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JUGEMテーマ:ものがたり 目の奥に渦が発生していて、そのせいで涙が出る感じ。私が天使を感じるときはいつもそういう感じだ。私の天使は人型をしていない。それは光り輝いていて、ハレーションが結晶化したような感じ。その結晶は八角柱状で、じっくりと見つめようとするとその眩い光のせいで涙がでてしまう。そして視界が滲んで見ることが出来ない。だから本当のところは、私はその八角柱を見ていないのかもしれない。それどころか八角柱状ですらない可能性もある。そこに天使がいることは確かなことかもしれない...
pale asymmetry | 2025.12.04 Thu 18:39
JUGEMテーマ:ものがたり ベランダに出したプールの水は、このところの寒さで冷たくなっているはずだ。ビニールの丸いそれは小さなプールで、並々と水を張っても私の膝下くらいの水深にしかならない。裸足になってズボンをまくり、ゆっくりと足を浸す。予想通り、とても冷たかった。世界の某かの真理が溶け込んでいるような気がするくらい冷たかった。 「無理をするのは良くないよ」 先にプールに身を浸していたドラゴンが言う。 「無理はしてないよ」 そう答えて、空を見上げる。どんよりと曇った...
pale asymmetry | 2025.11.29 Sat 17:57
JUGEMテーマ:ものがたり 彩色したければ、まず紋様を描かなければいけない。できるだけ単純で、それ故に際限なく複雑に彩色できる幾何学紋様を。その色の向こう側にも、紋様が秘されていることを感じさせるような紋様を。 瑠璃色の都市では八つの色彩を纏った勾玉が飛翔している。それは舞であり、祈りであり、誘いであるはずだろう。ただ、それは邪な誘いかもしれないことを亡霊が匂わせることになるだろう。その勾玉の飛翔こそが瑠璃都市の光景そのものであり、つまりそれは、勾玉は都市に殉じて...
pale asymmetry | 2025.11.23 Sun 18:22
JUGEMテーマ:ものがたり 演算機械のようだ。では飛び交っているのは歯車なのだろうか。あるいはそれぞれが使命を帯びた素子なのか。それなら構築されているのは、もっと高次元の思考機械なのかもしれない。それは勾玉だった。八色の勾玉だった。金と銀と朱と橙と翠と碧と紫と藍の八色で、その八色を纏った無数の勾玉たちが都市の内側の曲面にそって、そこに並ぶ無数の建物とそれを繋ぐ回廊にそって飛翔していた。整然と隊列を組んで飛翔していたわけではない。それぞれが独自の軌道を描き、どれ一つとして同じ軌道...
pale asymmetry | 2025.11.17 Mon 21:02
JUGEMテーマ:ものがたり 昨日の宵から今日の未明にかけて、激しい雨が降った。その雨が弱まるとともに風が強まり、北からの風が庭全体を揺すっている。庭は北側に面してはいないけれど、四方から流れ込んできて庭でとぐろを巻いているのだ。こういう朝は、庭に異形の者が現れる。そう教えてくれたのは祖母だっただろうか。それとも大叔父だっただろうか。雨に湿った縁側で、並んで腰掛けて背中を撫でられた記憶がある。でもその手が祖母の手だったか、大叔父のそれだったかは思い出せない。あるいは祖母や大叔父だ...
pale asymmetry | 2025.11.14 Fri 20:22
JUGEMテーマ:ものがたり 器の都市の内部は、もちろん曲線と傾斜によって構成されていて、それに沿うように建物が並んでいる。それは立ち並んでいると言うよりは、果実が実っているような感じに見えた。都市の内部、その内壁や建物も瑠璃色を纏っていたけれど、それは外装の瑠璃色よりも深く濃く、陰鬱な印象を受けた。あるいはそれは今夜が儀式の夜で、その直前であるからなのかもしれない。たとえば儀式が終わったあとならば、その瑠璃色は外装よりもずっと鮮やかになるのかもしれない。でもたぶんそれを確認する...
pale asymmetry | 2025.11.11 Tue 17:52
JUGEMテーマ:ものがたり 相変わらず、最初のコードを探している。いつものように、リストを積み重ねることによって。ただし、まだリストの項目は明らかに不足していて、だから完成図は全く見えていない。その状態では、最初のコードの選択肢は無限にあると言わざるを得ない。だからこの段階でコードを決定することは誤っていると言えるだろう。それを承知の上で最初のコードを探しているのは、今回は逆方向からアプローチしてみてはどうだろう、などと考えてしまったからだ。浅はかな考えかもしれない。けれど浅は...
pale asymmetry | 2025.11.10 Mon 18:33
JUGEMテーマ:ものがたり 大陸の東の渚から、狩人は八匹の犬とともに旅立ちました。八匹の犬は兄弟で、黒一色の長い毛を纏う大型犬でした。全ての犬が金と銀と朱で複雑怪奇な幾何学模様が描かれた仮面を装着していました。生まれて間もなく付けられた仮面であったため、犬たちは仮面を付けた生活が当たり前になっていて、それを不快と思うことはなくなっていました。狩人は若く、犬と同じくらいの年齢だったので、仮面の下の犬の素顔を見たことはありませんでした。旅立ちの前に、大人たちから決して犬たちの仮...
pale asymmetry | 2025.11.01 Sat 19:59
JUGEMテーマ:ものがたり 無音の響きは、無音だからこそ執拗に躰に纏わり付いてくる。皮膚の表面に、何とも表現しがたい刺激を貼り付けてくる。快と不快の狭間にあるような、その境界でくねり踊るような、そんな刺激をもたらす響き。 「恍惚とした心待ちで良いのだよ」 響きは彼に告げている。あるいはそう告げて誘っている。流れの内へ、その奥深くへと引きずり込もうとしているのかもしれない。でも彼自身がそれを望んでいるのかもしれない。 シャナリルレイ、サナラリアイ……。そんな...
pale asymmetry | 2025.10.31 Fri 20:41
JUGEMテーマ:ものがたり ゆっくりと、ゆっくりと、沈んでいく夢を見る。浅い眠りに浮かびながら、大きな水面にたゆたうように沈んでいく夢を見る。けれど私は浮かんでいるんだ。だから沈んでいくのは私自身じゃない。私の祈りだった。迷いを拭うための私の祈り。それが滅びを手繰り寄せたとしても、私は祈らずにはいられない。浅い眠りのせいで、私は昏い世界に包まれている。雨はその私を慰めるように、沈む音で私を撫でる。その雫はたぶんもう存在しない。その雫とともに、もう世界も存在しない。いや、それ...
pale asymmetry | 2025.10.20 Mon 17:57
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