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JUNE/BL/ML

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JUNE/BL/MLなど言われる、男×男などの同性愛要素を含む創作小説テーマです。
※ R-18作品には必ず分かるように明記しましょう。
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トロイメライ[9]

   「隆尚さん!いったいなにが ――」  戻ってきた夫を問い詰めようとする涼子。だが、広瀬はどんな言葉も耳に入らない様子で、無言でリビングのソファに腰を下ろす。  いつもと違う張り詰めた空気に怯える優里を宥めながら、涼子が子供部屋に連れてゆく。  広瀬は、混乱していた。この状況にも、陽深からの突然の別れの言葉にも。  「隆尚さん、ねえ」  戻ってきた涼子が不安そうに広瀬の膝を揺する。  「陽深、いや、彼とはどういう知り合いなんだ」  難しい顔のまま、呟くように広瀬が言った。  「優里の...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.10.04 Fri 09:23

トロイメライ[8]

   『はい、森井商事でございます』  営業用の柔らかい女性の声。  「お忙しいところ恐れ入ります。あの、広瀬と申しますが――」  涼子は努めて冷静な声を作る。  『涼子? 久しぶりじゃない、どうしたの』  「理香?」  『そうよ。あ、番号間違えたの? 経理課よ、これ。二課に回そうか?』  「ううん、いい。彼、来てるの?」  『ダンナ? 来てるわよ。いつもどおり』  「そう、――ならいいの」  『――なんかあったの?』  理香が、心配そうに声を潜めて言った。彼女は涼子とは同期で仲がよく、涼子...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.10.03 Thu 15:35

トロイメライ[7]

   今夜は、広瀬は来ない。  陽深はアパートの部屋の窓を開けて、川の流れる静かな水音に、ぼんやりと耳を傾けていた。特に趣味も無く、TVさえほとんど見ない陽深だが、暇を持て余すようなことはこれまでなかった。  ただ、こうしてじっとしていれば時間は過ぎていく。なのに、広瀬に会えないこんな夜は、なぜだかとても長く感じた。  そして、音の無い陽深の部屋に、アパートの階段を上がるゆっくりとしたリズムの足音が近づいてくる。足音は止まり、軽いノックの音に変わった。  「いるのかね、早川だが――」  ...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.10.02 Wed 12:06

トロイメライ[5]

   食事を終えて、先に陽深が風呂に入り、入れ替わりのように広瀬が入った。ホテルの大浴場とまではいかないまでも、他の泊り客も使う共同浴場なのだから一緒に入ってもよかったのだが、広瀬は先に入れと促した。不自然なのはわかっていたが、風呂場で以前のように反応してしまったら言い訳のしようがない。陽深の方は別段不審に思った様子もなく、素直に広瀬の言葉従った。  一緒にいると楽しくて、居心地がよかったはずなのに、最近どこかぎこちない二人の空気。気詰まりではないのに、一緒にいるとどこかで緊張している...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.09.30 Mon 15:42

トロイメライ[4]

   高村と別れたあと、広瀬はそのまま陽深のアパートに向かった。  人を訪ねるような時間ではないことはわかっていたが、一刻も早く彼に会いたかった。あんなふうに突き放してしまったことへの言い訳は、結局思いつかないままだったが、会いたいと思う気持ちに押さえれて、気が付けばタクシーを走らせていた。  どこにも留まらず、留まれない陽深――。彼が今ここにいる理由が自分だとうぬぼれているつもりはなかったが、広瀬は、彼がこのまま黙ってどこかにいってしまうのではないかという不安に駆られていた。  今...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.09.29 Sun 13:16

トロイメライ[3]

   「ただいま」  暗い声で、マンションのドアを開ける。  「パパ! お帰りぃ」  飛び出してきた娘を、広瀬はしゃがんで抱きしめる。  子供特有の、少し埃っぽいような匂いと、柔らかい弾力。小さな腕を首に巻きつけてくる優里。そのまま止まってしまった広瀬に、優里は顔を傾ける。  「パァパ?」  こんなふうに、父親のつもりで抱きしめたはずだったのに――。  「いつまで感動の再会をしてるのかしら?」  涼子が、いつまでも玄関先で抱き合っている親子を呆れたように見ていた。その言葉に我に帰った広瀬...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.09.28 Sat 13:08

トロイメライ[2]

   小春日和の穏やかな午後。鴨川沿いの河川敷からは五山の深い緑がよく見渡せる。時折川面を渡ってくる風は、冷たいが頬に心地いい。  陽深は、茶色く乾燥した芝生に腰を下ろし、クロッキー帳に水彩画を描いていた。  ふと、すぐ横に暖かい気配を感じて振り向くと、小さな女の子が斜め後ろから覗き込むようにじっと絵を見ていた。  自分の方を振りかえった陽深に、女の子は屈託のない笑顔で笑い、絵を指さして聞いてくる。  「これなあに?」  小首を傾げて聞いてくる可愛らしい仕草に、陽深は思わず微笑んで答...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.09.27 Fri 14:55

トロイメライ[1]

   (あー、いい月だな…)  広瀬隆尚は、ため息をついて空を仰いだ。  もう真夜中といっていい時間帯。閑静な住宅街にあるこの大通りでは、時折何台かのタクシーが行き過ぎるくらいで、歩道を歩く人影は彼だけだった。  趣味のよいスーツに身を包み、ステンカラ―のコートにブリーフケースを抱えたビジネスマン。背の高い、職場のOLたちにも人気のありそうな容姿だが、今歩いている彼の姿は、いかにも疲れ切ったサラリーマンそのものだった。  中堅どころの建材関係の商社に勤める彼は、34歳の若さで課長。同期...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.09.26 Thu 14:50

愛撫。(温度。番外編)

   「村野、ほい、お前の番」  練習が終わって、がやがやとうるさい&汗臭い部室。着替えている村野の前に、何枚かのDVDが差し出される。  「兄ちゃんの秘蔵版。無修正だぞ。けっこうバッチリ写ってる」  そう云ってニヤけるサッカー部のエロ担当。前に、俺が先だ、いや俺だとみんな必死になって順番決めてたあれか。と村野は思う。もう一巡したらしい。  「いや、俺はいい。――部屋にプレーヤーないし、パソコンも持ってないから」  「あー、それはキビシイな。…よっしゃ、そんな不遇な...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.09.25 Wed 12:15

温度。[6]

   「おはよ、熊崎」  月曜日、登校した剛毅を待ち構えていたように、安藤がやってきた。  「…おはよ」  小さな声で答える剛毅に、安藤が笑う。  「なーに? 元気ないじゃん。せっかく楽しい週末だったのに」  「ごめん。…勝手に帰っちゃって」  「ああ、そのこと。いいよ、別に。迫田いたし。それより、――はい」  水族館のマークとロゴの入った小さな紙袋が二つ。ぽんと机に置かれた。  「お土産。あんたたち、あのまま帰ったんでしょ? 私たちショップ寄ったから、迫田...

サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.09.19 Thu 15:16

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