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「どうかしたんですか?」 ヒロが声をかけると、高みの見物を決め込んでいた男が2人、ヒロを見て「ぁあ!?」と尻上がりな怒鳴り声を寄越してきた。 「何だテメェ、どこの組のモンだ!」 「失礼しました。真田組の桜沢です。新参者なんで、以後よろしくお願いします」 「さ……」 真田組と聞くなり、男達の顔は少し慌てたように歪んだが、ヒロがまだ若いと踏んで、フンと鼻を鳴らした。 「このガキが因縁つけて来やがったんだよ。邪魔すんじゃねえ!」 「でも兄さんみたいな人が相手にするような大物...
真昼の月 | 2018.10.11 Thu 07:59
「どうかしたんですか?」 ヒロが声をかけると、高みの見物を決め込んでいた男が2人、ヒロを見て「ぁあ!?」と尻上がりな怒鳴り声を寄越してきた。 「何だテメェ、どこの組のモンだ!」 「失礼しました。真田組の桜沢です。新参者なんで、以後よろしくお願いします」 「さ……」 真田組と聞くなり、男達の顔は少し慌てたように歪んだが、ヒロがまだ若いと踏んで、フンと鼻を鳴らした。 「このガキが因縁つけて来やがったんだよ。邪魔すんじゃねえ!」 「でも兄さんみたいな人が相手にするような大物...
真昼の月 | 2018.10.10 Wed 09:36
そうして夜は時々、桐生と「睦み合う」。 普段はヒロに向かって、まるで色めいた顔をしない桐生だが、そうなる時には、目で、指先で、口元で、雄弁にヒロを誘ってくる。 桐生と抱き合いながら、自分たちの関係は一体何なのだろうかと考える。自分は桐生に抱かれながら駈を想い、桐生もきっと誰かを想いながら自分を抱いているのだろう。 それでも、自分と桐生の間には確かに某(なにがし)かの情が通い合っていて、目に見えない誰かを間に入れた、4人で関係を持っているような奇妙さがあった。 事が終わっても...
真昼の月 | 2018.10.09 Tue 08:02
「何だゴルァ!邪魔なんだよてめぇ!」 面白いことに、こちらが「ヤクザらしく」強気に出ると、相手は慌てたように逃げ出すことが多かった。言葉の威嚇だけではなく、追突寸前まで追い上げたり、バンパーを相手の車にガツガツ当ててみたりもする。 警察を呼ぶぞと息巻く奴がいないことはなかったが、実際にそうする奴はいない。警察が出てきて困るのは、きっと奴ら自身なのだろう。 「ヒロは最近ずいぶん“らしく”なってきたじゃねぇか」 そう言って栄次はニヤリと笑い、桐生は少しだけ複雑な顔をした。 ...
真昼の月 | 2018.10.08 Mon 08:13
結との2回目の逢瀬は、結のアパルトマン(集合住宅)でだった。 1階併設のレストランで、夕食を共にした。 高級住宅街だけあって、客層もこのアパルトマン住人かそれなりの紳士淑女だ。 必要だろうと思って、私もジャケットと革靴でパリに来ている。 店内に入ると、絵画に出て来るようなシャンデリアと家具があり、クリーム色の落ちついた内装のレストランだった。 私たちを案内するウェイターが、最初の椅子を引く。 結がこのアパルトマンの住民で、バレエダンサーであることをウェイターは知っているだろう。 ウェイターが...
大人のためのBL物語 | 2018.10.07 Sun 08:29
皆様、コメントありがとうございます。 お返事はコメントをいただいた順に書いております。 先に書いていただいた方のリコメが下になっておりますので、もし自分へのレスがないな、と思われたら、下の方をググッとスクロールしていただけると嬉しいです。 イヌ吉拝 10:31:みさ様 コメントありがとうございます!!&ハッピーハロウィーン!! そうなんです。コーヒーがまずいんです💦 ヒロさん、まずいコーヒーでも馴れてしまえる人だから、桐生...
真昼の月 | 2018.10.07 Sun 07:43
ひょっとして、今迄ずっと、自分を心配してくれていたのだろうか。金町とはここに来るまで紆余曲折があった。それなのに……。 「ありがとうございます」 ヒロが素直に頭を下げると、金町は「よせやい!」と笑った。 「そんな風に礼を言われんのはガラじゃねぇや。ああ、カシラは今日も遅いんだろ?よし、飯でも食いながら店の細かいこと決めようぜ。ちゃあんと奢ってやるからよっ!」 「ありがとうございます」 ヒロがもう一度頭を下げると、金町は鼻の頭に皺を寄せて笑った。 ◇◇◇ ◇◇◇ ...
真昼の月 | 2018.10.07 Sun 00:16
◇◇◇ ◇◇◇ 公園でアニキと遊んでいると、ジョギング中の男に「おはよう」と挨拶をされた。この公園でよく一緒になる人だ。 「おはようございます」 ヒロもすぐに挨拶を返す。そうして挨拶を返せた自分に、ヒロはふと違和感を覚えた。 何だろう。体が軽い。昨日あんな事をしたばかりだというのに。 夕方、店のことで話があると金町に呼び出されたときも、金町達に対して事件後に感じていた程の悪寒が無くなっていることに気づいた。 まだ、少し動悸がして、背中がゾワゾワとする。でも、それだけだ。...
真昼の月 | 2018.10.06 Sat 08:04
ヨーロッパでは、各国のサッカーチームでグループA(1軍)同士の対戦で頂点を競う大会がある。 ドイツのブラオミュンヘンと、フランスパリを拠点とするラパリスの対戦が今週末ある。 ドイツとフランスは宿命のライバル同士、屈指の好カードだ。 私の率いるブラオミュンヘンはここ8年で国内3回の優勝を誇るチームで、同じくラパリスも、豊富な資金力を背景に持つフランスの強豪である。 試合会場は、ドイツ。私のチームの地元フライブルクでの試合だ。 この試合のゲストに、なんと、パリで活躍するバレエダンサーの結が呼ばれ...
大人のためのBL物語 | 2018.10.05 Fri 11:33
これは、何の涙だろうか。 少なくとも、悲しみや苦しみの涙ではない。 そうだ。これだ。これだったんだ。 俺はこうしたかった。俺はずっと、これが欲しかったんだ……! 体の中を熱い奔流がうねり、ヒロは小刻みな喘ぎを漏らした。それは自分が思っていたよりも甘い声だった。 「好き、好きだ、好き……!ああ、かける……駈っ!!」 甘い声と共に流れる涙は唇で掬い取られる。 その夜、ヒロは幸せだった。 何故自分がこれほど幸せなのか分からなかった。 ...
真昼の月 | 2018.10.05 Fri 08:01
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