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JUGEMテーマ:戯言 歩く。一歩一歩、つま先から地面に降ろす。踵は少し浮かせたまま。それが僕のスタイル。ほんの僅かだけど、空を飛んでいるような気分になれる。あるいは宇宙を落下しているような気分に。あるいは、天国から地獄に堕落しているような気分に。そんな気分を抱えながら、僕は歩く。人影のないアーケード街を、息を潜め、気配を殺して進んでいく。世界は溺死するものなのだとずっと信じていたのに、前衛的なコードに侵略されてしまうなんてがっかりだ。とても単純なコードなのに、それに対抗できるカ...
pale asymmetry | 2020.03.25 Wed 21:36
JUGEMテーマ:戯言 薄紅色の衣装の老婦人。柔らかな表情で、でも微笑んではいない。思索しているような、記憶を手繰っているような、遠い場所にあるブラックホールの、その事象の地平線にいる誰かと交信しているような。 リラリラと流れ落ちているのは、桜の花びら。老婦人の溜息。私の欲望。そして誰かの鮮血。 透明を塗り重ねた銀色の傘を、老婦人は掲げている。リラリラと流れ落ちる花びらは、その曲面で跳ねるように踊る。嘘、本当は飾られ、自由を奪われ、無意味な記号に貶められる。 老婦人は...
pale asymmetry | 2020.03.24 Tue 22:23
JUGEMテーマ:戯言 湖の畔で、私は炎を育てている。微かな幼火から、風と木を反応させ、水を排除して勢いを加速させる。夕刻から始めて、炭が出来上がり、後は何をくべても炎を立ち上がらせられるようになったのは宵の奥だった。今はただ見守り、気まぐれに色と形を制御する。そして尚、その炎に永久を学ばせるために育てるのだった。 空腹はコーヒーと焦がしチーズで紛らわせる。それ以外に食料を持参してはいなかった。ふと思い立ってここにやって来たわけではないけれど、自身がもの食う存在だということを...
pale asymmetry | 2020.03.19 Thu 21:52
JUGEMテーマ:戯言 南風を待たない。私は旅人ではないから。東から傾き始めた風が少しずつ顔をしかめて、猛るマングースの群となって鬩ぎ合っていても、私の心はぞわぞわしたりはしないから。跳ね上がる飛沫を冷徹に見つめながら、白い鷺が佇んでいる。彼の者は旅の途中だろうか。それともたった今ここから旅を始めようとしているのだろうか。あるいは旅はもう終わっていて、その思い出の内に沈み込んでいるのかもしれない。彼の者が目を閉じ瞑想する。このまま深く沈没して、何もかもを闇に紛らせるのだろうか。渦...
pale asymmetry | 2020.03.18 Wed 17:59
JUGEMテーマ:戯言 メタボリックなペンギンのような宇宙船が、作り物のような青空を横切って飛翔していくとして、それが目指すのは輝かしい未来なんかじゃなく、かといってディストピアというわけでもなく、つまりは行き当たりばったりの旅なのだということを、その宇宙船に乗り込んでいる人たちはきっと知らないのだろう。 私は宇宙船の外にいて、飛翔するそれを眺めながら、それが旅の果てに見いだすものを空想しては眠くなってしまう。あるいは何も見いださない永遠の旅を妄想して、さらに眠くなってしまっ...
pale asymmetry | 2020.03.14 Sat 21:39
JUGEMテーマ:戯言 自分の右手が左手であったことに、今日気づいた。これはメタファーではない。本当に、物理的に、私の右手はいつの間にか左手になっていたのだ。いつからだろう。記憶をどこまで遡ってみても解らない。自分の右手を見て、ああこれは確かに右手だな、などとしみじみと思うことなど案外ないものだ。普通はそうではないだろうか。それどころか、普段の生活のなかでは、右左という概念すらも全然思い浮かべていない自身に気づいたりする。あちらやこちら、そこやここ、むこうやこっち、などというシチ...
pale asymmetry | 2020.03.11 Wed 22:24
JUGEMテーマ:戯言 目が覚めたら石だった。石と言うには大きすぎるような気もしたので、岩と言うべきだろうか。でも岩と言うには小さいような気もするし、岩という響きはどこか不細工なように思えたので、石だということにした。イモムシではなかったことに、正直ほっとした。しかし何故私はこんな風にほっと出来るのだろう。つまり何故思考しているのだろう。石なのに。 私は荒野にいた。風が強く吹いていた。土埃があちらこちらで渦を巻いていた。赤錆色の大地で、渦もまた同じ色をしていた。それはこの惑星...
pale asymmetry | 2020.03.10 Tue 20:02
JUGEMテーマ:戯言 右足の親指が痒くて目が覚めた。親指の先っちょの方が。目を閉じたまま膝を折り、腰を曲げ、右手を伸ばして親指の先っちょをかく。指先に伝わる感触がどこか変だ。その感触が、私の意識を急速に覚醒させる。目を開いてみると、真っ暗だった。枕元のケータイを覗くと、午前二時だった。本当はこのまますぐに眠りに沈みたかったけれど、指先の感触が明らかに通常の親指の先っちょのそれとは違っていたので、仕方なく部屋の明かりを灯す。 その感触はひんやりとしていて、瑞々しくて、柔らかか...
pale asymmetry | 2020.03.06 Fri 20:50
JUGEMテーマ:戯言 黒い犬を連れて、海沿いの道を歩く。防波堤沿いの小道。舗装はされているけれど、誰からも忘れられた小道。北からの風はとても微か。低い防波堤の向こうの水面は微睡んでいるようなフラット。霧雨が心地よく舞っていて、黒い犬はしきりに鼻をひくつかせている。地面に向けて、空に向けて、右に左に、あげくは自分自身に向けて。何かをキャッチしているのだろう。きっとそうに違いないのだ。それは綺麗な何かだろう。彼は私に向けて、ひくつかせたりはしないから。そんなものを直接的にキャッチ出...
pale asymmetry | 2020.03.04 Wed 21:59
JUGEMテーマ:戯言 そのネズミは走ることが好きだ。とにかくよく走る。疲れを知らず走り回り続ける。というより、止まるとネズミは消えてしまうのかもしれない。その生命の炎が無に還ってしまうのかもしれない。だから、走り続けるしかないのだ。長い耳の後端を棚引かせて。その耳は、ネズミの身体よりもっと長い。世界の果ての音をキャッチ出来そうなくらいに。いや、実際にその耳は世界の果ての音を捉えているはずだ。その音、そこに織り込まれたインフォメーションがネズミを走らせているのだろう。私はそう思う...
pale asymmetry | 2020.02.26 Wed 22:31
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