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大学が始まった。 休み明けの教室は冷え込んでおり、室内とはいえコートを脱げずに震え上がっている生徒もちらほら見かける。 睡蓮は午前中の授業を受けるために朝一番で登校していた。授業が始まる前に学内に常時設置してあるパソコンを使って休み中のメールをチェックする。 特にこれといったメールはない・・・かな? ダイレクトメールを削除していると、登録している派遣会社からメールがきているのに気づいた。 確か、ここは来週末にバイト入れてたはずだけど。 記憶を辿りつつ、メールを開く。 『先日の通訳派...
さくらのもり | 2008.01.08 Tue 20:51
目抜き通りから公園に向かって歩き 淋しい通りの怪しげな階段を降りていくと 軽快なユーロビートが店内から溢れている 重厚な白い扉を開けるとそこは2丁目で唯一のホストクラブ 「チョッパーズ」だ 扉を開けるとすぐに長い木製のカウンターがある。 グラスや焼酎を割るジュース、お茶のペットボトルが並び 目のつく位置に薄汚れた高級ボトルが並んでいる。 この狭いカウンター内で酒とグラスを用意し、グラスを洗う ビールサーバーでのボンベの取替えには要注意だ 空気を止めてからでないと爆発し、指が吹っ飛ぶらしい ...
映画青年銀二ノ二丁目劇場 | 2008.01.08 Tue 10:47
今夜も狸女(アケミ)と狐女(リカ)が お互いの視界に入らない席でドラキュラを取り合っている 竜馬軍団はアケミ、ツネとシンのベテランコンビはリカのヘルプ 最近のアケミのお気に入りは小男トミーだ めったにドラキュラの前以外で酒を飲まないアケミだが トミーの前では酔っ払う 何かあったのかな?若干興味が・・・ 向かいのテーブルで坊主のオカマに 体を弄られながら銀二は思っていた。 「ねえ、聞いてよお」 「どうしたんですか、飲みすぎですよ」 「いいのお、アタシは飲んでえ、アンタはだめえ」 ボトル(50...
映画青年銀二ノ二丁目劇場 | 2008.01.03 Thu 11:14
いらっしゃいませ 二丁目は初めてですか? 今日は丸の内「新宿御苑」駅からお越しで ささ、怖がらずに改札から出てきてください あなたもこっちの世界の住人かもしれませんよ・・・ 手をつないで歩くゲイカップルや 公園で愛を語り合う姿はショックですか? でも男性の1割はゲイなんですよ。 ここは靖国通りからすぐ目立つとこにある二丁目の入り口 通称ホモビルです。 なぜホモビルかって? ほら、このビルの裏通りを見てください。 若い男達が不自然に立っているでしょ? 多い時は10人以上・・・ほら、声をかけ...
映画青年銀二ノ二丁目劇場 | 2007.12.29 Sat 00:36
ホストにはお客に聞いてはならない暗黙のルールがある。 1.年齢 2.職業 3.性別 まあ3はここ2丁目だけだと思うが とにかくこれは基本なのです。 しかしこんな社会のルールに縛られない男が一人この店にはいる。 伝説の新人・イツキだ。 「いただきます〜」 「飲むんなら一気で飲んでよ」 「えええええっ」 焼酎を一気で飲めとそそのかすキリトとマヤ 「そんなご冗談を」 何とか誤魔化すイツキの隣に竜馬さんが座った 「イツキ、飲みなさいよ」 竜馬の顔は少年のような笑顔 「またまた、こんなお酒飲めません...
映画青年銀二ノ二丁目劇場 | 2007.12.28 Fri 02:16
「お前は、何をしてるんだ!」 前方で車が停まったかと思うと、運転手がものすごい剣幕で降りてきた。 ルカ? 聞き覚えのある声だ。 相手が近づくにつれ、睡蓮は予想があたっていたことに気づく。 「あれ、今帰りなの?」 お仕事お疲れ様、と言う邪気の無い睡蓮にルカは若干声のトーンをおとして、怒りを飲み込んだ。 「一体自転車に何を積んでいるんだ?」 乗せるというより、積むと言った方が正しい。 「あのね〜」 そういう睡蓮は心なしか得意げである。 「バイトの帰りに普段通らない道を通った...
さくらのもり | 2007.12.26 Wed 23:39
「なんだって!?」 キースはカークの声の大きさに受話器を耳からはずした。 「もう少し小さな声で話してくれよ。」 指でつまんだ受話器に向かってこう言うが、相変わらずカークの声は外に漏れるほど大きかった。 「切るぞ。」 声のトーンを落とさないのならば切る、とキースは強硬手段に出ようとした。 実際フックに指を置いたのだが、向こう側で「わかったわかった、ごめん。」とそれなりの音量で聞こえてきたので再度受話器を耳にあてた。 「じゃ、レンはお前のとこにいるんだな?」 あのおんぼ...
さくらのもり | 2007.12.26 Wed 23:34
命日 「そういえば、そろそろだな」 久しぶりに会った友人が、ふいにそんなことを言った。 「何が?」 「あいつの命日だよ」 「ああ、そうだね」 俺がそういうと、友人はくつくつと笑った。 「反応薄いな。あの頃はあんなに夢中だったくせに。まあ、もう五年も前の話だもんな」 目の前に置いてあるグラスを傾けながら、友人は続けて言った。 「人の心だって変わるさ」 そうだよ、もう五年も前の話。 俺があの人と恋をしたのは。俺があの人を愛したのは。 しんみりとした空気が辺りを漂う...
ガラスの破片に映る空 | 2007.12.26 Wed 21:54
そもそも、銀二が2丁目に潜入したのは 脚本家になるための経験を積む為。 入店二ヶ月も過ぎるとこの大前提を忘れかけている自分がいる。 それほどまでに2丁目は魔力があるのか? 「脚本家なんてやめて、2丁目で暮らせよ。グヒヒヒ」 師匠の悪徳映画監督の高笑いが聞こえてくる そして、今夜ついに後輩がやってくる 銀二も2丁目の先輩だ 嫌な響きだ。 「よろしく、おねがいしま〜す」 彼の名は「イツキ」 茶髪に切れ長の目 スラリとした身のこなし まだ20歳そこそこの少年である。 「前に付き合ってた女があまり...
映画青年銀二ノ二丁目劇場 | 2007.12.25 Tue 16:55
そもそも、銀二が2丁目に潜入したのは 脚本家になるための経験を積む為。 入店二ヶ月も過ぎるとこの大前提を忘れかけている自分がいる。 それほどまでに2丁目は魔力があるのか? 「脚本家なんてやめて、2丁目で暮らせよ。グヒヒヒ」 師匠の悪徳映画監督の高笑いが聞こえてくる そして、今夜ついに後輩がやってくる 銀二も2丁目の先輩だ 嫌な響きだ。 「よろしく、おねがいしま〜す」 彼の名は「イツキ」 茶髪に切れ長の目 スラリとした身のこなし まだ20歳そこそこの少年である。 「前に付き合ってた女があまり...
映画青年銀二ノ二丁目劇場 | 2007.12.25 Tue 16:50
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