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話してみたらどうだ。寧音だけではなく、大成のことまで自分の子供のように包み込むあの包容力。大成が屈託無く『お父さん』と呼び、心の底から彼を父として慕っている様子に、驚きを隠せなかった。 日本では全く活動していないLOKIを知っていたのも驚きだったが、聞けば海外の書籍を翻訳・出版する会社に勤めているのだそうだ。年に数度はヨーロッパに出張に行くと言うから、ヨーロッパのファッションシーンに詳しいのも頷ける。 それなのに、変に馴れ馴れしかったり、すり寄ってこようとはしないあの距離...
真昼の月 | 2022.01.13 Thu 22:02
「パパ、パパ?ちょっとパパ、大丈夫?」 「あ、うん。えっと……」 何度か声を掛けられていたらしい。強く腕を引っ張られて、ようやく奏は現実に戻ってきた。 「とにかく、一度部屋を見に来て欲しいの」 「へ?え、部屋って?あ、寧音達の新居?」 いきなりそんなことを言われても、何の話かさっぱり分からない。そんな奏に、寧音は「もう!」と大きな声を出した。パパは可愛いが、こういうところがあるから困っちゃうのだ。 「パパ!やっぱり聞いてない!...
真昼の月 | 2022.01.12 Wed 22:42
◇◇◇ ◇◇◇ 顔合わせからの帰り道。大雅は久しぶりに運転する愛車の感触を楽しんでいた。 「兄さん、なんか機嫌良いね。お父さんのこと、気に入った?」 「お父さんって、お前……。あの人いくつだ?俺とそう変わらないだろ?」 「残念。お父さんは今年三十八だから、兄さんより六つも年上だよ」 「へぇ?ま、六つ位なら、大した差でもないな」 大雅は先ほど会ったばかりの奏を思い出し、ニヤリと口角を上げた。 だいたい、大成から初めて話を...
真昼の月 | 2022.01.12 Wed 22:04
「パパ、パパ?ちょっとパパ、大丈夫?」 「あ、うん。えっと……」 何度か声を掛けられていたらしい。強く腕を引っ張られて、ようやく奏は現実に戻ってきた。 「とにかく、一度部屋を見に来て欲しいの」 「へ?え、部屋って?あ、寧音達の新居?」 いきなりそんなことを言われても、何の話かさっぱり分からない。そんな奏に、寧音は「もう!」と大きな声を出した。パパは可愛いが、こういうところがあるから困っちゃうのだ。 「パパ!やっぱり聞いてない!...
真昼の月 | 2022.01.11 Tue 22:02
皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来てくださり、ありがとうございます。 blog開設記念のお話なのですが、本当ならうちのblogで皆様に応援してもらっている設楽君とか衛さんのお話を書こうと思っていたのですが、今回は全く違う人たちのお話しとなっております💦 いや、書いたんですよ、書いたんですよ、一応。でも、あまりにも暗くて辛いお話になってしまって、ちょっとお礼とか記念とか言う感じのお話ではなくなってしまったので、今回はいっそ新しい登場人物の初出のお話でいかせていただく事に...
真昼の月 | 2022.01.11 Tue 03:09
そう、目の前に座っているのは、ヨーロッパの街中に飾られたポスターや雑誌、CMなどでもよくお目にかかる、世界的なトップモデルだ。今はイタリアのメゾン・オートクチュールの専属モデルとして活躍している。日本ではあまり目にすることはないが、ヨーロッパに年に数回出張に行く奏は、そのたびにLOKIの姿に、目を惹かれずにはいられなかった。 国籍を公表していないLOKIが、日本人だとは知らなかった。それはそうだろう。日本人離れした肉体美。エキゾチックな風貌に、野性味の中にも色気を湛えた表情...
真昼の月 | 2022.01.10 Mon 22:15
◇◇◇ ◇◇◇ 三日後、二人から指定されたのは、奏が入ったこともないようなゴージャスなイタリアンレストランだった。店の外観を見ただけでも、奏の財布が震え出す。入り口から中を見ると、お客さんもスタイリッシュな紳士淑女ばっかりで、思わず気後れしてしまった。 そういえば、お兄さんは特殊な仕事をしていると言っていた。こんな所に通えるようなお兄さんなんだろうか。お、お、お金持ち……?ま、まさかほんとにヤのつく自由業の人とかだったらどうしよう…&hellip...
真昼の月 | 2022.01.09 Sun 22:24
「え?でもお父さん、ゲイですよ?えっと、同性愛者。知ってます?」 「知ってるよ。俺、子供の頃ベルリンやパリに住んでたから、そんなに珍しくもなかったし」 十五歳までヨーロッパの大都市で暮らしていた奏は、男性同士で手を繋いで歩くカップルや、公園でキスをする女性同士のカップルを当たり前に目にしていた。ベルリンもパリも同性愛者には寛容な街だったから、そういった風景はごく日常的な風景だったのだ。 「わ〜ん、さすがお父さん!良かったぁ。兄がゲイだって言うと、お前もそうなんじゃ...
真昼の月 | 2022.01.08 Sat 22:01
「お父さん、会って欲しい人がいるの」 娘の寧音(ねね)にそう言われたとき、高橋 奏(かなで)の頭は疑問符でいっぱいになった。 会って欲しい人、というのは、普通結婚相手を紹介したいときに言う台詞だろう。 娘の寧音───厳密に言えば姪に当たるのだが、自分が育ててきたのだから、自分の娘と言っていい筈だ───は今年二十五歳。大学付属病院に務めるバリバリのオペ看(手術室看護師)だ。 セピア色の髪に緑がかった瞳。西洋人の血が半分入った娘は、どこのハーフモデルですか?というほ...
真昼の月 | 2022.01.07 Fri 22:00
ここは、「家族の肖像」の目次です。 現在1話目更新中ですが、一応2部構成になる予定です。 ※(R)がついているページは、R指定です 一応このblogは18歳未満の方は読んでいらっしゃらないはずですが、苦手な方が間違えて読まないように、印を付けておきました。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけお読み下さい。 <家族の肖像>20211007~ 姉の忘れ形見を父として育ててきた奏(かなで)。娘の結婚相手の兄だと紹介されたのは、奏がずっと憧れていたLOKIだっ...
真昼の月 | 2022.01.07 Fri 16:21
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