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(R-18) なんで……? どうして俺は、こいつとキスなんかしてんだろ……。 頭に浮かんだそんな疑問も、ふわふわと定まらない思考では長続きしない。 ただ、ふうわりと包み込まれた腕の力強さが、そして唇にそっと押し当てられた柔らかな優しい感触が、アルコールのせいでただでさえ心許ない思考を溶かしていく。 「ん…っ…」 そっと舌先で唇の輪郭をなぞられ、ゾクリとした震えに微かな呻き声を上げれば、すぐに離れてしまった温もりが寂しくて。 「抵抗しないの?」 耳に届いた、ほんの少し情けなく歪んだ声色に、くす...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:59
卓上のガスコンロの上に乗った鍋の中身は、1時間後には雑炊まで綺麗に平らげられていた。 俺だって食が細いわけでは決してないが、さすが育ち盛りの高校生といおうか…仁志の食いっぷりは、思わず呆然と見つめてしまうくらいの勢いがあった。 「ご馳走様でした!あ、片付けは俺がやるから、三島さんは座ってて」 「おう…悪いな」 「俺にできることって言ったら、これくらいだもん」 テキパキと手際よく机の上を片付けていく仁志が、にっこりと笑う笑顔にまたドキンとして。 そんな自分の気持ちを振り払うようにして、パタパ...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:55
今日は午前中だけだった講義を終え、大学の帰りに駅前で適当に服を見繕い、夕飯の買い物をして帰途に着く。 ガサガサと、歩くたびに耳に届く袋ずれの音に、こんなに買い込んであいつがいなかったら虚しさが増すだけだと思いながら。 昨日の今日で記憶が戻り、自分の居るべき場所に戻ってしまっていたとしても不思議はない。もしそうなったら、少ない仕送りとなけなしのバイト代を叩いて買った、この服も食料も無駄になるじゃないかと、そんな自虐的な思いが思考を占めるのは、まだ認めたくない現実を改めて突きつけられてしまったか...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:52
「本当に、何も覚えてないのか?」 「川が……目の前に川がありますよね。気付いたらその川岸でぶっ倒れてて、ポケットに定期だけが入ってたから名前はわかったけど。それだって、本当に自分の名前なんだか…」 そう言った瞳が微かに揺れていて、それを誤魔化すかのように、彼が湯気が立ち上るカフェオレへと口をつける。 「あ…っつ!」 「バァ〜ッカ、その湯気が見えないのかよ」 シリアスになるなってのが無理な話だが、起こってしまった事は仕方がないのだからと、ほんの少しでも彼を励ましたくて。 だけど上手い慰めの台...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:49
「合うわけねえか…」 押入れから取り出した着替えを前に、つい今しがた見た彼の逞しい身体を思い浮かべ溜め息が零れ落ちる。 トレーナーの上下は普通の服よりは多少伸び縮みするからいいとして、一応新品を取り出したものの、Sサイズである俺のボクサータイプの下着では、どう考えたって小さすぎるだろう。 「仕方ねえ…」 まさか、濡れたままの下着を穿いておけとも言えないし。 もう一度溜め息をつき再び風呂場へと向かった俺は、キャンキャンと中から聞こえてくる子犬の鳴き声に苦笑を漏らしながら扉をノックする。 ...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:46
「記憶喪失ってわけ?」 エアコンが効いて暖かくなった部屋へと招き入れ、とりあえず濡れた身体を拭けとバスタオルを手渡しながら問いかけた。 一瞬きょとんとした彼がすぐに複雑そうな笑みを浮かべ、返ってきた「さあ…?」という他人事のような返事に、冷静というよりはまだ現実を把握しきれていない戸惑いを感じ。 まあ…無理ないか。記憶喪失なんて、あまり体験するようなもんじゃないだろうし。 「気付いたらこんな風になってて。こういうのを記憶喪失って言うのかな?」 どこか呆然とした様子で呟いた彼に、正直何て答...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:43
部屋に戻り、何をするよりも先に風呂場に駆け込みシャワーを浴びた。 こういう時ユニットバスとはいえ、風呂付きのアパートにしてよかったと思う。 この寒さの中、雨に濡れてシャワーを浴びることすらできなかったら、明日には高熱間違いなし。こう見えて、結構繊細なんだ俺は。 シャワーを終えて、ひんやりと冷たいままの部屋の空気に身震いをし、先にエアコンだけでもつけておけばよかったと後悔しながらリモコンを操作する。 少し乱暴に拭いた髪はまだ濡れたままだったけど、そのまま万年床になっている布団に潜り込み、頭ま...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:39
校門を出たときには小降りだった雨が、大学から徒歩10分のアパートに着く少し手前で土砂降りになった。 「冗談だろっ!?」 多少濡れるくらい構わないと、のんびり歩いていたのが間違いだったらしい。……なんて事を今更思っても仕方がない。 バケツを引っくり返したような雨の中慌てて走り出したものの、目と鼻の距離まで近づいていたアパートに着いた頃、俺はすでにずぶ濡れで。 水も滴るいい男なんて、そんな冗談を言ってる場合じゃないっての!! 1月も下旬に差し掛かろうというこの真冬の寒さの中、ずぶ濡れのままいつ...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:32
(高校生×大学生/年の差/年下攻め/強気受け/性描写有) 中居 仁志(なかい ひとし)/17歳×三島 潤(みしま じゅん)21歳 ■雨やどり(2010.2.19/全19話完結) 雨の日に出会った1人の少年と1匹の子犬。 ずぶ濡れのままアパートの階段に座り込んでいた少年の事が気になり、声を掛けたことから始まったたった3日の同居生活。 普通の高校生に見えた少年は実は…… 1/2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/ 11/ 12/ 13/ 14/ 15/ 16/ 17/ 18/ 19/(完結) ■寄り道(2010.3.18/8話完結) 雨やどり番外編。...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:28
「いいですね。斬新です! それやりたいです私」 花匠さんとの第一回打ち合わせ。 短めの髪を揺らして、きらきらと瞳を輝かせるまだ若い女性が声を弾ませた。 学院側は僕と創。花匠さん側は、フラワーコーディネーターの兼平さんと、専務の廣岡さん。 ナイスミドルな廣岡さんは昔からお世話になってる方で、事務方だから見積もりとかそういうのの担当。 兼平さんは、今年初めてうちの担当をしてくれるまだ若い綺麗なお姉さんだった。うん、類が興奮してたの分かる。元気で可愛い...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2020.10.20 Tue 13:24
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