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「おい、夫人には伯爵がガツンと言ったんじゃなかったのか?」 「そ……そうだけど……その時のは子爵、いらっしゃらなかったからなぁ……」 シェフパティシエのウッディがそれを聞くと、むっと顔を顰めた。 「断れ」 「でも……」 「でももヘッタクレもねぇ。お前を見下してやがるんだよ。陶器って、お前の親父さんの形見だろう?そんなもん、他人にくれてやる訳ねぇだろうが!」 ウッディの怒りはもっともだが、久義の困ったような顔にきづいたジェフリーが、「&...
真昼の月 | 2023.03.04 Sat 22:22
「ごめんなさいね、久義さん。私、少し舞い上がっていたみたい。でも、本当に考えておいてね。きっとあなたのキャリアの無駄にはならないから!」 「……いえ」 それでも、久義はもちろん、バーマストン伯爵も、謳子も、真理江夫人に迎合するような台詞を言わなかった。真理江夫人はそれが不満なようだったが、久義を真理江夫人の好き勝手に扱っても良いと思われては困るのだ。 「でも、またお茶菓子をお願いする位は良いでしょう?」 真理江は久義に向かってそうおねだりをするが、それに返事をしたのは久...
真昼の月 | 2023.02.25 Sat 23:18
すいません、先週は1日遅れの日曜22時に更新致しました💦 先週の分を読まれていない方は、『金魚の恋 28』からお読みいただけるようお願い致します!! イヌ吉拝 ◇◇◇ ◇◇◇ ウィリアムが次に久義と会ったのは、ロンドンに来てから半月後、フィッツガード伯爵家一家でまたバーマストンに遊びに来た時のことだ。いつものように伯爵と真理江夫人、海翔はバーマストン伯爵達とサロンで、ウィリアムとテオドアはビリヤードルームで時間を過ごしている。 「今日...
真昼の月 | 2023.02.19 Sun 02:05
◇◇◇ ◇◇◇ 目が醒めて、今自分がどこにいるのか一瞬分からなかった。母に与えられた本館のベッド────子供の頃は久義もそこで寝起きしていた────なのか、日本の祖父の家の、畳に敷かれた布団なのか……でも、ここはバーマストンの使用人棟の、自分のベッドの上だ。 「……何か、懐かしいな……。そんな事もあったっけ……」 それまでも、小さな事で「あれ?」と思うことはあった。だが、面と向かって自分がアジア人として差別されていると思い知らされたのは、...
真昼の月 | 2023.02.12 Sun 22:41
裕幸『戦争じゃ!戦争じゃ!忘れられるのかよ?俺のチンポ。期待しちゃったかー?シャブ漬けのヤリマン淫女。気が狂ってるお前はイカれて嘔吐をしまくる夜のパンパンだぜ!』 稲葉『(土下座)わ、私の負けよ!どうもすいませんでしたー!』 裕幸『地獄のデブ。諦めてお前は俺に負けて屈辱感と敗北感に沈むだけさ。無双で全滅!』 稲葉『イジメられて壊れちゃうの!吐かされちゃったよ!!悪魔様ー!うひゃアァァ!(放屁)』 裕幸『(稲葉にジャックハマー)』 稲葉『へぷひ!』 裕幸『お前はシャブ漬けマンカスで地獄落ちが確...
天才・裕幸のブログ | 2023.02.06 Mon 09:35
そうか。そうなんだ。 別に、彼女たちが言うようにひとりぼっちだったことなんか無い。友達もたくさんいるし、彼らとはいつもたわいもない話をしたり、悪ふざけをしたり、サッカーの試合を見に行ったり、家に呼ばれてお泊まりをした事もある。自分が彼らから人種差別をされているのだと思ったことは、今の今までなかったのだ。 ────でも、皆心の中ではあんな風に思ってたんだ────。 ここは田舎で、ここで暮らす人達は、500年前から変わらずそこに住んでいる人達ばかり。スコットランド人やウェールズ人でさえよ...
真昼の月 | 2023.02.04 Sat 22:23
この文章の中には、人種差別に関する記載があります。 皆様を不快にさせる意図はありませんが、 辛い方は3話ほど飛ばして下さい。 また、※『』内の台詞は日本語となっておりますのでご了承下さい。 イヌ吉拝 ◇◇◇ ◇◇◇ 久し振りに夢を見た。セカンダリースクール(※)の頃の夢だ。 久義は物心つく前に母と共に渡英し、ローズウッド城で暮らしていた。 当たり前のように、母は伯爵の元で仕事をし、当たり前のようにイギリス人の中で暮らしていた久義は、自分が周りの人達と...
真昼の月 | 2023.01.28 Sat 22:13
◇◇◇ ◇◇◇ 結局、その日はスイーツを食べた後、ヴィクトリア&アルバート美術館を見て、テムズ川の畔を散策した。観覧車に乗らないかとウィルに誘われたが、それは断って、早めに帰途につく。 明日の仕込みもしなければならないし、何より、ロンドンとバーマストンは、電車で片道二時間もかかるのだ。 「今度はまた私が君を訪ねるよ。仕事終わりに町で夕飯を食べても良いだろう?」 ウィリアムはしきりにそう言うが、それは丁重にお断りした。ウィリアムがバーマストンに来る時は伯爵夫妻も一緒だろ...
真昼の月 | 2023.01.21 Sat 22:19
たくさんのスイーツをたくさん食べたい。スイーツ好きなら誰もが抱く欲求をかなえてくれるのが三段重ねのアフタヌーンプレートであるが、そんな物がなくても、シェアすれば良いのだ。それでもこの店のスイーツは結構量もがっつりしてるから、それほどたくさんは食べられないかなぁと、二人は真剣にメニューに向き合った。 結局、ウィリアムが前回友人に勧められたという、味噌を使ったバノフィーと、アップルクランブル、ダンディーケーキの三つを頼んで、二人で半分ずつシェアすることにした。それから、あまり重い物では全...
真昼の月 | 2023.01.07 Sat 22:11
「そろそろカフェに移動しようか。ランチもスイーツも充実しているカフェを友人に勧められてね?」 ウィリアムはあらかじめリサーチしてくれていたようで、すぐにブラックキャブ───ロンドン名物のタクシーである───を止めて、店の名前を告げた。 「モダンブリティッシュの店で、アジアを始め、諸外国の要素を取り入れている店なんだけど、どうかな。日本の食材も使っているらしい」 モダンブリティッシュでは、多国籍都市であるロンドンの強みを活かし、様々な国や地域の食材や技法をイギリスの伝統料理に取り入れてい...
真昼の月 | 2022.12.31 Sat 22:09
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