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「お〜い、おまえ木本だろ?」 もう二度と会える事はないだろうと思っていた……。 記憶の奥底へと無理矢理押しやり、閉ざした蓋は二度と開く事はないだろうと思っていた。 そんな初恋の相手を目の前にし、みっともなく固まったままの俺を、鳴海が下から覗くように見上げてくる。 「ありゃ…もしかしてわかんない?まあ、あの頃は俺の方がでかかったしなあ。それに今よりガタイも良かったし…って、小学生の自分に負けてるなんて情けね〜」 まるで冗談を言うような鳴海の口調が、いくら見た目があの頃とは随分変わっているとは...
駄文倉庫 | 2020.04.29 Wed 20:17
「はいはい、新郎の前でイチャイチャしないよ。リカルドも泣いちゃうしね」 トニーがニヤニヤと引っかき回すと、宮嶋はトニーを見て、今度はパァっと顔を輝かせた。 「トニー!すごい、ちっとも変わってない!相変わらず綺麗だね!!」 「ふふふ、ありがとう。ケースケくんも相変わらずオトコマエだね〜。も〜。食べちゃいたいよね〜」 トニーが宮嶋の顎の下をこちょこちょとくすぐると、是枝が今度はかなり大きくゴホンゴホンと咳払いをする。 「あ、ごめんなさい。ケースケくん、新郎さんに紹介してもらっても良...
真昼の月 | 2020.04.29 Wed 08:01
俺と彼が初めて会ったのは、今からちょうど12年前の穏やかな春の日。 父親の転勤で、当時俺が住んでいた小さな町に越してきたのが、彼──…鳴海 佳宏(なるみ よしひろ)だった。 当時の鳴海は、周りのクラスメイト達よりも頭一個分は抜き出てるほど背が高く、真っ黒に日焼けした肌に白い歯…そして、とても小学6年生とは思えないほど、がっちりとした体格をしていた。 当然女子には人気があったし、同い年とは思えないほど何もかもが群を抜いていた鳴海は、俺達男子の憧れの存在でもあった。 俺はと言うと、そんな鳴海には背伸び...
駄文倉庫 | 2020.04.27 Mon 21:17
トニーは、設楽達がダーチャに来るときにいつも使っている、東側の真ん中の部屋に荷物を置いた。大竹の姿は、もうそこにはない。どうやらリビングに行ったらしい。 ここでは、いつもこんな感じだ。皆が皆、フリーダムに動いている。 「ねー、トモ。今回は俺達と一緒に大部屋で寝ない?夜通し恋バナとかしようよ〜」 「それはダーメ。今日は慎也とイチャイチャするって決まってるんだから!」 「ちぇ〜。じゃあコップを壁に付けて、盗み聞きしても良い?」 「それもダ〜メ!」 トニーがとんでもないことを言うのは...
真昼の月 | 2020.04.27 Mon 08:30
車がダーチャに到着すると、庭の手入れをしていたトニーが「あ!」と顔を上げて手を振ってきた。 「トモ!久し振り!勉強はどう?はかどってる?」 「うん!トニーさん、バラ、すっごい綺麗だね!」 「だろ!?」 トニーは「やっと見て貰えたよ!」と、ご自慢の『バラの盛りの庭』を前にご満悦の顔をした。 「待ってて、もう少し手入れをしたら俺も中に入るから」 「手伝うよ!」 「ほんと?ありがと、トモ!」 麦わら帽子に軍手と長靴、綿シャツにジーパンというトニーが、泥だらけの顔で子供のように笑う...
真昼の月 | 2020.04.27 Mon 08:07
バラの盛りの頃に来てくれ、というのは、トニーの口癖なのかもしれない。長野県。軽井沢にほど近い山間の『ダーチャ』から帰る時、トニーはいつも「次はバラの盛りの頃に来てくれ」と言うのだ。 そう、春に行っても、夏に行っても。 それだけ、高原のバラの盛りに狙いを定めるのは難しいのだろう。 春休みに行けば、軽井沢よりも高所にあるダーチャはまだ寒く、ゴールデンウィークでも「まだ早い」と言われ、夏には「今は谷間だから秋に来て!」と言われる。そのくせ、もうバラの終わる頃になると「冬はスキーやス...
真昼の月 | 2020.04.26 Sun 08:06
皆様!お久しぶりでございます!!イヌ吉です!! このような時期でのご挨拶となりますが、皆様お元気でいらっしゃいますか? ワタクシはこの時期に毎年やってくる咳喘息で、「今そんな咳してたらやばいって!!」と焦りまくり、必要以上に薬を飲んでしまって、先生に「この程度だったらもう喉飴で大丈夫だから!」と怒られたりしておりました💦(春先になりますと、結核を疑われるほどの咳が出るのですよ💦) そんなこんなでまたもやすっかりblogをお休みさせていただいたお...
真昼の月 | 2020.04.25 Sat 22:49
ここは「結晶」シリーズ「薔薇の盛りの頃に」の目次です。 結晶シリーズ目次はこちらになります。 ※ 章立てはしていませんが、大体の目安にサブタイトルをつけています。それから、話の切れ目がページの途中に来ているときもありますので、ご了承下さい。 ※ 名簿を作りました。良かったら参考にしてください。 「薔薇の盛りの頃に」 是枝との結婚式を挙げるために、ダーチャに招待された宮嶋と是枝。 「結婚式の前にやり残したことはないの?」バチェラーパーティーでそ...
真昼の月 | 2020.04.25 Sat 22:40
いつもの見慣れた日常の中で、いつもと違う風景を目にした時、人は一体どんな反応をするものだと思う? まず、驚くよな?うん、それは俺も同じ。 問題はその次だ。 大声を出す?固まってその場に立ち尽くす? 俺は完全に後者だ──…。 今まさに、俺はそんな戸惑いの中にいた。 夜10時過ぎにようやく仕事を終え、初夏の心地良いはずの夜風すら邪魔に思えるほど疲れた身体を引きずりながら、自宅であるマンションへと辿り着いた俺は、オートロックの扉の前で中を覗き込むように立っている男を凝視したまま、立ち尽くして...
駄文倉庫 | 2020.04.24 Fri 21:40
(リーマン/同い年/へたれ攻/切ない/性描写有) 木本 祐輔(きもと ゆうすけ)/24歳×鳴海 佳宏(なるみ よしひろ)24歳 ■初恋(2009.2.26/本編25話完結) 12年ぶりに再会した、半年間だけ同級生だった初恋の相手。 思いがけない再会に祐輔は戸惑いながらも、忘れる事ができなかった想いを溢れさせる。 しかし彼には、12年前に語られなかった真実があった──… 幼い頃に抱いた初恋をテーマにした、大人の切ない恋愛ストーリー。 1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15 16/17/18/19/20/21/22/23...
駄文倉庫 | 2020.04.24 Fri 21:40
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