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JUGEMテーマ:連載 第1章 玄丈先生との出会い6 実態と影の切り分け(1) 玄丈先生が去ったあと、ぼくはしばらく部屋から立ち去りがたかった。実態と影を切り分けた、という謎のような言葉がひっかかったのである。すると、先に整体を終えた五十歳くらいの、やせて小柄な男性がぼくに近づいてきた。「加藤といいます。お名前は……たしか月田さんでしたね」 ぼくがうなずくと、加藤と名乗る人は、ぼくの顔をじっと見てから、言った。「月田さんは玄丈先生の言葉に興味があるようですね。打撲のことが気になるのですか?」「いや、打...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.03.06 Fri 06:43
受付をすませると、ミスター・グリーンとフィフィはさっそく乗馬のレッスンを受けることになりました。広い原っぱにでると、馬顔の指導員のおじさんがふたりに説明をはじめました。おびえるミスター・グリーンに気づいたのか、指導員のおじさんはにこやかに、こうはげましました。「乗馬ははじめてですね、ミスター・グリーン。いやいや、なにも心配はいりません。よほど尻がでかいとか、のせごこちがサイアクだとか、悪臭をはなっているとかではないかぎり、馬たちも寛容ですから。まあ、たまにいたずら程度のことはね……ご愛嬌って...
こどものほん | 2009.03.06 Fri 02:56
JUGEMテーマ:連載 第1章 玄丈先生との出会い5 玄丈先生登場(6) すべての処置が終わったあと、ぼくは先生の前で呆然として座っていた。 そんなぼくに向かって、玄丈先生は話しかけた。「打撲、つまりケガとか打ち身のことですが、これはとても怖いのですよ。整体では病気より怖いとさえ考えています。打撲は骨格を狂わせるからです」「はあ、そんなものですか」「ケガをすると、必ず骨格や神経に影響が出ます。ですから、ひどい打撲をしたら、なるべく早く処置をしておかないといけません」 玄丈先生はやさしい眼で言った。慈...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.03.05 Thu 08:01
JUGEMテーマ:連載 第1章 玄丈先生との出会い5 玄丈先生登場(5) 本当は、世話なんかした覚えはないんだ。ただ巻き添えを食って、そのあと引きまわされただけなんだ。「そこにうつ伏せになってください」 なんとなく抵抗できないような響きがあったので、ぼくは従わざるを得なかった。 何をされるのだろう。正直、不安が心に広がった。 ぼくがうつ伏せになると、先生はぼくの背骨を上の方から調べはじめ、最後に腰骨を調べた。調べ終わった次の瞬間、先生はぼくの腰に手を当て、猛烈な圧力で押しつけた。すると、腰骨がボキボ...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.03.04 Wed 07:03
JUGEMテーマ:連載 第1章 玄丈先生との出会い5 玄丈先生登場(4) 翔太の処置がもう終わろうというころ、玄丈先生の声がまた耳に入ってきた。 玄丈先生はうつ伏せになっている翔太の左側面に座り、語りかけている。「ずいぶん派手にやりましたね」 ささやくような声だった。 翔太はうつ伏せのまま、首だけを小さく振って同意を表した。 先生はさらにつづけた。「お父さんはいい人なんだが、警視庁という組織がねえ……」 翔太は黙ったままだ。「はい、結構です」 玄丈先生は何ごともなかったように言った。 すべての処置が終...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.03.03 Tue 07:54
JUGEMテーマ:連載 第1章 玄丈先生との出会い5 玄丈先生登場(3) 玄丈先生はうつ伏せになっている翔太の左側に座って、彼の脊椎を観察していった。 それがすむと、玄丈先生は静かに立ち上がり、翔太の腰のあたりで彼をまたいだ。そして、両脚で翔太の腰を挟むようにして立った。 この状態から、先生は前かがみになって中腰の型をとったが、その姿は相撲取りの仕切りにやや似ていた。力士が仕切りで土俵に手をついているような姿で、玄丈先生は翔太の背中を手で押圧していったのだ。 今、相撲の仕切りと言ったが、中腰の型と相...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.03.02 Mon 08:02
にちようびになると、ミスター・グリーンとフィフィは、町のはずれにある老舗のおもちゃ屋さんへと足をむけました。新作のおもちゃの入った包みをしっかりと小わきにかかえ。ぽかぽか陽気のさわやかな午後のことでした。 ミスター・グリーンはシャツの胸もとにばかばかしい蝶ネクタイをしめ、頭にはうさんくさいシルクハットをかぶってきました。鳥の巣のようにからまった黒髪、銀河のごとくにじんだひとみ、そして、とんぼも目をまわしそうなほどの絶妙なカールの口ひげ──どこからみても町いちばんのハンサムといえるでしょう。 ...
こどものほん | 2009.03.01 Sun 18:10
耳を済ましていたロウは、ふとあることに気づく。 「……今、女の悲鳴もしなかったか?」 ブラックは感覚を鋭くして、駆ける足音を追う。 がしゃがしゃと金属音と共に届く重い足音とは別に、軽い足音がひとつ、交じっていた。 恐らくは――子供か、女性。 「今の情勢を考えると、見て見ぬふりもできないかな」 「ったりめぇだ!」 ロウはベットから勢いよく飛び出し、壁に立てかけてあった細長い布袋に手を伸ばす。 「あ……ふ。ちょっと、二人ともどうしたの? 夜更かしは美容の大敵よぉ?」 「ん?……どうかしたのか...
クロスブレイド 漆黒の聖騎士 | 2009.03.01 Sun 14:30
JUGEMテーマ:連載 第1章 玄丈先生との出会い5 玄丈先生登場(2) 部屋の奥を見ると、整体を受けている人が白いシーツの上にうつ伏せになっていた。この道場では、マッサージ台のようなものは一切なく、畳の上に二、三センチくらいの薄いマットが敷いてあるだけだった。そのマットの脇では、玄丈先生と呼ばれる人物が座っていて、なにやらしゃべっていた。 ぼくは玄丈先生をひと目見て、すっかり驚いてしまった。マッサージ師だったら、膝まである白衣か、さもなければ白い上衣を着用するのがふつうではないか。それなのに、この...
ブログ小説 整体師 諸星玄丈 | 2009.03.01 Sun 08:58
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