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街を煌びやかに彩る、色とりどりのイルミネーション。 空に輝く星の瞬きでさえも色褪せる、街を飾るデコレーションと恋人達の甘い睦言。 今宵サンタがやってくる。 子供達の願いをソリに乗せ、イヴの夜空に幻想的なベルの音を響かせて。 冬には温泉に浸かって雪見酒。 会えなかった時間を佳宏が過ごした、北海道の街並みも見てみたい。 5ヶ月ほど前、眠り続ける佳宏の枕元で一人囁いた、そんな未来への約束。 退院後、目立った後遺症も見受けられず、行われたガン再発の定期健診も無事にクリアした今、本当ならその約束...
駄文倉庫 | 2020.07.07 Tue 22:00
「佳宏、北海道ではライラックの花が満開だって」 そして今日も、眠り続ける佳宏に俺は話しかける。 「知ってたか?ライラックの花言葉は『初恋』なんだって。なんだか、俺達にぴったりな花って気がしないか?まあ俺の勝手な思い込みだけどな。映像で見ただけだけど、薄紫の花がいっぱいに咲いていて…すごく綺麗だった…」 ニュースで聞いたライラックの花言葉。 『初恋』の響きがやけに胸に響き、あまりに少なすぎる佳宏との思い出に、一筋の涙が頬を伝い落ちた。 「来年は二人で見に行こう。なんとしても休みをもぎ取る...
駄文倉庫 | 2020.07.04 Sat 23:02
佳宏の病気がわかってすぐの、両親の離婚。 母親に引き取られる事になった佳宏は、母親の実家がある札幌へと移り住んだ。 そこでの2年にも渡る闘病生活の中、自分の病気のせいで両親が離婚したのだと己を責め、病気が治れば父親は帰ってきてくれるのだと信じて、必死で耐えた辛い治療の数々。 もちろん、両親の離婚の原因が佳宏の病気であるはずもなかったのだが。 2年後に病気を克服してからも、父親が佳宏と母親の元に戻るはずはなく。そんな事実が、どれほどまでに幼い佳宏の心を傷つけたのか、俺なんかには到底想像もつかな...
駄文倉庫 | 2020.07.02 Thu 21:51
「ただいま」 小さく呟きながら、六畳一間のアパートに戻る。 今日は朝からずっと細かい霧にような雨が降り続いていて、傘を差していてもコートや靴がしっとりと濡れている。 窓と同じ高さの薄い棚の上で、丸くなって外を眺めていたマーゴが振り向いた。 部屋に持ち込まれた湿った雨の匂いに反応したのだろうか。珍しく、出迎えるように足に擦り寄ってくる。 「ご機嫌だね。マーゴ」 僕は彼女の黒くて滑らかな躰を抱き上げた。 喉を鳴らす延長のよう...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2020.06.30 Tue 17:12
セミの声が耳に響く暑い夏が過ぎ、赤・橙・黄と木々の葉が色付いた秋。 木の葉を散らし僅かな雪が降った冬。 そして色とりどりの花が咲き乱れ、何よりも美しい淡いピンクの花弁を誇らし気に咲かす、桜の木々が満開になった春──…。 ひとつひとつの季節が過ぎ去って、またあの季節がやってきた。 北海道では、今がまさに花盛り。 大通り公園ではライラックの花が満開を迎え、毎年恒例のライラック祭りが行なわれると、先日のニュースで特集が組まれていた。 「お疲れさまでした。お先に失礼します」 「おう、相変わらず仕事が...
駄文倉庫 | 2020.06.29 Mon 22:57
鳴海に会ったって? 今朝日本に帰ってきたばかりの環が、会えるはずがないだろ? だって鳴海はずっとここにいて、さっきまで俺と抱き合ってたんだぞ? 「な…に?おまえの方こそ、俺をからかってんのか?」 呆然と呟いた俺に、環が複雑な表情で、それでも真剣な瞳を向けてきた。 「からかってなんかねえよ。だいたい俺が急遽帰国したのだって、あいつに会う為だったんだし…と言っても、今の佳宏には、俺が会いに来た事なんてわかんねえけど」 「どういう意味だ…?」 自分で聞いておきながら、またしても押し潰されそうな...
駄文倉庫 | 2020.06.24 Wed 21:13
まただ。また、説明のつかない不安で胸が苦しくなる。 確かに鳴海は俺の目の前にいるのに、不安が俺の中を支配する──…。 「この先、俺以外の誰を好きになっても──…どこか片隅で良いから、祐輔のここに俺の居場所は残しておいてくれな?」 「え…?」 俺の胸に顔を埋めながら鳴海が呟いた言葉に、戸惑い目を見開いた。 「他の人を好きにならないでくれとは言わない。俺にはそんな資格ないし…」 「な、に…急に…」 「でも忘れないで?俺がおまえの事を愛してたって事」 「佳…宏…?」 『ゆ〜すけぇっ!開けろってば!!』 ...
駄文倉庫 | 2020.06.21 Sun 20:26
俺の腕の中で、とろとろとした微睡みの中に身を委ねる鳴海の表情を見つめていた。 眠りに引き込まれそうな無防備なその表情が、抱えきれないほどの幸福感をもたらしてくれる。 「佳宏」 「ん…?」 想いを込めて名前を呼ぶと、とろとろとした表情のまま、幸せそうな微笑みを返してくれる。 「おやすみ」 囁きそっと口づけた俺に、柔らかな笑みを浮かべたまま、ゆっくりとその瞳が閉じられた。 そして、そんな鳴海が与えてくれた穏やかな空気に包まれ、俺もゆっくりと瞳を閉じた。 ピンポンピンポンピンポ〜ン!! ...
駄文倉庫 | 2020.06.19 Fri 22:20
紡ぎだされた言葉に、どこかでそんな予感はしていたものの、やはり俺が浮かべたのは呆然とした表情だけだった。 「え?答えは環って…どういう……」 「あいつは俺の気持ち知ってたから、いろいろと…手紙や電話で話してくれたんだ。祐輔の事…」 鳴海の口から語られた真実は、もちろん今まで環からだって一度も聞いた事がない話で。 そんな話をするどころか、それこそもう12年になろうという環との付き合いの中で、俺達の間で鳴海の名前が出てきたのは本当に今日が初めてだったから。 「だから本当はおまえが、あの頃とは何も...
駄文倉庫 | 2020.06.16 Tue 22:08
こちらが立ち上がる暇もないくらいの環の慌ただしさに、俺はしばらく呆然と座り込んだままだった。 久々の友との再会は、ろくに会話をする事もなく、ものの10分とたたない内に呼び出した張本人が目の前からいなくなってしまうという結果に終わった。 「なんだったんだ?結局、あいつは何で朝っぱらから電話をかけてまで俺を呼び出したわけ?」 呆然と呟いたその言葉に答えてくれる相手は、当然だけどいなかった。 環と別れた後、いや、正確には環に置き去りにされた後、出がけの鳴海の様子と環のおかしな様子が重なり、胸を...
駄文倉庫 | 2020.06.13 Sat 21:11
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