかも。 「クチバシには歯がないのよ。知ってた?」 僕は頷く。それが恐竜たちの選択した戦略だ。 「だから私は短かったのよ」 「卵の中のこと」 「そうそう」 少女は嬉しそうに頷き、「卵、卵……」と歌いながら踊り出す。軽やかに跳ね、手足をくねらせ、即興のメロディーに合わせて世界を擽るように踊る。 「あなたのその手は何...
pale asymmetry | 2022.12.27 Tue 21:20
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