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JUGEMテーマ:戯言 小さなロボットだった。頭も胴体も腕も脚も手足も、楕円形のロボットだった。たぶん思考も感情も楕円なのではないだろうか。ピカピカに錆び付いたロボットだった。輝く錆色だったのだ。矛盾しているのは解る。けれどそうとしか見えない色彩を纏ったロボットだったのだ。時間の回転に乗りながら、同時に逆回転させているロボットなのかもしれない。もちろん逆回転は、秘密の行為だろう。きっとインモラルな行為なのだろう。そうであるなら、快感を伴う行為かもしれない。 ロボットは私の膝ま...
pale asymmetry | 2020.09.02 Wed 21:30
JUGEMテーマ:戯言 古の人たちは、巨大な現象を神の行動だと認識したのだと聞いた。そういう現象に対して、畏れ敬い、讃え平伏し、場合によっては供物を捧げたのだと聞いた。多くは流体の連動、あるいは増幅や反発なのだろうけれど、それが人間のスケールに比べてあまりにも大きすぎると、その事象はありふれた事象として捉えられなくなり、そういうものは全て神の領域にカテゴライズされたのだと聞いた。 なるほど、と私は思う。風に煽られながら、なるほどと思う。雨に沈められながら、なるほどと思う。 ...
pale asymmetry | 2020.09.01 Tue 21:29
JUGEMテーマ:戯言 海水が抱える熱はとても素直だ。そしてそれはしなやかだ。私はそれを次々と入力し、高揚していく。際限なく高揚していく。海はその内側に持つ生命の複雑系を、とてもシンプルに水面に描いている。透明な模様として。小さな生命も巨大な生命も、その模様に地図記号のように刻まれている。身体を持つ者は、その模様の狭間に自身の気持ちを織り込み、例えば水面が鋭く尖っているときも、例えば水面が鈍重に盛り上がっているときも、巨獣のように立ち上がっているときでさえ、自身がそこから剥離しな...
pale asymmetry | 2020.08.31 Mon 19:55
JUGEMテーマ:戯言 唸り声で目が覚めた。うねるような唸り声で。その声で跳ね起きた。真夜中だ、きっと。時計を見たわけではない。カーテンを閉め忘れた窓から月光が斜めに流れ込んでいたのだ。その月光が、「真夜中だよ」と快活に告げているように思えたのだ。ここで重要なのは、この夜の月光が快活であったというだけで、月光の本質が快活なのではないということだ。本質は、おそらく冷酷なのではないだろうか。月は女王なのだから。そして女王は虎を浮かび上がらせる。 つまり月光が、部屋の隅で蹲り私を見...
pale asymmetry | 2020.08.28 Fri 21:51
JUGEMテーマ:戯言 音なんて、本当はしないはずなのだ。それは実態を持たない運動の概念にすぎないのだから。何かが、獣のような何かがそこに存在するわけではなく、無関係に存在していたはずの複数の現象が連動して、透明なのに暴虐な紋様を描いているのだ。紋様だから、それは静寂を纏っていて、音の要素は紋様には内包されていない。いないはずだ。でも感じてしまう。唸り声を、叫び声を、嘲笑う声を、組み伏せようとする恫喝を。音を発しているのはその運動ではない。私の心だ。その運動に触れて巻き込まれてし...
pale asymmetry | 2020.08.24 Mon 22:15
JUGEMテーマ:戯言 星がほろりと落ちてきたりして、それをひらりと受け取ったりしたら、私の両手ははらりと揺らぎ、そのままりらりと眠りに落ちてしまうかもしれないな。そうして灰色の闇に墜ちていって、無感覚の楽園へと堕ちてしまいそう。そんな私を神様が見つけて、ぐらりと世界を歪ませたなら、私の眠りも崩壊して、溺死に似たような苦しい快感を感じたりするのだろうか。 溜息が零れる。うつらうつらとした溜息が。それは熱い息。夜気と混ざりあうことなく、その息は星の向こうへと昇天する。いやもっと...
pale asymmetry | 2020.08.18 Tue 22:15
JUGEMテーマ:戯言 何かを考えたいわけではない。何かを考えなければいけないわけでもない。自然と何かを考えてしまうというのとも少し違う。何かを考えてしまうのではないかと考えてしまう、という感じが一番近いかな。何かを考えてしまうということに、怯えているのかもしれない。いえ、怯えているの。考えてしまうことを。 ベッドの上で毛布に包まって、エアコンは過剰に強くして、ヘッドホンで波の音を聞く。飛ぶために、浜辺に飛んでいくために。もちろんイメージの話。けれどそれは創作されたイメージじ...
pale asymmetry | 2020.08.16 Sun 21:21
JUGEMテーマ:戯言 私は一人、あなたに寄りかかる。私ではないあなたに。それはまさに、私はあなたではなかったから。私たちは翻ったかもしれない。世界が時折見せる悪意のような悪意でないような、とても微妙な振る舞いに穢れを感じた瞬間。私たち、それは私かもしれないあなたと、あなたかもしれない私。 非接触なんてあり得ない。分断なんてあり得ない。 私があなたでないことの歓びは、触れることから生まれるんだ。あなたを抱きしめるから奥底まで染みこませることが出来るんだ。それがなくして、繋...
pale asymmetry | 2020.08.14 Fri 20:53
JUGEMテーマ:戯言 黒い犬が歩く。中型犬、推定体重は14キロ。二十年生きた老犬だ。気温が四十度を超えたアスファルト道路を、頭を下げてほとんど目を閉じて、瞑想するような表情で歩く。時折、溜息のような長い息を吐き出しながら。二十回目の真夏は、彼にとってかなり過酷なもになった。それは彼のせいではない。都市のせいでもない。世界のせいでもない。神様の策略ですらない。だから、彼は吐き出した長い息の全てを残さず吸い込んで、歩き続ける。 風は吹いている。けれど南からだ。真夏の南風は、風とし...
pale asymmetry | 2020.08.12 Wed 21:55
JUGEMテーマ:戯言 最近、スカラベの幻覚をよく見る。紫がかった緑のスカラベで、私の親指くらいのサイズ。それが気がつくと肩に止まっていたりする。気づいた次の瞬間には消えている。飛び去ったというより、蒸発した感じの消え方だ。あるいは、私の肩に染みこんだような消え方だ。その幻覚を見るたびにドキリとするけれど、特にそれ以上の実害はない。それを見ることによって体調がおかしくなるとか、訳の解らないことを叫んでしまうとか、狂喜乱舞してしまうとか、そういうことはない。だから、そのままにしてい...
pale asymmetry | 2020.08.08 Sat 21:17
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