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JUGEMテーマ:戯言 サファイアブルーの螺子が落ちた。何処かから落ちた。私の身体から。私の身体の何処かから落ちた。綺麗な色の螺子だ。冴えた光沢を纏っている。さらさらとざらついた感触だ。遠い場所から長い年月を旅してきたかのような感触だ。さてその場所はどこだろう。私のスカートの奥、色のない闇の深淵からだろうか。カラメルの匂いがする、純度の低い宇宙からだろうか。もしそんな宇宙から落下したのであれば、かわいそうだな。きっと螺子も嘆いているだろう。傷ついているかもしれない。この宇宙が、こ...
pale asymmetry | 2019.12.24 Tue 22:03
JUGEMテーマ:戯言 その国では、代々現職の国家元首が次の国家元首を指名する慣習になっている。厳密に法律で定められていたわけではないが、そうなっていることに誰も異を唱えることはなかった。だから、現在の国家元首が引退を決意したときも、次の国家元首を指名することになった。彼は国家元首候補を呼び、代々の国家元首が次の国家元首に直接伝えることになっている事項を語り始めた。 「イメージして欲しい。君はある部屋に入る。そんなに広くはない部屋だ。床も壁も天井も白い部屋だ。強い照明も白色をし...
pale asymmetry | 2019.12.21 Sat 21:01
JUGEMテーマ:戯言 必ずあなた自身の血で育ててください。そう説明書きには記されていた。それは小さなプランター。エスプレッソカップくらいの大きさ。私は針で指先を突く。鮮血が、露玉のように膨れる。しばらく待つと、そのしずくがプランターに落ちた。するとすぐさま、土を割って芽が顔を出した。蛍光色のように輝く緑の芽だった。 私は解剖用のメスで、掌を切り裂く。果汁のように血が滴り、その芽はすくすくと育つ。輝きは一層強くなる。その植物はゆるやかに身悶えて私を誘う。もっともっとと。乾いて...
pale asymmetry | 2019.12.17 Tue 21:54
JUGEMテーマ:戯言 私の身体の中で、その歯車は刻んでいる。光を刻んでいる。風を刻んでいる。土を刻んでいる。黄金を刻んでいる。なのに、時間を刻んではくれない。だから、その歯車はタイムマシンにはなり得ないのだ。光を刻んでいて、風を刻んでいて、土を刻んでいて、黄金を刻んでいるのに。何が足りないというのだろう。いや、そもそも足りないという状況が存在しているのだろうか。全てが満たされているからこそ、時間を刻まないのかもしれない。その可能性は検証するべきだろう。その前提で仮説を立てるべき...
pale asymmetry | 2019.12.15 Sun 21:59
JUGEMテーマ:戯言 オリオンが沈もうとしている。水平線は遙か、都市と同じくらいに遙か。色とりどりのイルミネーションも、だから遙かに遠い場所。私には、銀河の方が近い。国際宇宙ステーションはもっと近い。隣人といってもいいくらい。見上げても、その流れる姿は見えないけれど。 海岸沿いの道を、アスファルトの堅さと冷たさを確認しながら私は歩く。ロボットを引きずって。不細工なノイズを放ち続けるロボットを。両眼のピンクの輝きは規則的に点滅している。SOSだろうか。それともハローハローだろう...
pale asymmetry | 2019.12.10 Tue 22:01
JUGEMテーマ:戯言 友は鎧を纏い高く舞う。風を受け流し、ないはずの色彩を風から掬い取る。重いはずの鎧は、友の肉体の駆動を増幅するかように、獣の鬣のようにそよいで見える。空に半ば吸い込まれるように、友は舞う。一心不乱に舞う。右手に握られた大段平が、軽やかに秘言語を刻む。風に、空気に、空間に、次元に、何ものでもないものに。優雅に速度を制御して、友は紋様を描く絵師のようにその秘められた言の葉を記述していく。時は止まっている。いや、そんなはずはない。友はあんなにも誇らしく舞い踊ってい...
pale asymmetry | 2019.12.04 Wed 20:54
JUGEMテーマ:戯言 硝子の砂浜に腰を下ろし、膝を立てて抱え込む。顔をうずめてしまいたい欲求に抗い、顎を上げる。視線の先にはシアンの朝焼け。猛毒の凪が視界の全てを埋め尽くす。間違ってしまったのかもしれない。と私は強く思い、ルルララと高音で軽く歌ってみる。沈没してしまいたくなる衝動を宇宙に発射するために。 宇宙人はやって来ない。ここから四十六億年待ってもやって来ないだろう。私は無視されているのだ。彼らのマナーからあまりにも逸脱しているから。それとも私自身がすでに宇宙人で、訪ね...
pale asymmetry | 2019.11.27 Wed 22:14
JUGEMテーマ:戯言 私の前に現れたその人物は、黒いペルソナを被っていた。そして白いドレスを身にまとっていた。ひらひらと今にも飛び立ちそうなドレスを。はらはらと今にも飛び散りそうなドレスを。するとこの人物は女性だろうかと、私は考える。いや待て、今どき服装だけで性別を決めることなど出来やしない。そういうものは際限なく自由になっているのだから。 その人物が黒いペルソナを脱ぐ。その下から赤いペルソナが現れた。そしてその人物が首を傾げる。私もつられて首を傾げる。その人物が赤いペルソ...
pale asymmetry | 2019.11.26 Tue 22:02
JUGEMテーマ:戯言 人生は痛みだ。それに慣れることだ。と言った少女は、今どこで何をしているのだろうか。私の記憶はとても曖昧だけど、確か長いブリッジの真ん中で、彼女はこの言葉で母親を叱咤していたのではなかったかしら。周囲にはたくさんの車が、爆発炎上していたような気がするけれど、その辺りは定かではないな。 あのとき、私も叱咤されただろうか。あのときの私はどんな時間を過ごしていただろうか。何も定まっていない、何も始まっていない時間の内にいたのではなかったかしら。だから、私はたく...
pale asymmetry | 2019.11.25 Mon 20:19
JUGEMテーマ:戯言 「このジェネレータは虎なんだよ。鼓動を停止した虎が久遠の眠りに沈んでいるんだ」 「え、宝石でしょう?」 彼女が首を傾げる。虎がご不満なのか、久遠の眠りがご不満なのかは解らない。まあ、両方がご不満なのかもしれないな。そうであったとしても、事象は巻き戻らない。 「そう、宝石だけどね」 僕は笑ってしまう。堪えようとしたけれど、無理だった。彼女はそんな僕を見て、不機嫌な猫のような吐息をもらす。そういうときの彼女はとても綺麗だ。この惑星の回転に深く関与して...
pale asymmetry | 2019.11.22 Fri 20:48
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