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「そんで、衛さんから何を見舞いに貰ったんだよ」 「あ、色々、雑誌や本を……」 桐生は棚の上に置いてあったアイドルがたくさん載っている雑誌を手に取って、「これも衛さんがか?」と驚いた顔をした。 「それは時村さんです。あの人、意外とアイドル好きなんですね」 「お前でもアイドルとかに興味あんのか」 「なんすか、それ。俺だって好きですよ。今の子はみんな可愛いですよね。でもなんだか幼気(いたいけ)で、俺が応援しなくちゃって気になります」 雑誌をペラペラめくりながら、ヒロは思わずし...
真昼の月 | 2018.09.28 Fri 08:10
結との2回目の逢瀬は、結のアパルトマン(集合住宅)でだった。 1階併設のレストランで、夕食を共にした。 高級住宅街だけあって、客層もこのアパルトマン住人かそれなりの紳士淑女だ。 必要だろうと思って、私もジャケットと革靴でパリに来ている。 店内に入ると、絵画に出て来るようなシャンデリアと家具があり、クリーム色の落ちついた内装のレストランだった。 私たちを案内するウェイターが、最初の椅子を引く。 結がこのアパルトマンの住民で、バレエダンサーであることをウェイターは知っているだろう。 ウェイターが...
大人のためのBL物語 | 2018.09.27 Thu 13:27
「おーう。暇だと思って差し入れ持ってきたぜ」 体の痣や腫れがひいて、後は肋骨と腓骨がつくだけだとなった時点で、ヒロは一般病棟に移され、面会が解禁となった。 すると待ってましたとばかりに、事務局でヒロと親しくしている時村を筆頭に、組の奴らが様子を見に、時々病室に現れるようになった。「時々」と言っても人数が人数だ。時村は事務局の中でも1番親しくしてくれた先輩だから良いが、それ以外の奴が何故自分の様な新入りの見舞いに来てくれるのか、その理由が分からない。 実際は例の噂の真偽を...
真昼の月 | 2018.09.27 Thu 08:01
何故、俺を庇うのか、と。 オヤジの盃を貰おうという男だ。これを良いチャンスと捉えて、俺から金なり縄張りなりシノギなりを奪って、自分の地盤固めに使えば良いだろうが。 何故そうしない? どうしてそんな顔をして、俺を庇おうとするんだ!? こいつはバカだ。こんなチョロい奴、この世界で生き抜けるはずがない。 ヒロの辛そうな、苦しそうな顔を見て、金町は思わず顔を顰めた。 それなのに、何故自分はこんな気持ちになる……? 「金町。ヒロはこう言ってるがな」 栄次...
真昼の月 | 2018.09.26 Wed 08:02
「……金町は降格だ」 栄次が重く口を開くと、ヒロは反射的に叫んだ。 「やめて下さい!」 「ヒロ、オヤジの言(げん)に逆らうのか!」 「だって金町さんは何もしていないのに!」 叫ぶたびに頭がクラクラした。酸欠になっているのだろう。それでもヒロは叫んだ。自分のせいで金町が降格だなんて。それでなくても奥沢の件で金町の立場はかなり悪くなっているというのに、臆病だった自分の責任を金町が取らされるなんて! そんな事はヒロにとって、あってはならないことだった。だから、自分が喰っ...
真昼の月 | 2018.09.25 Tue 08:03
青白く、少しだけ細くなったヒロを心配し、少しでも話し相手がいた方が良いと思ったのだろう、衛は毎日のように学校帰りに病院に見舞いに来た。 衛が毎日ここに来れば、ここに誰かが入院していると宣伝しているようなものだと栄次は止めたようだが、どうせヒロの不在は組中に知れているのだから、入院していることを隠す方が不自然だと衛が宥め、その意見が勝ったようだった。 だが衛は四代目の弟であり、衛が来れば必ず栄次もついてくるのだ。お忙しいでしょうからとヒロが遠慮すると、衛は律儀に見舞いに来る日数を減...
真昼の月 | 2018.09.24 Mon 08:12
◇◇◇ ◇◇◇ 2、3日すると顔の腫れも引いてきて、辺りが大分見やすくなった。 この件は伏せられているらしく、病室を訪れるのは桐生と衛、栄次だけだ。ヒロは衛の護衛という仕事を投げ出してこんな所に寝ているのが心苦しいと言ったが、桐生は良いから早く体を治せとしか言わなかった。 若い体は回復も早く、1週間もするとヒロの体は大分回復した。食事も自分でとれるようになったし、トイレにも自分で行くことができる。 ヒロはもう退院しても良いんじゃないかと言ったが、さすがに折れた肋骨がもう少しな...
真昼の月 | 2018.09.23 Sun 08:02
主人公東郷のプロフィール 私には、サッカークラブがつけてくれた日本人秘書がいる。 小崎真(おざきまこと)35歳だ。 今夏、初めて私の元にやって来た。 ドイツで監督業だけしている時は、秘書などいらないが、私はその他の仕事が結構ある。 ドイツでCMに3本出演していたが、日本企業からも新たな打診が来た。 ファッション誌など、サッカー以外の取材も増えた。 私はあまり日本企業の広告には出たくないと考えている。 日本企業は何かと制約が多く、行動を狭められる。 ”契約期間中恋愛禁止”の結がまさにそうだ...
大人のためのBL物語 | 2018.09.22 Sat 21:14
「桐生。ヒロはお前の舎弟であってペットじゃねぇ。これで壊れちまうんなら話は中止だが、お前は奴に、壊れて欲しくはないんだろう?」 「……」 桐生は何か言い返そうとしたが、結局言葉が出てこなかった。 そんな桐生の肩を、栄次が小さく叩く。まるでそう……労るように。 元から、桐生が世話焼き体質であることは、栄次も重々承知している。桐生がヒロを拾ってきて、自分の部屋に住まわせたときも、またこいつのお節介が始まったかと思っていたのだ。いつものお節介……だ...
真昼の月 | 2018.09.22 Sat 08:01
すいません!今回、残虐なシーンは出てこないのですが、かなりグロい話をしています! 「痛いのは苦手!」「痛々しいのは苦手!」「可哀相なのは苦手!」という方もいらっしゃると思いますので、そういう方はその部分を読まないようにお願いします!! 今回、痛いのは前半で、後半は痛くないんですが次のお話に関係してくるので、痛いのが苦手な方は「こちらのボタン」を押して、痛い場所を飛ばして読んで下さい! 痛い場所は、主にヒロさんの症状の説明で、どんなことをされちゃったのか書いてあります💦 ...
真昼の月 | 2018.09.21 Fri 08:03
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