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ひょっとして、今迄ずっと、自分を心配してくれていたのだろうか。金町とはここに来るまで紆余曲折があった。それなのに……。 「ありがとうございます」 ヒロが素直に頭を下げると、金町は「よせやい!」と笑った。 「そんな風に礼を言われんのはガラじゃねぇや。ああ、カシラは今日も遅いんだろ?よし、飯でも食いながら店の細かいこと決めようぜ。ちゃあんと奢ってやるからよっ!」 「ありがとうございます」 ヒロがもう一度頭を下げると、金町は鼻の頭に皺を寄せて笑った。 ◇◇◇ ◇◇◇ ...
真昼の月 | 2018.10.07 Sun 00:16
◇◇◇ ◇◇◇ 公園でアニキと遊んでいると、ジョギング中の男に「おはよう」と挨拶をされた。この公園でよく一緒になる人だ。 「おはようございます」 ヒロもすぐに挨拶を返す。そうして挨拶を返せた自分に、ヒロはふと違和感を覚えた。 何だろう。体が軽い。昨日あんな事をしたばかりだというのに。 夕方、店のことで話があると金町に呼び出されたときも、金町達に対して事件後に感じていた程の悪寒が無くなっていることに気づいた。 まだ、少し動悸がして、背中がゾワゾワとする。でも、それだけだ。...
真昼の月 | 2018.10.06 Sat 08:04
ヨーロッパでは、各国のサッカーチームでグループA(1軍)同士の対戦で頂点を競う大会がある。 ドイツのブラオミュンヘンと、フランスパリを拠点とするラパリスの対戦が今週末ある。 ドイツとフランスは宿命のライバル同士、屈指の好カードだ。 私の率いるブラオミュンヘンはここ8年で国内3回の優勝を誇るチームで、同じくラパリスも、豊富な資金力を背景に持つフランスの強豪である。 試合会場は、ドイツ。私のチームの地元フライブルクでの試合だ。 この試合のゲストに、なんと、パリで活躍するバレエダンサーの結が呼ばれ...
大人のためのBL物語 | 2018.10.05 Fri 11:33
これは、何の涙だろうか。 少なくとも、悲しみや苦しみの涙ではない。 そうだ。これだ。これだったんだ。 俺はこうしたかった。俺はずっと、これが欲しかったんだ……! 体の中を熱い奔流がうねり、ヒロは小刻みな喘ぎを漏らした。それは自分が思っていたよりも甘い声だった。 「好き、好きだ、好き……!ああ、かける……駈っ!!」 甘い声と共に流れる涙は唇で掬い取られる。 その夜、ヒロは幸せだった。 何故自分がこれほど幸せなのか分からなかった。 ...
真昼の月 | 2018.10.05 Fri 08:01
(R18)です。このblogは18歳未満の方は読んでいらっしゃらないはずですが、苦手な方が間違えて読まないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを読む」を押すか、もしくは下にスクロールしてお読み下さい。 -----------------------------
真昼の月 | 2018.10.04 Thu 08:05
「なんで謝るんだよ」 「いや、明日組のみんなに何て言うのかなって」 「間違えて剃り落としたって言や良いだろ、別に。イメチェンした、でも良いしな」 そう言いながら、部屋の電気を消し、ベッドの上にヒロを誘導する。その仕種は、ひどく馴れていた。 そのまま桐生は、ヒロに何か言う暇も、何か考える暇も与えずに、唇を重ねてきた。 その唇は思っていたよりも柔らかく、でも少しだけ荒れていた。 もっと、抵抗があるかと思っていた。男であり、兄貴である桐生と唇を合わせているのだ。 ...
真昼の月 | 2018.10.03 Wed 08:05
「……兄貴の子供の頃かな……。こっちの人、兄貴に似てるから兄弟とか?……あれ?」 写真には、桐生を真ん中にして男が3人と女が2人映っていた。ひょっとして、桐生の隣にいるこの人は…… 「なんだ、ずいぶん古い写真を見てるんだな」 「あ、すいません!つい……!」 慌てて謝りながら振り返って、思わずヒロは固まった。 そこには、蓄えていたはずの顎髭が綺麗に落とされた桐生の顔があった。 「兄貴…、その顔……」 ...
真昼の月 | 2018.10.02 Tue 08:03
なぜこうなる前に駈と寝ておかったのかと、確かに自分はそう思った。 暴力として体を暴かれるのではなく、もしも駈と体を重ねていたら……と。 桐生は自分と寝ることで、溝口の一件はただのリンチであり、体の関係にはカウントしないのだと教えようとしているのだろうか。 本物のセックスとはどういう行為をいうのかと。それは決して暴力ではないのだと。 もしも駈と最初に体を交わしていれば、それはどういう物であったのかを教え、上書きしようとしているのだろうか 「…&hellip...
真昼の月 | 2018.10.01 Mon 08:01
「なんだ、その汗は。お前どんだけ筋トレしてやがった!」 「いや……すいません」 慌てて床に飛び散った汗を拭こうとすると、「そうじゃねーだろうがよ!」と怒鳴られた。 「だから、やりすぎなんだよテメーは!」 「すいません!」 すぐに頭を下げると、桐生は忌々しそうに舌を打った。 「何を焦ってんだ、ヒロ」 「何をって……だって俺、組長に言いつかった仕事をまるでできてないし……」 「元々お前がいなけりゃオヤジが1人でやってた事をお前に手伝わせてるんだ。...
真昼の月 | 2018.09.30 Sun 08:01
◇◇◇ ◇◇◇ 退院が決まったのは、事件から1ヶ月以上経ってからだった。重田医師は最後までヒロにカウンセリングを受けるように勧めてくれたが、ヒロ自身がそれは断った。 退院して、またしばらくは桐生の元で世話になる。自分の店を持たされたら、今まで通りここで暮らすわけにはいかないだろう。それはなんだかひどく心細い気がして、それに気づいてはっと頭を振る。だめだ。自分は桐生に依存している。駈という支えをなくしてフラフラしているところに、桐生という頼りがいのある支えを見つけ、それに縋っているのだ。 ...
真昼の月 | 2018.09.29 Sat 08:20
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