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JUGEMテーマ:戯言 窓のない部屋で、波を探す。とても微弱な波。その波紋を掬う。けれどそれは掬った途端に消えてしまう。崩れて消えてしまう。最初から存在しなかったかのように。私とはかけ離れた事象であったかのように。こことは別の次元で、別の私と戯れるために、この私を見限ってしまったかのように。 窓のない部屋で、渦の行方を想像する。それと相関する私の心持ちを、その色を空想する。それがどんなに現実的な質感を有していても、それは空想なのだから私はその色彩を舐めることが出来ない。少し悲...
pale asymmetry | 2022.09.27 Tue 22:01
JUGEMテーマ:戯言 私はあなたを噛む。甘く噛む。あなたも私を噛む。同じように甘く噛む。私たちは甘く噛み合って、私たちという別の生き物になる。それは別の世界の宇宙の生き物で、私とあなたのことなんか知らない。でも私とあなたは私たちを来世の存在として、懐かしく思うのだ。 そんな話をあなたに囁いたら、あなたは少し考え込んでから「それは別の宇宙の世界である方が良い」と言った。「その方が、僕はその僕たちという生き物を愛でることが出来る」と付け加えた。 「別の宇宙の世界なんてつまらな...
pale asymmetry | 2022.09.23 Fri 21:46
JUGEMテーマ:戯言 立ち止まっている。空を見つめている。雲は流れていない。時間は凍り付いてはいない。雨は降ってはいない。風は吹いてはいない。僕は何もしてはいない。誰かが先を走っているかもしれない。でもその姿は見えない。見えない誰かを追いかけたりはしない。見えない誰かに追いつかれることを恐れたりもしない。どちらのためにも加速したりはしない。 立ち止まっていると、このまま永遠に速度を失ってしまうのではないか、などと考えてしまう。あるいは、歩き出す歩幅が半分くらいまで縮んでしま...
pale asymmetry | 2022.09.20 Tue 21:45
JUGEMテーマ:戯言 待つことには慣れている。ただ待つことにフォーカスする。だから扉を前にして、それを開くことはしない。扉は常に私の目の前にあり、いつだって開かれる瞬間のために待機しているのだから、それが例えば凝固して開かなくなるということはない。だから今夜は閉じたままでも構わないのだ。 それでも、少し寂しくなる。それは開いた扉の向こう側、その風景が変化してしまうからだ。たった今開いた扉の向こう側、その風景はたった今しか存在しない。明日開けば、明日の風景にしか私は出会えない...
pale asymmetry | 2022.09.16 Fri 20:24
JUGEMテーマ:戯言 雨が降ったことに気づかなかった。音もなく、陰りもなく、匂いもなく、いつの間にか雨が降っていたらしい。どうして何も告げずに、雨は去ってしまったのだろう。東から吹く風には雨の余韻は織り込まれてはいない。私は玄関の鍵を閉め、歩き出す。日の当たる部分の道は、もうすっかり乾いている。街路樹の下の湿った落ち葉がなければ、雨が通り過ぎたことに気づかなかったかもしれない。少し寂しい。雨が私を誘わなかったことが。 猫のような犬のような影が、少し先を歩いている。その漆黒は...
pale asymmetry | 2022.09.12 Mon 21:07
JUGEMテーマ:戯言 窓を開けると、雲のスクリーンが淡く輝いている。夜は浮かびながら沈んでいるようだった。 「この世界にないものを欲しがることは、月に向かって手を伸ばすことと似ている」 あなたの言葉をふと思い出す。いつも落ち着いたトーンを纏ったあなたの声を思い出す。もう長く会っていないあなたの横顔を思い出す。どれも、鮮明に思い出す。 「決して手に入れることは出来ないし、決して触れることは出来ない。でも欲しがることを、手を伸ばすことをやめることなど出来ない」 あなたの...
pale asymmetry | 2022.09.10 Sat 21:19
JUGEMテーマ:戯言 雨が降れば潤うはずだと思える。それは確かなことだと思える。そうはっきりと思えるということは、結局のところ私は花ではなく花器なのだと思う。それもかなり奇妙な花器だろう。例えば花を溺れさせるような。あるいは、花を弾き飛ばすような。弾き飛ばした上で、自らも溺れるような。 もちろんそれは、自らが内に蓄えていた水によってだ。それは淀んでいたかもしれないし、多くの不純物で逆に豊穣だったかもしれない。それにその不純物同士が思いもよらぬ化学反応で、新しい宇宙を膨張させ...
pale asymmetry | 2022.09.07 Wed 21:16
JUGEMテーマ:戯言 この風はどこから来たのか。どこで生まれたのか。どこへ向かっているのか。そういうくだらないことを考えながら時間を食い潰す。意味もなく空回りしている自分を感じているけれど、その感覚があまりにも希薄で、世界に触れているかどうかが怪しくなったりする。 「まあ、そういうときもあるよ」 あなたは笑う。どこか微妙な感じで。あなたは知っているのかもしれないと思ってしまう。この風が何者なのかを。どんな使命を有しているのかを。如何なる宿命を背負っているのかも。それを問う...
pale asymmetry | 2022.09.04 Sun 21:26
JUGEMテーマ:戯言 羅針は真南を指している。間違っているのは私だろうか。渦との距離を正確に計ることは出来ない。でも私の心は恐れる必要などないと告げている。長い列を成す人たちは、何に踊らされているのだろうか。あるいは何かなどは何もなくて、ただ踊りたくて踊っているだけかもしれない。そこに意味などなくて、意味を否定するだけのアルゴリズムがあるだけなのかもしれない それならば、みんなアルゴリズムに踊らされているのか。それに気づくことなく、自身の欲望に従っているだけだと誤解させられ...
pale asymmetry | 2022.08.31 Wed 21:34
JUGEMテーマ:戯言 水玉の流れに沿って、水玉を纏う。 その紋様は私の心を優しく撫でる。濁った眠気が霧消して、心地良い覚醒に思わず笑ってしまう。温い水は全身の皮膚に、透明なコードを入力してくる。それはこの星がまだドロドロと怒り狂っていた頃に組み立てられたコードだ。もちろんそのままではない。それはあらゆる可能性を選択し続けることで、洗練されたコードだ。その記録はもう失われてしまっているけれど、それでもコードはしっかりと今も機能していて、かつての怒りも忘れてはいない。 水玉...
pale asymmetry | 2022.08.30 Tue 21:07
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