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JUGEMテーマ:戯言 左右両方の肩の辺りが、破れそうに痛む。白昼夢の中で、私はそんな痛みを抱えている。この眠りは春に誘われているのだろうか。それとも、ただ眠りのための眠りだろうか。身体と魂はすでに開ききっていて、でもそれに気持ちがついて行けずに戸惑っているようだ。だから、こんなざらついた眠りを纏ってしまうのだろう。 左右両方の肩の辺りが破れて、新たな腕が二本生え出てきそうだ。そういう風な痛みなのだ。もしそうだとして、それは何のために生え出るというのだろう。今ある二本の腕でも...
pale asymmetry | 2020.05.15 Fri 21:38
JUGEMテーマ:戯言 リビングの真ん中で、ハンモックに揺られる。ハンモックスタンドがギシギシと軋み、その音か振動かに気づいて、隣の寝室から犬がトコトコとやってくる。私の身体はハンモックの内部にすっぽりと隠れているのに、スタンドの脇で四肢を投げ出して横たわる。その身体はスタンドの幅と同じくらいだ。それでも私に寄り添おうとしてくれる犬が可愛い。ただ寄り添うだけで、すぐに眠ってしまうけれど。でもその振る舞いさえも可愛く思えたりする。 犬を追いかけるように、あなたが寝室から現れる。...
pale asymmetry | 2020.05.12 Tue 22:02
JUGEMテーマ:戯言 家を出て数分歩いたところで、私は気づいた。私自身を家に忘れてきたことを。だから今私は私ではない。いや待て、私を忘れたのだから、私は私ではないと言うことはおかしい。つまり私はという部分が。私、と言える全てを今私は有していないのだから、私などと言ってはいけない。と言いながら、さっきから私は私私と連呼してしまっているな。本当に良くない。申し訳ない。世間様に。 しかし私を使わないのならば、なんと言えば良いのだろうか。僕? あたし? 我が輩? あちき? それがし...
pale asymmetry | 2020.05.08 Fri 20:12
JUGEMテーマ:戯言 私は犬と歩いている。銀色の大きな犬と。私がその背中にまたがったとしても、平気で駆け出せるだろうと思えるほど大きな犬と。風は西から吹いている。西風の割には乾いていて、心地良い流速を有している。その風が私の髪と犬の体毛を撫でる。私の髪は踊り、犬の体毛は波打つ。私の髪はただ翻弄されていて、犬の体毛は風を遊ばせ戯れているようだ。私よりもずっと犬の方が賢いのだろうと思った。この世界と対峙する知恵において。 私と犬は海沿いの道を歩いている。コンクリートが敷き詰めら...
pale asymmetry | 2020.05.07 Thu 21:50
JUGEMテーマ:戯言 「ステーションワゴンならコントロール出来るでしょう?」 そう言った少年は、カメレオンの仮面を着けていた。カラフルなカメレオンの仮面。カラフルな森林の奥深くでしか役に立たない仮面。そんな森林は多分存在しないだろうから、この少年は遠からず淘汰されてしまうだろう。あるいはそうされないために、少年は森林をカラフルに染めたりするだろうか。それくらいの行動力があるだろうか。いやそれは森林でなくてもいい。この都市でもいい。色彩の欠片の集合体にこの都市を変えてしまうだけ...
pale asymmetry | 2020.05.05 Tue 21:48
JUGEMテーマ:戯言 風は北から吹いていて、真っ直ぐ北から吹いていて、少し遠慮がちに吹いていて、それがかえって私を誘っているような気がしたりして、私は庭に出て草をむしる。見知らぬ草をむしる。見知った草もむしる。間違ってしまわないようにむしる。むしる植物とむしらないそれとの間には、本当は微細な差異もないのだと知っていながら、私はむしる。むしるべきものとそうでないものをより分けながら。汗をかく、いろいろなとりとめなのないことを考えて、いつの間にか何も考えていない状態で、オートマチッ...
pale asymmetry | 2020.04.28 Tue 22:05
JUGEMテーマ:戯言 散乱する花は、腐乱したモンスターの遺骸だ。無数のピースに切り裂かれ、とても美しくそして残酷だ。世界中に同じようなモンスターの遺骸があり、それがニュースとして取り上げられている。ある種の正義として。あるいはそこには正義があるのだと誰かが訴えたいのかもしれない。それとも正義はないけれど、正義を取り戻すための必要悪なのだと言いたいのだろうか。 閉ざされたシャッターも、腐敗するモンスターの遺骸だ。どんな想いも小さな張り紙には浮かび上がらず、がんじがらめのフォー...
pale asymmetry | 2020.04.25 Sat 21:33
JUGEMテーマ:戯言 どうと言うことはないはずなのに、生温い指先に恐怖を感じる。熱を持った生温い指先に。それに触れた場所が、ザクザクと削られるような、そんな底の深い不快感に囚われてしまうのだ。それと同時に匂いも感じてしまう。何かが腐り始めているような匂いを。決してそれは実際に存在する匂いではない。そのことは十分に認識している。それでも、感じることを止めることは出来ない。 生温かい掌が私のそれに触れると、穴が開いたような、汚れた真っ黒な穴が開いたような嫌な感じが流れ込んでくる...
pale asymmetry | 2020.04.20 Mon 22:02
JUGEMテーマ:戯言 根底に偽善があるために、その言語は私に吐き気をもたらすのです。悪意があるわけではないのでしょう。でもただ策を弄することに時間を費やされては、私は疲れてしまうのです。きっとハインラインのカミソリなのでしょう。そう思うから、怒りはわかない。嫌悪感を抱いているのかと言えば、それは少しだけ。でもほんの少しだけ。 私たちは互いの顔を知らない。それを美徳とする世界が、起動してしまってからどれくらいだろう。長い距離を身体に刻むこともなく、非接触のまま触れ合おうとする...
pale asymmetry | 2020.04.17 Fri 21:58
JUGEMテーマ:戯言 エレクトリックヒーターのスイッチをオンにして、自分が寒くはないことに気づく。外は雨で湿度は高く、不快直前の心地よさを感じている自分に出会う。ずっとその自分を纏っていたはずなのに、たった今すっとその自分に重ね合わさったような感覚になる。これは揺らぐ感覚ではないだろう。開く感覚だろうか。それとも、開くために閉じる感覚だろうか。両者は離れた場所に相対するはずなのに、二つの感覚は抱き合い、唇を重ねているようだ。強く深く。今は禁じられているはずなのに。 綺麗と汚...
pale asymmetry | 2020.04.11 Sat 21:43
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