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「なぁなぁ、馨! 今年の花匠さんの担当の人、まだ若い女の人だって! すげぇ可愛いらしいぞ」 放課後の生徒会室。少し遅れたかな、と扉を開けた僕に、いきなり話しかけてきた嬉しそうな類。…良かったね。 「若さや美貌より、センスだろ? あー、でもそういう意味では若い女の人の方が、逆に頼りになるかな」 答えながら部屋に滑り込んで、素早くドアを閉める。 山の中のポツンと男子校、聖ステファノ学院の冬は厳しい。新しい校舎や宿舎は空調完璧だけど、生徒会室のある教務棟は一...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2020.10.19 Mon 17:28
浴室で抱き合い、意識を飛ばしそうなほどに感じ入ってしまったのだろう。 いつもなら俺が身体を洗ってやろうと手を伸ばせば、激しくでも照れくさそうな拒絶にあうのに、ぐったりと身を預けてきたその身体に触れても、抵抗らしい抵抗を感じられることはなく。 「のぼせて力が入らない」などと、文句を言う唇をやんわりと塞ぎながら、そっと触れ汗を洗い流してやった俺の機嫌は、最高潮によかった。 放っておかれれば鼻歌でも歌い出していたであろう俺に、浴室を出るときになってもまだうまく身体に力の入らない様子の陽生が、呆れた...
駄文倉庫 | 2020.09.27 Sun 00:58
ぱしゃ…と跳ね上げられた水面が、小さな雫となって撓る肢体に絡みつく。 「あ…つぃ……っふ…」 浴槽の淵についていた手が一瞬空を彷徨い、拠り所を見つけたと言わんばかりに俺の首筋へと絡み付いてくる。 キスを強請る仕草に掠めるだけの口付けを贈れば、恨めしげに見つめてくる瞳から一筋の涙が零れ落ちた。 「…も……ぁ、あ…」 焦らすような腰の動きに、深みを求める痴態が絡みつき。自ら揺らす衝撃に震える四肢が俺を求め、仕掛けられた深いキスで高みへと誘われた。 「足りない?」 「足りな……っふ…ぅっん…」 「...
駄文倉庫 | 2020.09.27 Sun 00:39
落とされた唇を更に引き寄せ、十数時間ぶりのその感触を味わう。 こいつに纏わり付く甘すぎる花の香りと、柔らかな感触に魅入られ、身を返しぐいと引き寄せた細い身体をソファの上に押し倒した。 「何だよもぉ〜…帰ってくる早々サカるなっての」 「仕方ないだろう?待ってる間、寂しく一人だったんだから」 「よく言う。寝てたくせに」 くすくすと笑みを零しながら憎まれ口を叩くその唇を、再度塞ぎ込み舌を差し入れれば、それだけで漏れ出す甘い吐息。 ゆっくりと背中に回された手の平の温度を感じた瞬間、その顔を見た時か...
駄文倉庫 | 2020.09.27 Sun 00:35
目に鮮やかな新緑が、見上げたそこに広がる空の青に溶け込むようにしてそよぐ季節。 休日の午後、開け放った窓から入り込んでくる風も爽やかで、玄関を一歩踏み出し見下ろす景色に目を細める。 オフィス街の一角に建つ10階建てマンションの、8階に位置するこの部屋から見える景色は、すぐ傍に建つ親の会社の自社ビルからもう何年も見てきた見慣れた街並みではあるが、立つ場所が変わるだけでまた違った景色に見える。 その大きな要因として、これからその見下ろした場所から出てくるであろう、恋人の存在があるのだが。 そん...
駄文倉庫 | 2020.09.27 Sun 00:31
<<4万HITキリリク>> 「サンキュ!平日の夜の1回と、日曜の昼間の講習になりそうだから、ちょっと時間はなくなっちゃうかもだけど。でもさ、もちろん日曜日は、講習終わったら会いに行くよ?いいだろ?」 申し訳なさそうに、それでもどこか不安そうに問いかけてくる陽生の言葉が、自分との時間を大切にしてくれているのだという事を伝えてくれたから。「もちろん」と頷いてみせた京悟の胸に、縋り付くようにして寄せられた温もりを、しっかりと抱きしめる。 「でも、今日の彼女も、同じところに通っているんだろ?店でも...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 23:02
<<4万HITキリリク>> すっぽりと、その大きな腕の中に納まってしまい、むぎゅぎゅっと音がしそうなくらい強く抱きしめられ、それこそ身じろぎひとつできなくなってしまった陽生が「苦しい」と訴えかけるものの、その戒めが解かれる気配は一向になくて。 「何回も電話したんだ。それなのに、君は全然出てくれなくて」 「仕方ないだろ。音切ってたから、気づかなかったんだよ」 「それでも、少しくらい俺からの連絡を気にしてくれてもいいだろう?」 「なに?拗ねてんの?」 「帰国して、なにをするよりも先に君に会いに行...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:46
<<4万HITキリリク>> 「ハルくんに、こんな素敵なお知り合いがいたなんて。私、加山 秋穂(かやま あきほ)っていいます。ハルくんのお店でバイトしてて」 「そうでしたか。それだったら、お会いした事があるかもしれませんね。私も彼のお店には何度か足を運ばせてもらった事があるので」 「いえ!初めてですよ。だって、こんな素敵なお客さんが来たら、絶対忘れないですもん!」 「光栄だな。私も、貴女のように可愛らしい方が接客してくださったら、忘れるはずないと思いますので、忘れていたという非礼を働かずにすんだ...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:42
<<4万HITキリリク>> 迎えた週末。金曜日からの出張を終え、日本に帰国したと同時に京悟が足を向けたのは、他ならぬ恋人の働く店だった。 日曜日の今日、店自体は定休日なのだが、店舗のあるマンションの2階を自宅とする陽生はその場所にいるはずだ。 空港から向かう中、送信したメールに返信がなかった事が、ほんの僅かな不安を落とすが。それでも、途中で返ってくるだろうと思っていたメールは、結局届く事はなかった。 自宅に戻る事なく、スーツ姿で立った店の前。すでに辺りは陽が落ちかけていて、薄暗い闇を落とし始...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:39
<<4万HITキリリク>> 決算期は、何かと忙しいのが世の常。それが、新年度を迎えようとする時期であればなおの事だ。それはなにも、企業に限った事だけではなく、街の花屋にしたって、それは例外ではないらしい。 特に、入社式を控えるこの季節、オフィス街に位置する陽生の両親が営む花屋は、企業からの注文が殺到していた。言ってみれば、年間でも一番の稼ぎ時というわけだ。 高校卒業後、すぐに両親の店で働き出した陽生も、当然店のスタッフの一員として、忙殺される日々を送っていた。 店の営業はもちろんの事、配達し...
駄文倉庫 | 2020.09.26 Sat 22:34
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