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JUGEMテーマ:戯言 雨は好きだ。ただし、真っ直ぐに落ちてくる雨に限定される。無風か、ごく微かな風の日の雨で、どちらかというと大粒の感じ、それが真っ直ぐに降る雨は、私の気持ちを癒やしてくれる。だからそういう雨が好きだ。でも風が強い日、その風が北西または南西だったりするような日の雨は、意地悪く斜めに降る。それは突き刺さるように降る。だから嫌いだ。 冬の北西雨は、硬質で鋭利だから嫌いだ。夏の南西雨は気味悪くねちっこいから嫌いだ。斜めに降る雨は、本来の雨が持つ気品を失っていると思...
pale asymmetry | 2022.05.31 Tue 21:57
JUGEMテーマ:戯言 目を閉じても雨が降っている。そういう色が闇の中に混じり滲んでいる。本当の雨はとても細かな粒子で、傘を叩く音も、その表層を撫でる音も聞こえはしない。ごく微かな気配を感じるだけだ。でも私の闇には雨の色が織り込まれている。それは痛みを伴わない流血のように、私から重要な事象を奪っているような気がする。でも痛みがないから、どこから何が奪われているのか私には解らない。 風がないので、雨は舞い踊ることもない。それなのに微かな質量しか有しないから、その雫は不可思議な落...
pale asymmetry | 2022.05.24 Tue 21:52
JUGEMテーマ:戯言 足下に注釈を飾り付けることを躊躇する。数日の雨の後、今日は綺麗な青空が広がっているから。ゆるやかな風は、軽快にハミング。私の皮膚を微かに撫でて去って行く。あるいは、私の皮膚から数ミリだけ離れたところを吹き抜けていく。だから、撫でられたと感じたのは錯覚だ。こういう錯覚は歓迎すべき事象だと思える。 一度飾り始めたら、途中で投げ出すことは出来ない。だからどうしても躊躇してしまう。頭の中ではプロトコルがぐるぐると転がり弾けて煌めいているのに、転がり弾けて煌めき...
pale asymmetry | 2022.05.22 Sun 21:01
JUGEMテーマ:戯言 1メートル先に猫がいる。街路樹の根元。雨を避けているのだろう。粒の大きな雨だけど、風がないから街路樹の枝と葉が傘になってくれる。小さなな猫だ。一見黒猫に見えるけれど、よく見るとキジトラかもしれないと思える。夕刻が近づいていて、しかも天気が悪いからはっきりとは解らない。もちろん悪いのは天気ではなく私の目なのだけど。あるいは私の認知能力の方かもしれないな。 50センチまで近づいてみる。猫が顔を上げて私を見つめる。どのくらいこの場所にいたのか、全身の毛が濡れそ...
pale asymmetry | 2022.05.20 Fri 21:17
JUGEMテーマ:戯言 一日中、雨を見つめていた。透明な雨を。その音を聞いていた。いや、嘘だ。私だってちゃんと仕事をしていたし、ランチだって食べた。ずっと雨だけを見つめて過ごしていたわけではない。けれど、今日私は一体何をしただろうと振り返ると、それは雨を見つめていたとなる。一日中見つめていたとなる。 ただ雨を見つめていたわけではない。その雨に私は包まれていた。抱きしめられていたのかもしれない。口づけされていたのかもしれない。それ以上のことをされていたのかもしれない。そういえば...
pale asymmetry | 2022.05.16 Mon 20:45
JUGEMテーマ:戯言 ただ石として世界に居座るわけにはいかないらしく、日々のルーティンをこなしていく。呼吸数を落として、何も考えず。思考を伴わない行動だけを繋いでいく。そうしなければ、痛みに倒れてしまいそう。蹲って、そのまま眠ってしまいたくなる。そうしていれば随分と楽になる。夢だって見られる。あるいは夢さえも沈めて眠ることだって出来る。 ただ痛みと手を繋いで、その時間だけを抱きしめていたいのに、世界がそれを許してくれない。どうしたって私は追い立てられるのだ。奇妙に綺麗な笑顔...
pale asymmetry | 2022.05.15 Sun 21:15
JUGEMテーマ:戯言 くだらないかもしれないけれど、柱の強雨が私を閉じ込めようとする。もちろん私は抵抗する。恐れはあるけれど、それに身を委ねてしまえば何もかもが絵空事になってしまうので、取り敢えず恐れは握りつぶしておく。握りつぶして蹴飛ばしておく。あなたはくだらないと思うだろう。私だってくだらないと思うくらいだから。 些細なことかもしれないけれど、鋭利な陽光が私を走らせる。のんびりと転がっていたいと思っていたのに、その陽光が時間の螺子を巻くのだ。発条仕掛けの偽永久機関が、さ...
pale asymmetry | 2022.05.12 Thu 19:18
JUGEMテーマ:戯言 幾つかの事象は回転しているはずなのに、空は綺麗に青ざめている。それが起こりえないことだなんて思ったりはしないけれど、私は今歩いているのか、止まっているのか、それとも走っているのか、その辺りがよく解らない。それはつまり、私は今疲れているのか、それとも好調なのかも解らないと言うことだ。 それを身体に尋ねてみても、どんなシグナルも返っては来ない。返ってこないことが良いことなのか良くないことなのかも解らないから不安になることもないけれど、なんだか凪の海の懐で波...
pale asymmetry | 2022.05.07 Sat 21:07
JUGEMテーマ:戯言 例えばそれはイジュの花。薄暗い路地いっぱいに敷き詰められている。空は黄昏時。でも綺麗な琥珀はそこにはない。今にも雫が落ちてきそうな大鼠。蹲って眠っているのかもしれない。でも夢は見ていないだろう。泥のように眠っているのだ。その泥を喰らえば、私もこの行き止まりから抜けられるかしら。 行き詰まっているわけではない。ただ闇が多いだけ。でも綺麗な闇だ。それでも闇は闇だ。 例えばそれは香の匂い。異次元へと誘う匂い。そこは光で満ちているのか、それとも闇に押しつぶ...
pale asymmetry | 2022.05.06 Fri 21:23
JUGEMテーマ:戯言 灰色の象が濃紺の海を泳いでいた。灰色の空の下だったせいで、その象は空を結晶化したもののようにも思えた。見渡す限り陸はない。象はどこから泳ぎだしたのか。そしてどこに向かっているのか。それともそういうもの、出発点や到着点のことを考えてしまうのは、私が人間だからなのだろうか。象はそんなそんなことは考えないのかもしれない。そんな愚かなことは。 その海域はポイント・ネモの近くだったかもしれない。つまり今にもスペースシップが落ちてくるかもしれない。あるいはそういう...
pale asymmetry | 2022.04.28 Thu 20:55
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