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◇◇◇ ◇◇◇ いつものようにアディに「うちに寄るだろう?」と言われた時、湊斗は「もちろん!」といつもよりも大きな声で答えた。 湊斗の家の隣の家の玄関を開ける。耳に飛び込んできたのは、いつもよりも大きくて迫力のあるドラマチックな音楽だ。キラキラと光を乱反射する鏡の間は、ざわざわといつもと違う気配を発していた。……人の気配だ。 「誰か来てるのか?」 「さぁ、どうだろうね」 楽しそうに笑ってから、アディはいつもの扉を開けた。 玄関から5つめの扉。知ってる。それはリビン...
真昼の月 | 2020.01.26 Sun 08:08
◇◇◇ ◇◇◇ 翌日、自宅のベッドで目が醒めた湊斗は、体のあちこちが痛むことに閉口しながら何とか支度をして階下に降りた。両親はもう出かけた後らしく、テーブルの上には菓子パンが3つ置いてあった。 「……クソ。加減しろよ、あの絶倫……。体中ギシギシ言ってるじゃん。もっと普通にできないのかよ……っ」 かといって、最初に致した翌日、痛む体を魔力で癒やそうとしたアディに、「自分の体に魔法を掛けるな!」と怒って拒否ったのは自分なので、「痛くないようにしろ」な...
真昼の月 | 2020.01.25 Sat 08:09
(R18)です。このblogは18歳未満の方は読んでいらっしゃらないはずですが、苦手な方が間違えて読まないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを読む」を押すか、もしくは下にスクロールしてお読み下さい。 -----------------------------
真昼の月 | 2020.01.24 Fri 07:33
食事の後に通信教育のテキストを使って、更に勉強だ。アディは教え方も巧いが、なかなか熱心な先生だ。万が一にも成績が下がって、湊斗が両親から叱られる様なことがあってはならないと思ってくれているのだろう。 もう勘弁して下さい、というほど勉強してから、やっと風呂の時間になった。 ホテルの大浴場のような、大きな浴室。微かな硫黄の匂いのするまろやかなお湯。 「ああ、極楽すぎる……」 毎日このお風呂に浸かっているのに、馴れることも飽きることもない。やっぱり温泉は気持ち良いし、広い...
真昼の月 | 2020.01.23 Thu 08:06
「まあ、落ち着け」 「落ち着いてられっか!おま……正気?」 「正気だ。心配するな」 「じゃなくて!」 自分に暗示をかけているのか、何度も手にした煙草を口元へと運ぶコータが「落ち着け…落ち着け…」と、何度も呟きを繰り返す。 その姿がまた、滑稽で可笑しくて。 「嫌悪している、という感じではないな」 「嫌悪って……いや、ちょ…待てよ」 嫌悪や侮蔑の感情は読み取れないが、こいつの中の尋常ではない焦りが伝わってくる。俺にとっては、その反応が予想外だった...
駄文倉庫 | 2020.01.22 Wed 22:18
◇◇◇ ◇◇◇ 学校を出てると、湊斗の笑顔は段々と消えていき、どこか怒っているような表情になった。そのまま足早に駅に向かう。多分、駅には彼がいる。早く。早く。 定期券を出して改札を抜け、階段を駆け登る。ホームに出ると、果たしてそこには、スーツを着たアディが立っていた。 「おかえり、湊斗。帰ろうか」 「うん」 湊斗は大きくひとつ息を吸うと、アディの隣に並んで電車を待った。 やがて電車が入線してきて、2人は並んで吊革に掴まった。 暫く、2人は無言だった。駅をひとつ過ぎ、ふたつ...
真昼の月 | 2020.01.22 Wed 08:06
◇◇◇ ◇◇◇ 職員室に入り、担任の隣に座る。去年の担任が少し離れたところからこちらの様子を伺っていた。 「橘、このプリントなんだけどな」 担任はそう言って、三者面談日程希望書を机の上に出した。 希望日には○を、出られない日には×を書くようにと記された希望日欄は、全ての欄に×がついている。 「あのな、橘。お前ももう高2で、来年は受験だ。志望校のこととかもあるし、1度ちゃんとご両親とお話がしたいんだよ」 「でもどの日も仕事があるから来られないって言われました」 「来るのが...
真昼の月 | 2020.01.21 Tue 08:05
◇◇◇ ◇◇◇ 学校に着いて、ランドセルの中身を机に移動させようと蓋を開ける。 そこには、きちんと畳まれた新聞紙が入っていた。 「え?」 湊斗は目を何度もしばたいた。見間違いじゃない。何度見返しても、やっぱり新聞紙が入っている。 「……アディ?」 きっと、アディが悪魔の力を使って新聞を入れてくれたのだろう。 「ダメだよ、こういうことしちゃ」 小声でそっと囁く。すると、頭の中に『今度だけだよ』と声が響いた。 なんとなく。 なんとなくだけど、今迄不思議なこ...
真昼の月 | 2020.01.20 Mon 08:19
◇◇◇ ◇◇◇ 湊斗が目を醒ますと、そこは自分の家の、自分の部屋だった。 五畳ほどの部屋に、勉強机とベッドがくっついて置いてある。ベッドは二段ベッドのようにハシゴで登るタイプで、ベッドの下はタンスと本棚になっている。アディの家の寝室から見るとびっくりするくらいささやかだが、一般的な日本人から見れば、至って普通の子供部屋だろう。 いつ、どうやって自分がこの部屋に帰ってきているのか湊斗は知らない。だが、夜に家にいないことを一度も親に叱られたことがないのだから、きっと両親が帰ってくるよりも...
真昼の月 | 2020.01.19 Sun 08:01
こいつの失恋話以外の事を話題として上げても、会話として成立しない。所詮はそれだけの関係だったのだ。 それならば、やはり早急に話をつけさせてもらおうと、こちら側から口火を切った時、それまで苛立ちを滲ませていたコータの表情が一変し、続くはずだった俺の言葉をまたしても遮る。 「待った!ちょい待ち!面白くなかったんだよ!」 じれったい奴だと、さすがに閉口してしまった俺に向けられたのは、全く意味のわからない、俺の質問に対する答えとは思えない言葉だった。 「は?」 「こっちは全然うまくいかねえっ...
駄文倉庫 | 2020.01.18 Sat 21:06
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