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「合うわけねえか…」 押入れから取り出した着替えを前に、つい今しがた見た彼の逞しい身体を思い浮かべ溜め息が零れ落ちる。 トレーナーの上下は普通の服よりは多少伸び縮みするからいいとして、一応新品を取り出したものの、Sサイズである俺のボクサータイプの下着では、どう考えたって小さすぎるだろう。 「仕方ねえ…」 まさか、濡れたままの下着を穿いておけとも言えないし。 もう一度溜め息をつき再び風呂場へと向かった俺は、キャンキャンと中から聞こえてくる子犬の鳴き声に苦笑を漏らしながら扉をノックする。 ...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:46
「記憶喪失ってわけ?」 エアコンが効いて暖かくなった部屋へと招き入れ、とりあえず濡れた身体を拭けとバスタオルを手渡しながら問いかけた。 一瞬きょとんとした彼がすぐに複雑そうな笑みを浮かべ、返ってきた「さあ…?」という他人事のような返事に、冷静というよりはまだ現実を把握しきれていない戸惑いを感じ。 まあ…無理ないか。記憶喪失なんて、あまり体験するようなもんじゃないだろうし。 「気付いたらこんな風になってて。こういうのを記憶喪失って言うのかな?」 どこか呆然とした様子で呟いた彼に、正直何て答...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:43
部屋に戻り、何をするよりも先に風呂場に駆け込みシャワーを浴びた。 こういう時ユニットバスとはいえ、風呂付きのアパートにしてよかったと思う。 この寒さの中、雨に濡れてシャワーを浴びることすらできなかったら、明日には高熱間違いなし。こう見えて、結構繊細なんだ俺は。 シャワーを終えて、ひんやりと冷たいままの部屋の空気に身震いをし、先にエアコンだけでもつけておけばよかったと後悔しながらリモコンを操作する。 少し乱暴に拭いた髪はまだ濡れたままだったけど、そのまま万年床になっている布団に潜り込み、頭ま...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:39
校門を出たときには小降りだった雨が、大学から徒歩10分のアパートに着く少し手前で土砂降りになった。 「冗談だろっ!?」 多少濡れるくらい構わないと、のんびり歩いていたのが間違いだったらしい。……なんて事を今更思っても仕方がない。 バケツを引っくり返したような雨の中慌てて走り出したものの、目と鼻の距離まで近づいていたアパートに着いた頃、俺はすでにずぶ濡れで。 水も滴るいい男なんて、そんな冗談を言ってる場合じゃないっての!! 1月も下旬に差し掛かろうというこの真冬の寒さの中、ずぶ濡れのままいつ...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:32
(高校生×大学生/年の差/年下攻め/強気受け/性描写有) 中居 仁志(なかい ひとし)/17歳×三島 潤(みしま じゅん)21歳 ■雨やどり(2010.2.19/全19話完結) 雨の日に出会った1人の少年と1匹の子犬。 ずぶ濡れのままアパートの階段に座り込んでいた少年の事が気になり、声を掛けたことから始まったたった3日の同居生活。 普通の高校生に見えた少年は実は…… 1/2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/ 11/ 12/ 13/ 14/ 15/ 16/ 17/ 18/ 19/(完結) ■寄り道(2010.3.18/8話完結) 雨やどり番外編。...
駄文倉庫 | 2020.10.20 Tue 23:28
「いいですね。斬新です! それやりたいです私」 花匠さんとの第一回打ち合わせ。 短めの髪を揺らして、きらきらと瞳を輝かせるまだ若い女性が声を弾ませた。 学院側は僕と創。花匠さん側は、フラワーコーディネーターの兼平さんと、専務の廣岡さん。 ナイスミドルな廣岡さんは昔からお世話になってる方で、事務方だから見積もりとかそういうのの担当。 兼平さんは、今年初めてうちの担当をしてくれるまだ若い綺麗なお姉さんだった。うん、類が興奮してたの分かる。元気で可愛い...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2020.10.20 Tue 13:24
「なぁなぁ、馨! 今年の花匠さんの担当の人、まだ若い女の人だって! すげぇ可愛いらしいぞ」 放課後の生徒会室。少し遅れたかな、と扉を開けた僕に、いきなり話しかけてきた嬉しそうな類。…良かったね。 「若さや美貌より、センスだろ? あー、でもそういう意味では若い女の人の方が、逆に頼りになるかな」 答えながら部屋に滑り込んで、素早くドアを閉める。 山の中のポツンと男子校、聖ステファノ学院の冬は厳しい。新しい校舎や宿舎は空調完璧だけど、生徒会室のある教務棟は一...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2020.10.19 Mon 17:28
浴室で抱き合い、意識を飛ばしそうなほどに感じ入ってしまったのだろう。 いつもなら俺が身体を洗ってやろうと手を伸ばせば、激しくでも照れくさそうな拒絶にあうのに、ぐったりと身を預けてきたその身体に触れても、抵抗らしい抵抗を感じられることはなく。 「のぼせて力が入らない」などと、文句を言う唇をやんわりと塞ぎながら、そっと触れ汗を洗い流してやった俺の機嫌は、最高潮によかった。 放っておかれれば鼻歌でも歌い出していたであろう俺に、浴室を出るときになってもまだうまく身体に力の入らない様子の陽生が、呆れた...
駄文倉庫 | 2020.09.27 Sun 00:58
ぱしゃ…と跳ね上げられた水面が、小さな雫となって撓る肢体に絡みつく。 「あ…つぃ……っふ…」 浴槽の淵についていた手が一瞬空を彷徨い、拠り所を見つけたと言わんばかりに俺の首筋へと絡み付いてくる。 キスを強請る仕草に掠めるだけの口付けを贈れば、恨めしげに見つめてくる瞳から一筋の涙が零れ落ちた。 「…も……ぁ、あ…」 焦らすような腰の動きに、深みを求める痴態が絡みつき。自ら揺らす衝撃に震える四肢が俺を求め、仕掛けられた深いキスで高みへと誘われた。 「足りない?」 「足りな……っふ…ぅっん…」 「...
駄文倉庫 | 2020.09.27 Sun 00:39
落とされた唇を更に引き寄せ、十数時間ぶりのその感触を味わう。 こいつに纏わり付く甘すぎる花の香りと、柔らかな感触に魅入られ、身を返しぐいと引き寄せた細い身体をソファの上に押し倒した。 「何だよもぉ〜…帰ってくる早々サカるなっての」 「仕方ないだろう?待ってる間、寂しく一人だったんだから」 「よく言う。寝てたくせに」 くすくすと笑みを零しながら憎まれ口を叩くその唇を、再度塞ぎ込み舌を差し入れれば、それだけで漏れ出す甘い吐息。 ゆっくりと背中に回された手の平の温度を感じた瞬間、その顔を見た時か...
駄文倉庫 | 2020.09.27 Sun 00:35
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