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「小説」はなんとなく堅苦しい。
もっと気軽に、じゆうな感性で楽しんでほしい。
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翠玉のあなた

JUGEMテーマ:ものがたり    ボタニカルガーデンの温室で、私はベンチに腰掛けてレモネードを飲んでいる。甘ったるいレモネード。今日の空のようなコバルト色のボトル。ボトルを傾けるたびに踊るビー玉は、よく見ると虹色のスカラベだ。たぶんこの子がレモネードを甘ったるくしてるのだろう。だから、このレモネードはこんなにも黄金色をしているのか。スカラベから溶け出した七色の色彩が、混ざり合うことなく重なり合ってこの黄金色を構築しているのだろう。 「ねえ、あなたもそう思うでしょう?」  私は目の...

pale asymmetry | 2024.05.04 Sat 18:42

Tired Elephant and Waterless Pool

JUGEMテーマ:ものがたり   「ねえ、あれ何に見える?」  僕の左側で、サトエがそう言って空を指差す。真南からの強い風が銀色の陽光を揺らめかせている。でも上空の風は弱いのか、銀色の光で満ちた空の真ん中に白い塊が浮かんだまま動かない。サトエはそれを指差していた。 「象かな?」  僕の右側から、サトルが答えた。僕らは三人で並んで寝そべっていたのだ。そこは海沿いの遊歩道で、だから僕らは思いっきり往来の邪魔をしていた。その遊歩道を身勝手にハッキングしていた。少しギャングの気分。ギャン...

pale asymmetry | 2024.04.28 Sun 20:42

heavenly bug

JUGEMテーマ:ものがたり    コバルト色の自動販売機で、エメラルド色の水を買う。投入したコインは三枚。全て燃え上がるコインだ。投入後すぐに燃え上がり、熱エネルギーに変換されて自動販売機のコバルト色を輝かせる。でも三枚だからそれは一瞬。位置エネルギーに変換されることはないから、私は地面にへばりついたまま。両手で思いっきり羽ばたいてみても、揚力は一ミリも生まれない。そんなものだと納得出来ないので、何度も舌打ちを繰り返しながら自動販売機を蹴り上げる。その度にコバルト色の煌めきが自動販売...

pale asymmetry | 2024.04.21 Sun 20:44

speckled cats

JUGEMテーマ:ものがたり    巨人は、ゆっくりと歩いていた。黎明の色が濃い、夜と朝の狭間だった。ビルディングが建ち並ぶ都市の、片側四車線の道路の中央分離帯のフェンスを踏み潰さないように慎重に歩いていた。フェンスには一箇所大きく歪んだところがあった。真夜中の事故で、誰かが激突した後だった。自動車とモーターサイクルとの衝突事故で、モータサイクルのライダーは病院に運ばれた後に死亡が確認された。その魂は、まだこのフェンスの歪みに縛り付けられていた。巨人はそこを通過するときに立ち止まり、指...

pale asymmetry | 2024.04.17 Wed 20:54

occipital lobe that breathes

JUGEMテーマ:ものがたり    森には三葉虫が降りしきっている。大樹たちはとても気持ちよさそうだ。彼らは規則正しく並んでいる。そこには安定した法則がしっかりと根を張っていたからだ。花はもうすっかり散ってしまって、果実が実るにはまだ早い。太陽は中天からしっかりと森を見下ろし、五十六億七千万年の間はその場所を動かない。それでも森が焼かれることはない。三葉虫が降り続くからだ。構造色のリリカルなブルーに輝く三葉虫が森の空気を強固にして、絶え間ない陽光から大樹たちを守る。それだけではなく、そ...

pale asymmetry | 2024.04.10 Wed 21:27

purely unraveling

JUGEMテーマ:ものがたり   「転がることで開くのだ」  小さな鬼が言う。手脚をパタパタさせるように踊りながら言う。それは滑稽な動作だったけれど、その表情は至って真剣だ。 「刮目するのだ」  宙を波打つ手脚を止めて、小さな鬼が庭の中央を指差す。両手の指で、射抜くように指す。そこには青い正八面体が静止いていた。雨上がりの庭の地面はまだ湿っていて、ゆるやかに吹き抜ける風もじっとりとしていたけれど、青い八面体はどことなく涼しげに見えた。この庭にありながら、この庭にいないような、...

pale asymmetry | 2024.04.04 Thu 20:42

オルケストラは語らない

JUGEMテーマ:ものがたり    塔が復活するのだという。オルケストラの塔が。街外れの掲示板にそのことが告知されたのは、新月の真夜中のことだった。だからその告知を掲示したのは闇の月光だったのだろう。真なる闇にはその力があると古から伝えられているから、それは間違いのないことだと思う。するとオルケストラの塔が復活するというのも真実なのだろう。翌朝人々がその告知を目にしたとき、夜はすっかり開けていたというのに青白い空に幾筋もの流星が駆け下りたのは、その真実を後押しする振る舞いであったのだと...

pale asymmetry | 2024.03.31 Sun 19:11

Tiny cat alley

JUGEMテーマ:ものがたり    近所の路地の入り口で小さな猫を見かけた。白い猫で前脚の先端と左耳の先端だけが赤茶の猫。とても小さな猫で、五百円玉くらいのサイズだった。だから子猫にしたって小さすぎる。それに子猫のようなあどけなさもない。きっと普通の猫ではないのだろうと思った。つまり普通に存在している猫ではないのだろうと。 「ねえ、見て」  並んで歩いていた友人に私は言った。言いながら猫を指差す。午後の遅く、私たちはショッピングモールからの帰り。でも結局何も買わなかったから荷物はな...

pale asymmetry | 2024.03.30 Sat 17:54

cobalt blue eyes

JUGEMテーマ:ものがたり    小さな扉だった。私の掌くらいの大きさだった。人が通り抜けられるサイズではなかったけれど、たった今私はその扉を抜けてこの世界にやって来たのだった。世界なんて大げさな規模ではないのかもしれない。黄昏色に染まるその場所は、だから黄昏の国か。あるいはもっと小さなエリアかも。黄昏の風景、黄昏の情景とするのが適当だろう。一緒に扉をくぐり抜けた少年が、その扉に厳重に鍵をかける。 「これは境界で、境界は重く硬くなければいけないんです」  少年はそう言って、扉を押...

pale asymmetry | 2024.03.23 Sat 21:22

双子の聖女は運命を入れ替える(プロトタイプ版)4

JUGEMテーマ:ものがたり     ・「双子の聖女は運命を入れ替える」の第4回です。   他のページはコチラ→双子の聖女は運命を入れ替える1/2/3/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/31/32/33/34/35/36/37/38/39/40/41/42/43/44/    45/46/47/48/49/50/51/52/53/54/55/56/57/58/59/60/61/62/63/64/65/66/67/68/69/70/71/72/73/74/75/76/77/78/79/80/81/82/83/84/...

言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜 | 2024.03.13 Wed 22:38

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