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JUGEMテーマ:ものがたり 二酸化ケイ素の結晶は、石英と呼ばれたり、水晶と呼ばれたり、玻璃と呼ばれたり、水精と呼ばれたり。個人的には石英といえば、濁りを内包する結晶体というイメージ。それは何者かに生み出されたものではなく、輪舞のような自然現象によって、いつの間にか出現するものというイメージ。それならば、咲き開いたり翻ったりするこのとも可能であると思えるイメージ。しかしそのためには、天然のマテリアルとして存在する形では難しいように思える。もっとシンプルで小さく、軽快な姿が良いだろ...
pale asymmetry | 2025.04.23 Wed 19:15
JUGEMテーマ:ものがたり 龍は直接的には登場しない。でも龍は麒麟を生むのだという。龍が麒麟を生むのはどういう理屈なのだろうと思う。どちらも架空の生命体ではあるけれど、違う種であるはずなのに。それとも麒麟が成長して龍になるという考え方なのだろうか。出世魚のような感じだろうか。それにしては差異が大きいような気がするし、麒麟が成長して龍となるような物語を私は知らない。もちろん私が知らないだけで、実は一般的なのかもしれないけれど。 龍のイメージは雨。それも強い雨。そして渦。猛々し...
pale asymmetry | 2025.04.22 Tue 17:58
JUGEMテーマ:ものがたり 電子の波を漂うインフォメーションによると、麒麟の背丈は五メートルなのだという。これは私の予想を遙かに超えていて、正直驚いた。これではキリンと同じくらいの背丈ではないだろうか。キリンの場合は背丈ではなく体高と言うべきか。giraffeをキリンと呼ぶようになったのは麒麟に姿が似ていたからなのだそうだけど、本当にそうだったということだろうか。けれど麒麟に足が長い、あるいは首が長いというイメージはない。全体の形は鹿、顔は龍に似て馬のような蹄を有し、毛は黄色く鱗を纏...
pale asymmetry | 2025.04.21 Mon 20:02
JUGEMテーマ:ものがたり 閉じた夜だった。私はコンビニエンスストアのイートインからその夜を見つめている。カウンター席のみで、椅子の数は七つ。座面が菱形で、鮮やかな朱色をしている。ダイヤの七。タロットならペンタクルの七。何かが切り替わる予感。夜と室内を区切るガラスはこの上なく澄んでいて、存在感が薄い。とてもゆっくりと指で触れれば突き抜けられそうだ。そんな魔法の存在を感じさせる。でも少し目線の角度を変えればキラキラを纏い、それは宝石のよう。魔法なら手に入れたいけれど、宝石ならいら...
pale asymmetry | 2025.04.20 Sun 18:18
JUGEMテーマ:ものがたり まずは部屋だ。その部屋が持つ場のエネルギーを設定しなければいけないだろう。そこがスタート地点になる。その部屋の床は正方形をしている。いや床だけではなく四方の壁も全部正方形だ。そして当然天井も正方形になる。つまりその部屋は正六面体の部屋だ。あまり広くはない。一辺が四メートルから五メートルくらいだろうか。たぶん標準的な麒麟なら六体は並べることが出来るだろう。でも成熟した龍ならば一体を押し込むことが精一杯だろうと思えた。もちろん標準的な麒麟のサイズも成熟し...
pale asymmetry | 2025.04.14 Mon 18:20
JUGEMテーマ:ものがたり 早朝から、僕は祖父と餅をついた。前夜は車の中で眠ったので躰の節々が痛かったけれど、それに耐えて餅をついた。本当は祖父の屋敷で眠る予定だったのに、その古民家はしばらく来ないうちにとても眠れるような状態ではないほどに痛んでいたのだ。祖父は今僕の実家に一緒に住んでいて、この家にはめったに来ない。免許もすでに返納しているから、この山中の一軒家に来るのが難しいのだ。今回も僕の両親は反対したのだけれど、祖父がどうしても来たがったので、僕が車を出すことにしたのだっ...
pale asymmetry | 2025.03.16 Sun 20:49
JUGEMテーマ:ものがたり 少年は激しく鞭打たれていた。鞭打っていたのは鬼だった。雨交じりの午後、風は真南から、温い雨滴に草木は潤い、朗らかに微笑んでいるようだった。少年はそんな地面に蹲り、鞭打たれながら自身を抱き締めていた。この苦痛の時間が行き過ぎるのをただ願っているようだった。あるいはその鋭利な痛みの快楽に浸っているようにも見えた。その二つの様子を重ねて感じてしまうのは、私自身がそうだからなのかもしれない。つまり私自身が鬼に鞭打たれたとき、その二つのある種相反する想いを抱い...
pale asymmetry | 2025.03.13 Thu 21:32
JUGEMテーマ:ものがたり 私は駕籠に閉じ込められていた。あるいは収められていた。あるいは護られていたのかもしれない。でも身動きが取れなかった。竹製の駕籠が小さかったせいもあるけれど、身につけている鎧が私を雁字搦めにしていたのだ。その鎧は達磨のように私を拘束していて、私は指先さえ動かすことが出来なかった。そのような状態で、私は駕籠ごと当主が横たわる座敷へと運ばれた。その部屋は天井から無数の提灯が吊り下げられていた。赤い提灯、青い提灯、黄色の提灯、紫の提灯、藍色の提灯、緑の提灯、...
pale asymmetry | 2025.03.08 Sat 21:05
JUGEMテーマ:ものがたり 渦の中で目が覚めた。そういう感覚で覚醒したということだ。もしかしたら渦に関する夢を見ていたのかもしれない。でも目覚めた瞬間に、夢と切り離された瞬間に、夢の記憶は失われてしまった。いや、それは最初から存在しない事象に変じたのだった。だから夢は渦はなかった。でも渦があったという真実を私は憶えている。その記憶を書き換えることは出来ない。そう強く想ったら、皮膚の紋様がぬるりと蠢くのを感じた。その想いは正しいのだと言われているような気がした。でも同時にその想い...
pale asymmetry | 2025.03.05 Wed 21:17
JUGEMテーマ:ものがたり 川向こうのお屋敷で当主が亡くなられたのは、未明に激しい雨が通り過ぎた後に下りてきた冷気が、風景全体を戦かせているような朝のことだった。当主は七十八歳の好好爺な人物であったそうだけれど、亡くなった次の瞬間には少女の姿に変容していたのだという。同時にその額に、幾何学的な紋様が現れてもいたのだそうだ。これは怪異に違いないが、遺族も、集落の誰しも心当たりがあって、直ちに山の上の八卦見の先生が呼ばれることになる。やって来た八卦見の先生は、少女となった当主の躰中...
pale asymmetry | 2025.03.03 Mon 20:58
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