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JUGEMテーマ:戯言 よく晴れたインディアンサマーの午後、僕らは傘をさして街を歩く。透明なビニールの傘。水色のマーカーで水玉模様を描いたやつ。その傘越しに空を見上げて、空は水に溢れているけど、雫が宇宙に溶け込んでいるのは恥ずかしいからだろうかと呟き合う。そういうことが許される世界だから、僕らはそれを愉しんでみる。 「本当に許されていると思うかい?」 君は傘を振り回しながら訊いてくる。 「許されていることなんて何もないと、本当は思ってる」 僕が正直に応えると、君は満足...
pale asymmetry | 2022.01.03 Mon 21:00
JUGEMテーマ:戯言 君は大きく両腕を振り回し、空気の中のスタイル因子を掻き乱す。それは宇宙から降り注いだもので、僕たちがこうもり傘を逆さにして集めたものだ。僕たちは廃棄されたベースのハンガーで、そのスタイル因子を舞わせて遊んでいたのだけど、君はその遊戯の奥深くに次の世界に繋がるドアを見つけたみたいだ。 「ロリーポップを捨てなさい。今すぐ捨てなさい」 君は凶暴に飛び跳ねながら叫ぶ。僕らは皆手にしていたロリーポップをゴミ箱に投げ捨てた。それは錆びた金属のゴミ箱で、編み目の隙...
pale asymmetry | 2021.12.30 Thu 20:42
JUGEMテーマ:戯言 「どこまで行くつもりなの?」 と少女に尋ねてしまう。 「ワンダーランドまで」 と少女は笑う。 その笑顔は緋色に陰っていて、ワンダーランドなんてないのだということを十分に理解している陰りだった。でも僕は信じていた。彼女が「ワンダーランドまで」と言うのなら、彼女は必ずワンダーランドに辿り着くだろう。この世界ではなく、次の世界か、それともさらに次の世界かも知れないけれど、きっと辿り着いて、その笑顔は紺碧に輝くだろう。そう僕は信じていた。 胸の痛み...
pale asymmetry | 2021.12.27 Mon 20:51
JUGEMテーマ:戯言 私は痛みを恐れていて、だから泣き叫ぶことが出来ない。それをしてしまえば、痛みが私を蹂躙していることを刻み込むことになってしまうから。ぼんやりと抱えても、その幻想を排出することは出来ない。私はそれに向かって突き進んでいるようにさえ思えてしまう。もちろんそんなことはなく、ただ流れが私の皮膚を撫でているだけなのだ。痛みから剥離した寂寞の流れが。 流速は速く、流麗なフォルム。 それの本性は捉えられず、その起源もその行く末も解らない。 本当に、私はどうし...
pale asymmetry | 2021.12.26 Sun 21:25
JUGEMテーマ:戯言 箱を閉じたければ、まずは開かなければいけない。箱を開きたければ、まず閉じなければいけない。閉じられた箱を閉じることは出来ないし、開かれた箱を開くことも出来ない。当たり前のことだ。閉じられた箱と開かれた箱が重なって存在していたら? その箱を開くことと閉じることを同時に出来るのだろうか。それとも全てが打ち消されて、全ての行為が対消滅してしまうのだろか。そんな箱は存在し得ないからと安心なんて出来ない。この世界に起こりえないことなど何もない。どんな事象も起こりえて...
pale asymmetry | 2021.12.24 Fri 21:59
JUGEMテーマ:戯言 「取り急ぎ、旗を立てろ」 誰かが私に言う。命令だったかもしれない。懇願だったかもしれない。求愛だったかもしれない。 「その旗を振り乱せ」 誰かが私に言う。それは命令ではなかった。懇願でもなかった。求愛の可能性は捨てきれない。 「旅をする旗は炎になびくものだ」 誰かが私に叫ぶ。私の心が旅に傾いていることを知っているのだ。それなのに炎という言葉を用いるのは、私の旅を肯定していないことの表れだろう。 「風は吹いていない。それどころか、空気が蹲って...
pale asymmetry | 2021.12.21 Tue 22:12
JUGEMテーマ:戯言 底のない世界には、闇は似合わない。だからそこには光が満ちているのだろう。それが見せかけの安穏であったとしても、そこに安穏の光が漂っていることが傷を癒すためには必要なのだろうと思う。綺麗な闇は、確かに進むための原動力になるかもしれない。それが四肢のネジを巻くという意味で。その四肢は私のそれであり、またあなたのそれであり、あるいは誰かのそれであり、そしてこの世界を外側から観測している高次の者のそれなのだ。 そういうわけで、私はシーラカンスを抱く。優しく抱く...
pale asymmetry | 2021.12.20 Mon 19:37
JUGEMテーマ:戯言 私には解らない。彼女は月と踊ったのだろうか。あの夜の冷たい月と。遠い月と。昏い月と。彼女が何を見て、何に誘われて、何と共に乱れたいと思ったのか、その真相に辿り着くことなど誰にも出来ないだろう。私にだって出来ないし、はなからそれに挑もうとも思わない。解らないままの命題は、解らないままに最適化するのが行儀の良い行為だと教えられたし、それに異論はない。想いを織り込み、その化学反応を感じることは出来るけれど、それを言語化することは不可能だ。絵にすることだって、音楽...
pale asymmetry | 2021.12.19 Sun 21:05
JUGEMテーマ:戯言 白と灰色が混ざり合った雲が空を支配していたけれど、隙間から見える僅かな青は、何だか高貴な青だった。でもそれは本当は青じゃない。青だと思っている私がいるだけで、見上げたそこに青があるわけじゃないんだ。知ってる。よく知ってる。青は私の頭の中にしかない。だから白だって灰色だって、そんな雲だって本当はないんだ。全部が、紐解かれたイメージに過ぎないんだ。もちろんそう感じたからといって、青がなくなるわけじゃない。私が感じている青はどこにも去りはしない。それはずっとそこ...
pale asymmetry | 2021.12.17 Fri 21:01
JUGEMテーマ:戯言 壁にへばりついているだけならば、何の意味もない。意味が必要なのかと自分に問うてみる。必要だよ。決まってるよ。それがないのならば、私は微睡んでいるのと同じじゃないか。微睡みは甘く、心地よく、恍惚に溢れ、浸れるのなら永遠にそうしていたいけれど、やっぱり私は意味を求めてしまうのだ。 私の螺旋がそれを求めているのだ。 意味がなければ、螺旋が成立しないと、他ならぬ螺旋が私に告げるのだ。 螺旋が解体されれば、お前は色彩に飲み込まれてしまうのだと。 だか...
pale asymmetry | 2021.12.14 Tue 22:01
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