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JUGEMテーマ:戯言 黒いドレスの少女が、鏡の中で佇んでいる。尖った目が、私を貫いて私の背後に広がっているはずの世界を睨んでいる。本当に、私の背後に世界があるのかどうかを私は知らない。だから、彼女が睨んでいるのが私に対して牙を剥いている翼竜であったとしても私は驚かない。次の瞬間にガリガリと喰われてしまったとしても、私は構わない。でも決してそういうことは起こらない。それをよく知っているから、私は少し悲しい。 鏡の中の少女は、私と似ても似つかない。 その微笑みも、私には似合...
pale asymmetry | 2021.11.18 Thu 20:42
JUGEMテーマ:戯言 人形が花を咲かす。内宇宙に蓄えていた蕾を開く。それは星の欠片から構築された蕾で、それが咲き開くということは銀河が生まれるということだ。人形は銀河を生んで満足そうに頷く。その花の花びらは、だから花弁ではなく花片なのだろう。 「あなたにも出来るよ」 人形が私を唆す。私はそれを真に受けて現を抜かす。内宇宙に美しい事象を何一つ有していないくせに、そこには星欠片も、その気配も、その余韻さえもないというのに。そんな私が何生み出すというのか。花は咲くかもしれないけ...
pale asymmetry | 2021.11.16 Tue 21:56
JUGEMテーマ:戯言 あれは花だったのだ、と今は思います。湧き上がる花びらの流れだったのだと今は思えるのです。けれどあのときの私は、ただ怖じ気づいただけでした。ただただ怖くて、ともすれば泣き出しそうな気持ちになってしまったのです。どうしてそんな気持ちになってしまったのでしょうか。何が私を恐怖させたのでしょうか。今となって曖昧です。でもあの姿は憶えています。よく憶えています。あなたの姿。とても綺麗だった。 あれはターミナルの雑踏でした。私は何をしていたのだっけ。たぶんどこかに...
pale asymmetry | 2021.11.11 Thu 21:13
JUGEMテーマ:戯言 僕がベッドでもぞもぞしているうちに、先触れはもう我が家を訪れていて、すでにベッドサイドに佇んでいたりする。本当に突然に訪問するのだ。まあ、先触れなのだから突然にやって来るのは当然と言えば当然なのだろうけれど、こちらには心構えの暇があたえられないので、もうさらに毛布に沈んで藻掻くしかなかったりする。眠ったふりでやり過ごそうかとか考えてしまう。けれどそんなことは許されないわけで、先触れは恭しくお辞儀をして片膝をついて抑揚を波打たせたりするのだ。 「さあ、一つ...
pale asymmetry | 2021.11.09 Tue 21:55
JUGEMテーマ:戯言 「あなたのドアノブはどこにありますか?」 グレイの長い髪を羊のように纏めた老婦人が、私の肩を激しく揺さぶりながら問い掛けている。 「私のドアノブはもうないのです。あなたのドアノブも、失われてしまったのではありませんか?」 それはもう叫ぶような口調で、今にも泣き出しそうな表情をしている。だから私はドアノブというものが、とても大切なのだろうと感じた。この世界になくてはならないもので、失われてはいけないものなのだと感じた。 「早く、早く、あなたのドアノ...
pale asymmetry | 2021.11.08 Mon 21:00
JUGEMテーマ:戯言 高度四百キロメートルから、落下するはずのない雫が墜ちてくる。それが私のこめかみを打ち抜き、瞬時に全身に染み渡る。そういう痛みを抱えて、私は私を抱きしめる。痛みが私になり、私が痛みになる。そいう雫が宇宙からもたらされる。正確には宇宙ではないのかもしれないけれど。 高度四百キロメートルの一点で、雫は生まれるわけではない。それはこの世界が誕生したその瞬間から、いやこの世界が誕生する一瞬前から、そこにあったんだ。そうに違いないんだ。あり得ないとしても、私がそう...
pale asymmetry | 2021.11.03 Wed 21:22
JUGEMテーマ:戯言 意味のある言葉の連なりが、意味のある文章を生み出すとは限らない。言語は地図のようにいかないので、見たままを正確に写し取ることは不可能だ。ましてや感じたままを写し取ることなど出来るはずもない。特に時制については全く対応出来ない。今を言語化することが出来ないのだ。常に過去の過ぎ去った事象を追いかけて記録しているだけで、まさにこの瞬間に起きている反応を言い表すことが出来ないから、だからカンバセーションは難しいのかもしれない。 もっとも、共通の言語を操っている...
pale asymmetry | 2021.11.02 Tue 22:02
JUGEMテーマ:戯言 空から墜ちてきたのは、モノクロームの果実だった。それは白い果実。そして黒い果実。二つの果実が墜ちてきたわけではない。その果実はたった一つで、その色は白であり黒だったのだ。重なり合う白と黒。それは過去と未来。善と悪。昼と夜。殺戮と抱擁。そして私の理性と私の本能。 雨上がりの朝だった。風はなく、空気はゆっくりと上昇していた。だから、私の身体はしっとりと濡れていた。私はその身体を持て余していた。跳ね飛びたいような、走り出したいような、歌い叫びたいような、目を...
pale asymmetry | 2021.11.01 Mon 21:18
JUGEMテーマ:戯言 明日何もかもが終わるわけではないから、私は整えなければいけない。ジャンプの直前に、重心を移動するように。スムーズに加速するためには身体を暖機しておく必要があるだろう。まあ、私は機械ではないけれど。それに果たして加速が必要なのかどうかもはっきりとしないし。 ギシガシとあちらこちらが痛んでいるように思える。それは私に関すること、そして私に繋がる事象だけではなく、私とは全く無関係な、惑星の裏側で弾けたエフェクトに関することさえも。それがやがて私が立つこの場所...
pale asymmetry | 2021.10.31 Sun 21:01
JUGEMテーマ:戯言 髪を切る、鏡を覗き込んで。鏡の中の私は笑っていない。泣いてもいないけれど、愉しそうにも見えない。痛みに耐えているように見えたりもするし、その痛みを心地よく感じているようにも見えたりする。本当はどちらでもないし、どれでもない。どのような状態でもないし、何か特定のカテゴリーに分類したり出来ない。そういうのは無意味だ。 私は私でしかない。私でない私など存在しないのだから、どのような私であっても受け入れるしかない。 私は私の髪を切る。鏡の中の私は髪を切られ...
pale asymmetry | 2021.10.28 Thu 21:11
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