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JUNE/BL/ML

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JUNE/BL/MLなど言われる、男×男などの同性愛要素を含む創作小説テーマです。
※ R-18作品には必ず分かるように明記しましょう。
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雨やどり act.11

腹が満たされれば、落ち込んでいたはずの気持ちまでも満たされた気分になるから、現金なものだ。 「食った食った。おまえ、うまいじゃん」 「本当!?ありがとう。これからもさ、勉強のために俺が作るよ。いいでしょ?」 ごちそうさま〜と言いながら、すぐにごろんと畳の上に寝転がった俺の食い終わった皿を甲斐甲斐しくさげながら、洗い物を片付けに再び台所に立つ仁志が、嬉しそうに振り返る。 「これからもって……」 おまえ、いつまでいるつもり?と、言いかけた言葉を口に出せなかったのはどうしてだろう。 ついさっ...

駄文倉庫 | 2020.10.21 Wed 00:17

雨やどり act.10

人は弱っている時、どうしてこんなにもどうしようもない程に、人肌の温もりを求めるのだろう。 そして、どうして弱っている時に限って、見たくもない現実を突きつけられるのだろう。 広いキャンパスで、学部も選択している授業も全く違う2人に会うことなんて、約束でもしていない限りそうそうあるはずがなかった。 だからこそ、あんな事があった後でも俺は、何もなかったようにして大学に通えていたんだ。 裏切りを笑って許せるほど、俺は心の広い人間じゃない。 その裏切りの形を目の前で見せ付けられ平気でいられるほど、俺...

駄文倉庫 | 2020.10.21 Wed 00:13

雨やどり act.9

(R-18) 四つん這いで尻を高く上げるという、とんでもない体勢で散々後ろを指で弄られ、何で高校生のくせして男同士のヤリ方なんか知ってんだとか、その慣れた手つきに、今まで遊びまくってただろとか、とにかくたくさんついた悪態もその端から奪われていった。 本来受け入れるべきでないはずのその場所が、泣きたくなるくらい丁寧に、恥ずかしくてこのまま死んでしまいそうなくらいじれったく解され。 指が引き抜かれた時にはジンジンと疼くその場所が、まるで呼吸をするかのようにしてひくついているのを感じ、本気で恥ずかしく...

駄文倉庫 | 2020.10.21 Wed 00:09

雨やどり act.8

(R-18) なんで……? どうして俺は、こいつとキスなんかしてんだろ……。 頭に浮かんだそんな疑問も、ふわふわと定まらない思考では長続きしない。 ただ、ふうわりと包み込まれた腕の力強さが、そして唇にそっと押し当てられた柔らかな優しい感触が、アルコールのせいでただでさえ心許ない思考を溶かしていく。 「ん…っ…」 そっと舌先で唇の輪郭をなぞられ、ゾクリとした震えに微かな呻き声を上げれば、すぐに離れてしまった温もりが寂しくて。 「抵抗しないの?」 耳に届いた、ほんの少し情けなく歪んだ声色に、くす...

駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:59

雨やどり act.7

卓上のガスコンロの上に乗った鍋の中身は、1時間後には雑炊まで綺麗に平らげられていた。 俺だって食が細いわけでは決してないが、さすが育ち盛りの高校生といおうか…仁志の食いっぷりは、思わず呆然と見つめてしまうくらいの勢いがあった。 「ご馳走様でした!あ、片付けは俺がやるから、三島さんは座ってて」 「おう…悪いな」 「俺にできることって言ったら、これくらいだもん」 テキパキと手際よく机の上を片付けていく仁志が、にっこりと笑う笑顔にまたドキンとして。 そんな自分の気持ちを振り払うようにして、パタパ...

駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:55

雨やどり act.6

今日は午前中だけだった講義を終え、大学の帰りに駅前で適当に服を見繕い、夕飯の買い物をして帰途に着く。 ガサガサと、歩くたびに耳に届く袋ずれの音に、こんなに買い込んであいつがいなかったら虚しさが増すだけだと思いながら。 昨日の今日で記憶が戻り、自分の居るべき場所に戻ってしまっていたとしても不思議はない。もしそうなったら、少ない仕送りとなけなしのバイト代を叩いて買った、この服も食料も無駄になるじゃないかと、そんな自虐的な思いが思考を占めるのは、まだ認めたくない現実を改めて突きつけられてしまったか...

駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:52

雨やどり act.5

「本当に、何も覚えてないのか?」 「川が……目の前に川がありますよね。気付いたらその川岸でぶっ倒れてて、ポケットに定期だけが入ってたから名前はわかったけど。それだって、本当に自分の名前なんだか…」 そう言った瞳が微かに揺れていて、それを誤魔化すかのように、彼が湯気が立ち上るカフェオレへと口をつける。 「あ…っつ!」 「バァ〜ッカ、その湯気が見えないのかよ」 シリアスになるなってのが無理な話だが、起こってしまった事は仕方がないのだからと、ほんの少しでも彼を励ましたくて。 だけど上手い慰めの台...

駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:49

雨やどり act.4

「合うわけねえか…」 押入れから取り出した着替えを前に、つい今しがた見た彼の逞しい身体を思い浮かべ溜め息が零れ落ちる。 トレーナーの上下は普通の服よりは多少伸び縮みするからいいとして、一応新品を取り出したものの、Sサイズである俺のボクサータイプの下着では、どう考えたって小さすぎるだろう。 「仕方ねえ…」 まさか、濡れたままの下着を穿いておけとも言えないし。 もう一度溜め息をつき再び風呂場へと向かった俺は、キャンキャンと中から聞こえてくる子犬の鳴き声に苦笑を漏らしながら扉をノックする。 ...

駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:46

雨やどり act.3

「記憶喪失ってわけ?」 エアコンが効いて暖かくなった部屋へと招き入れ、とりあえず濡れた身体を拭けとバスタオルを手渡しながら問いかけた。 一瞬きょとんとした彼がすぐに複雑そうな笑みを浮かべ、返ってきた「さあ…?」という他人事のような返事に、冷静というよりはまだ現実を把握しきれていない戸惑いを感じ。 まあ…無理ないか。記憶喪失なんて、あまり体験するようなもんじゃないだろうし。 「気付いたらこんな風になってて。こういうのを記憶喪失って言うのかな?」 どこか呆然とした様子で呟いた彼に、正直何て答...

駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:43

雨やどり act.2

部屋に戻り、何をするよりも先に風呂場に駆け込みシャワーを浴びた。 こういう時ユニットバスとはいえ、風呂付きのアパートにしてよかったと思う。 この寒さの中、雨に濡れてシャワーを浴びることすらできなかったら、明日には高熱間違いなし。こう見えて、結構繊細なんだ俺は。 シャワーを終えて、ひんやりと冷たいままの部屋の空気に身震いをし、先にエアコンだけでもつけておけばよかったと後悔しながらリモコンを操作する。 少し乱暴に拭いた髪はまだ濡れたままだったけど、そのまま万年床になっている布団に潜り込み、頭ま...

駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:39

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