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舞台では在校生有志による、演し物が始まった。 進行役としてマイクを持った二年生委員も上手く回してくれるし、助かるなーと、僕らまでお客さん気分だ。 コントや、モノマネ、マジックに、歌、一発芸。……あれ? なんか増えてるね。とび入り参加がけっこう多かったみたい。 創たちが言ってたように、お笑い系もスベって寒い空気になることなく、めっちゃウケてたし、飛び入り一発芸はスベってる人もいたけど、スベリ過ぎて逆にウケてた。 あれはあれで、スベリ芸やね。って慎一が冷静に...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2020.10.23 Fri 12:39
ランドリーバッグを抱えて五階へ戻ってくると、ちょうど自室に帰ってきた廉と鉢合わせた。 「廉! 今戻ってきたところ?」 少し早めにお風呂に入ってその間に洗濯を済ませ、一階のランドリーに乾燥に行く、三日に一度の僕のルーティン。 乾いた洗濯物を抱えたまま、廊下の途中で振り向いた廉の方へ近寄っていく。 いよいよ明日は謝恩会。 夕方までに一、二年生の生徒会委員で前日準備は済ませていたけど、廉は今日も講堂で居残り練習していたみたい。 ブランクのある廉なのに、本番まであと...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2020.10.22 Thu 19:54
謝恩会の演し物も決まって、準備に余念のない生徒会メンバー。 アイデアは出したけどほとんどやることのない僕は、生徒会室の隅っこで送辞の原稿を書くためにPCの前でぼーっとして、もとい、思索に耽っている。 廉は講堂で練習中、創と要は写真部の部室に出張中。 普段から有能なメンバーたちに業務のほとんどをお任せしてるお飾り会長だけど、せめて「生徒会長として絶対はずせない仕事」くらいはきっちりやらないと。と、襲ってくる睡魔と水面下で格闘中。 「かいちょーさん、ちょっと休憩...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2020.10.21 Wed 14:39
腹が満たされれば、落ち込んでいたはずの気持ちまでも満たされた気分になるから、現金なものだ。 「食った食った。おまえ、うまいじゃん」 「本当!?ありがとう。これからもさ、勉強のために俺が作るよ。いいでしょ?」 ごちそうさま〜と言いながら、すぐにごろんと畳の上に寝転がった俺の食い終わった皿を甲斐甲斐しくさげながら、洗い物を片付けに再び台所に立つ仁志が、嬉しそうに振り返る。 「これからもって……」 おまえ、いつまでいるつもり?と、言いかけた言葉を口に出せなかったのはどうしてだろう。 ついさっ...
駄文倉庫 | 2020.10.21 Wed 00:17
人は弱っている時、どうしてこんなにもどうしようもない程に、人肌の温もりを求めるのだろう。 そして、どうして弱っている時に限って、見たくもない現実を突きつけられるのだろう。 広いキャンパスで、学部も選択している授業も全く違う2人に会うことなんて、約束でもしていない限りそうそうあるはずがなかった。 だからこそ、あんな事があった後でも俺は、何もなかったようにして大学に通えていたんだ。 裏切りを笑って許せるほど、俺は心の広い人間じゃない。 その裏切りの形を目の前で見せ付けられ平気でいられるほど、俺...
駄文倉庫 | 2020.10.21 Wed 00:13
(R-18) 四つん這いで尻を高く上げるという、とんでもない体勢で散々後ろを指で弄られ、何で高校生のくせして男同士のヤリ方なんか知ってんだとか、その慣れた手つきに、今まで遊びまくってただろとか、とにかくたくさんついた悪態もその端から奪われていった。 本来受け入れるべきでないはずのその場所が、泣きたくなるくらい丁寧に、恥ずかしくてこのまま死んでしまいそうなくらいじれったく解され。 指が引き抜かれた時にはジンジンと疼くその場所が、まるで呼吸をするかのようにしてひくついているのを感じ、本気で恥ずかしく...
駄文倉庫 | 2020.10.21 Wed 00:09
(R-18) なんで……? どうして俺は、こいつとキスなんかしてんだろ……。 頭に浮かんだそんな疑問も、ふわふわと定まらない思考では長続きしない。 ただ、ふうわりと包み込まれた腕の力強さが、そして唇にそっと押し当てられた柔らかな優しい感触が、アルコールのせいでただでさえ心許ない思考を溶かしていく。 「ん…っ…」 そっと舌先で唇の輪郭をなぞられ、ゾクリとした震えに微かな呻き声を上げれば、すぐに離れてしまった温もりが寂しくて。 「抵抗しないの?」 耳に届いた、ほんの少し情けなく歪んだ声色に、くす...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:59
卓上のガスコンロの上に乗った鍋の中身は、1時間後には雑炊まで綺麗に平らげられていた。 俺だって食が細いわけでは決してないが、さすが育ち盛りの高校生といおうか…仁志の食いっぷりは、思わず呆然と見つめてしまうくらいの勢いがあった。 「ご馳走様でした!あ、片付けは俺がやるから、三島さんは座ってて」 「おう…悪いな」 「俺にできることって言ったら、これくらいだもん」 テキパキと手際よく机の上を片付けていく仁志が、にっこりと笑う笑顔にまたドキンとして。 そんな自分の気持ちを振り払うようにして、パタパ...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:55
今日は午前中だけだった講義を終え、大学の帰りに駅前で適当に服を見繕い、夕飯の買い物をして帰途に着く。 ガサガサと、歩くたびに耳に届く袋ずれの音に、こんなに買い込んであいつがいなかったら虚しさが増すだけだと思いながら。 昨日の今日で記憶が戻り、自分の居るべき場所に戻ってしまっていたとしても不思議はない。もしそうなったら、少ない仕送りとなけなしのバイト代を叩いて買った、この服も食料も無駄になるじゃないかと、そんな自虐的な思いが思考を占めるのは、まだ認めたくない現実を改めて突きつけられてしまったか...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:52
「本当に、何も覚えてないのか?」 「川が……目の前に川がありますよね。気付いたらその川岸でぶっ倒れてて、ポケットに定期だけが入ってたから名前はわかったけど。それだって、本当に自分の名前なんだか…」 そう言った瞳が微かに揺れていて、それを誤魔化すかのように、彼が湯気が立ち上るカフェオレへと口をつける。 「あ…っつ!」 「バァ〜ッカ、その湯気が見えないのかよ」 シリアスになるなってのが無理な話だが、起こってしまった事は仕方がないのだからと、ほんの少しでも彼を励ましたくて。 だけど上手い慰めの台...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:49
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