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JUGEMテーマ:戯言 満月を見つめている。満月を感じている。満月と結ぼうとしている。満月が寂しそうだから。こんな私で良かったら、、結んでみてはいかがですか? という想いを眼差しに織り込んで飛ばしてみる。捧げてみる。もちろん返事はないけれど、綺麗な月ですね、とどこかで誰かが口にしているのを感じたりする。私は満月を見つめる。鮮血の滴る満月を。 満月の鮮血は白銀色だ。槍のように長く鋭利な雫だ。それが曲線の輪郭から剥離するように、私をめがけて落ちてくる。もちろんかわしますとも。そん...
pale asymmetry | 2020.10.01 Thu 21:42
JUGEMテーマ:戯言 はっきりとしていることは、その黒猫は頭を三つ有していたということだ。もちろんボディは一つだ。尻尾も一本で、決して九本ではない。三つの顔を持つその黒猫は、顔ごとに瞳の色が違っていた。青い瞳の顔。金色の瞳の顔。赤い瞳の顔。瞳の色が顔によって違うことには意味があるのだろうか。あるのだろうな。でも、私が傾倒しなければ鳴らない意味ではないだろうな。猫にとっての重要なキーポイントとしてだけ存在する意味なのだろうな。 それでも私はその意味を追求しなければならないだろ...
pale asymmetry | 2020.09.29 Tue 22:04
JUGEMテーマ:戯言 小さな庭の真ん中に石造りの東屋。そこには漆黒の棺が置かれている。霧雨が夜明けの時刻からずっと降り続いていて、肌寒かった。小さな庭には、誰も訪れない。この庭の存在を誰も知らないのだ。世界中の誰一人も。庭について記述している私自身さえも。矛盾しているだろうか。いや、そんなことはない。存在を知らなくとも、記述することは可能だ。そして記述したその瞬間に、庭の存在を知ることになる。つまり私は記述するためだけの存在だ。そういう装置だと言っても良いかもしれない。 誰に...
pale asymmetry | 2020.09.27 Sun 21:14
JUGEMテーマ:戯言 「世界はわがままだ」 直立二足歩行の山羊が言う。 「世界とはわがままが折り畳まれた素子で構築されている」 山羊は黒いライダーズスーツに身を包んでいる。しかしその相貌を見る限り白山羊だ。 「ところで君はわがままか?」 聡明な眼差し、それが斜めに傾いて私を捉える。山羊は私より身長がかなり高い。急降下する眼差しが、私の心に波紋を広げる。冷たい空気が水面から旅立つような波紋だ。それが終わりのない旅であることは確かだと思えるような冷たさだ。 「世界は...
pale asymmetry | 2020.09.25 Fri 19:19
JUGEMテーマ:戯言 午後に入り、日差しはますます強くなる。そして際限なく鋭利になる。鋭すぎる日差しが私を襲う。もっとも、私はエアコンディショナーがフル稼働している室内にいて、四肢を投げ出して横たわる犬を眺めながら、冷えたコークを飲んだりしてる。まあつまり私は世界から乖離しているのかもしれない。でも今は大抵の人が世界から乖離して暮らしているのではないだろうか。もう人間は世界と通じ合える言語を有していないのかもしれない。 それをいつ忘れてしまったのだろう。どんな事象の積み重な...
pale asymmetry | 2020.09.23 Wed 14:47
JUGEMテーマ:戯言 紫水晶のロケットが飛ぶ。群れて飛ぶ。その軌道は複雑に交錯する。まるで求愛し合っているようだ。するとこの先、ロケットたちは繁殖し、新しいロケットが群に加わるということなのか。千年後には、空はロケットで埋め尽くされるということか。僕らは宇宙を眺めることが出来なくなり、この惑星に閉じ込められてしまうということか。仕様がないな。僕らはこんなにも罪深いのだから。それはつまり穢れなのだろう。穢れは隔離されなければいけないのだろう。そして僕らは穢れが大好きだ。その上穢れ...
pale asymmetry | 2020.09.20 Sun 21:02
JUGEMテーマ:戯言 私は指を立てる、唇の前に。指先は天を指し、私の静けさがそこを目指す。それが取り返しのつかないことだと、私はよく知っている。だから、本当にそこを目指すわけではない。だって、恐怖を振り払うことが出来ないから。私は意気地なしで、だから世界に両脚を着けていられるのだ。 誘われたりはしない。何者にも誘われていないから。そういうものが私のすぐそばを通り過ぎて、追い抜きざまに私を魅了しようとしても、私は巧妙に目をそらすのだ。そうすることでひどい痛みを抱えることになっ...
pale asymmetry | 2020.09.15 Tue 22:04
JUGEMテーマ:戯言 台風が過ぎ去って、夜はしっとりとした冷ややかさを纏った。夏が終わったのだな、と私は思う。「昨日夏が終わりました」と呟いてみる。では今夜から秋だと思えるかというと、それは無理だ。すると今夜は季節のない夜なのだ。そういうあやうい夜のことを、私は愛している。そういう夜は、お気に入りの場所に行くことにしている。それは砂浜だ。細い急斜面の獣道を長く下って辿り着く砂浜だ。慎重に下りながら、私は気持ちを脱ぎ捨てていく。季節を超えるために、次の季節に濁りを持ち越さないため...
pale asymmetry | 2020.09.09 Wed 21:30
JUGEMテーマ:戯言 ルビーは酸味が足りないって君が言うから、僕はガーネットを差し出したんだ。すると君は今度は甘みが足りないと、少しヒステリックに言う。それはそうだ。ガーネットなんだから。甘味を持ってしまったら、それはカーバンクルになってしまうよ。そう僕が説明すると君は顔を顰めて、私が言っているのはそういうことではないの、と言う。じゃあどういうことなんだい、何て僕は訊かない。だってそんなことをすれば、結局君を凶悪な感じで叫ばせることになるから。 君が今どんな気分で、どんなジ...
pale asymmetry | 2020.09.08 Tue 22:14
JUGEMテーマ:戯言 おそらく時刻表だろうと思われるそのボードを見上げて、溜息を零してみたりする。私のその息が、ホームの空気を少しでも温めることが出来ただろうか。いや、そんなことは全くないだろう。それくらい、ホームの空気は冷たく沈んでいた。私の息は吐き出された後に直ちに拡散し、その破片は散りばめられて強制的に上昇し、再び下降するときにはすっかり冷えた凶悪な空気に変換されているのだろう。 ボードには見知らぬ文字が並んでいる。水平に並ぶその文字は、右から読むのが正しいのか左から...
pale asymmetry | 2020.09.06 Sun 20:22
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