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目に鮮やかな新緑が、見上げたそこに広がる空の青に溶け込むようにしてそよぐ季節。 休日の午後、開け放った窓から入り込んでくる風も爽やかで、玄関を一歩踏み出し見下ろす景色に目を細める。 オフィス街の一角に建つ10階建てマンションの、8階に位置するこの部屋から見える景色は、すぐ傍に建つ親の会社の自社ビルからもう何年も見てきた見慣れた街並みではあるが、立つ場所が変わるだけでまた違った景色に見える。 その大きな要因として、これからその見下ろした場所から出てくるであろう、恋人の存在があるのだが。 そん...
駄文倉庫 | 2020.09.27 Sun 00:31
<<4万HITキリリク>> 「サンキュ!平日の夜の1回と、日曜の昼間の講習になりそうだから、ちょっと時間はなくなっちゃうかもだけど。でもさ、もちろん日曜日は、講習終わったら会いに行くよ?いいだろ?」 申し訳なさそうに、それでもどこか不安そうに問いかけてくる陽生の言葉が、自分との時間を大切にしてくれているのだという事を伝えてくれたから。「もちろん」と頷いてみせた京悟の胸に、縋り付くようにして寄せられた温もりを、しっかりと抱きしめる。 「でも、今日の彼女も、同じところに通っているんだろ?店でも...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 23:02
<<4万HITキリリク>> すっぽりと、その大きな腕の中に納まってしまい、むぎゅぎゅっと音がしそうなくらい強く抱きしめられ、それこそ身じろぎひとつできなくなってしまった陽生が「苦しい」と訴えかけるものの、その戒めが解かれる気配は一向になくて。 「何回も電話したんだ。それなのに、君は全然出てくれなくて」 「仕方ないだろ。音切ってたから、気づかなかったんだよ」 「それでも、少しくらい俺からの連絡を気にしてくれてもいいだろう?」 「なに?拗ねてんの?」 「帰国して、なにをするよりも先に君に会いに行...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:46
<<4万HITキリリク>> 「ハルくんに、こんな素敵なお知り合いがいたなんて。私、加山 秋穂(かやま あきほ)っていいます。ハルくんのお店でバイトしてて」 「そうでしたか。それだったら、お会いした事があるかもしれませんね。私も彼のお店には何度か足を運ばせてもらった事があるので」 「いえ!初めてですよ。だって、こんな素敵なお客さんが来たら、絶対忘れないですもん!」 「光栄だな。私も、貴女のように可愛らしい方が接客してくださったら、忘れるはずないと思いますので、忘れていたという非礼を働かずにすんだ...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:42
<<4万HITキリリク>> 迎えた週末。金曜日からの出張を終え、日本に帰国したと同時に京悟が足を向けたのは、他ならぬ恋人の働く店だった。 日曜日の今日、店自体は定休日なのだが、店舗のあるマンションの2階を自宅とする陽生はその場所にいるはずだ。 空港から向かう中、送信したメールに返信がなかった事が、ほんの僅かな不安を落とすが。それでも、途中で返ってくるだろうと思っていたメールは、結局届く事はなかった。 自宅に戻る事なく、スーツ姿で立った店の前。すでに辺りは陽が落ちかけていて、薄暗い闇を落とし始...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:39
<<4万HITキリリク>> 決算期は、何かと忙しいのが世の常。それが、新年度を迎えようとする時期であればなおの事だ。それはなにも、企業に限った事だけではなく、街の花屋にしたって、それは例外ではないらしい。 特に、入社式を控えるこの季節、オフィス街に位置する陽生の両親が営む花屋は、企業からの注文が殺到していた。言ってみれば、年間でも一番の稼ぎ時というわけだ。 高校卒業後、すぐに両親の店で働き出した陽生も、当然店のスタッフの一員として、忙殺される日々を送っていた。 店の営業はもちろんの事、配達し...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:34
幼い頃からの記憶を辿ってみても、大晦日から正月にかけて両親揃って家にいたという覚えがない。共に会社を支える役職に就く両親は、年末・年始関係なく、忙しく世界を飛び回っているような人たちだったから。 毎年、広々としたリビングの、大きなダイニングテーブルの上に置かれていた、子供に与えるにしては厚みのあるお年玉袋を、兄と2人手にしていた事ははっきりと覚えている。 それが当たり前なのだと思っていたし、特に寂しいと感じた事はなかったけれど。 それでも高校を卒業した頃から、クリスマスイヴの夜を過ごす...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:13
<<陽生side>> 『大晦日の夜から、うちに泊まりにこないか?』 そんな誘いを受けたのは、もう2日寝ると〜お正月〜♪なんて、そんな子供染みた替え歌を歌ってしまいたくなる30日の昼日中。 両親が営む花屋も暮れの休みに突入していて、浅葉さんも冬休み真っ最中だから、俺たちはいつもの公園の芝生の上で逢瀬の時間を過ごしていた。 何もこんな寒空の下、こんなところで座り込まなくとも、デートならいくらでも行くところがあるじゃん!と、そう抗議の声を上げた俺に、「きみと...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:07
(R-18) 「俺も、愛、してるから…。ずっとあんたの事を好きだったのは、俺の方だから──…」 やっと言葉にして伝える事ができた想いに、また溢れ出す涙は止まってなんてくれなくて。 「ありがとう。俺もずっときみの事が気になってた。俺も、ずっときみの事が好きだったんだろうな。愛しているよ、陽生」 嬉しそうに目を細めたこの人の、今日1日で何度も繰り返されてきた言霊。 もう一度ごめんねと囁いたこの人の熱が、そっと溶かされた俺の蕾へと押し当てられ。 ビクッと震えた俺を宥めるように唇へと落とされた口付け...
駄文倉庫 | 2020.09.15 Tue 01:16
(R-18) 「ちゃんと慣らしておかないと、きみが辛いんだ。でもね、きみがどうしても嫌だと言うのなら、このまま止めたほうがいい。もっとね、方法はあるんだけど、生憎今日は何の準備もできていないから、これしか方法がないんだよ」 ごめんねって、切な気に揺れるこの人の瞳が、俺を大切にしたいんだって、傷付けたくないんだって訴えかけてくる。 この人の言う方法ってやつが、一体どんなものなのか、パニックに陥った俺は当然そんな事を問いかける余裕なんてなくて。 それでも、この人が与えてくれようとする愛情の大きさ...
駄文倉庫 | 2020.09.15 Tue 00:51
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