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「小説」はなんとなく堅苦しい。
もっと気軽に、じゆうな感性で楽しんでほしい。
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The Melancholy of the Thermometer

JUGEMテーマ:ものがたり    アビゲイルはある朝自分が体温計であることに気づいた。それは鏡の前に立って、そこに映し出された姿がどう見ても体温計だったからというわけではない。ベッドを出て洗面台の鏡を見つめたとき、そこに映し出された姿は昨日と同じ顔をした少し尖った少女だった。ただそれが自分だと、彼女はすぐには気づけなかったのだ。そこには僅かな変化が秘されていたのかもしれない。鏡の奥にその変化が織り込まれていて、それは見えないけれど感じ取れたのかもしれない。その可能性を、彼女は鏡を睨ん...

pale asymmetry | 2024.05.14 Tue 21:08

無自覚な女王

JUGEMテーマ:ものがたり    都市の中央にはメダルがある。それはある種の装置として機能している。詳細な見た目を紹介しておこう。都市の中央には、ちなみにこれは位置的に正確な中央という意味なのだけど、丸い筒状の水槽が設置されている。水槽には蓋があって、その天蓋にはパイプが繋がっている。パイプは地面から伸び出ていて、水槽の脇を上る途中にバルブが着いている。バルブを捻ると液体が水槽内に注がれるという仕組みになっている。それは煌めくブルーの液体で、都市の人々はそれをソーダ水と呼んでいる。そ...

pale asymmetry | 2024.05.12 Sun 18:56

双子の聖女は運命を入れ替える(プロトタイプ版)80

JUGEMテーマ:ものがたり     ・「双子の聖女は運命を入れ替える」の第80回です。   他のページはコチラ→双子の聖女は運命を入れ替える1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/31/32/33/34/35/36/37/38/39/40/41/42/43/44/45/46/47/48/49/50/51/52/53/54/55/56/57/58/59/60/61/62/63/64/65/66/67/68/69/70/71/72/73/74/75/76/77/78/79/      「この世...

言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜 | 2024.05.12 Sun 18:54

博士は宝石だと言う

JUGEMテーマ:ものがたり    瑠璃色の部屋だった。壁も床も天井も、その表面はフワフワしたマテリアルで構築されている。異界の病で踊り狂う人を閉じ込めるための部屋のように思えた。でも私は異界の病には詳しくはないので、そんな気がしただけだ。部屋は広くはなく、ボードゲームなら出来るけれどスポーツは出来そうにない。照明は柔らかく、十分な光量だった。部屋の真ん中には長方形の石のテーブルがあり、ボードゲームを置いてもあまりある大きさだった。実際にはボードゲームは出来ない。そのテーブルにはすでに...

pale asymmetry | 2024.05.07 Tue 19:32

始発の幻影

 薄暗い駅舎に、一人の男が佇んでいた。男の名はジョン、かつての戦争で英雄として称賛された男だ。彼の顔には、その時に負った深い傷跡が残っていた。それには、戦争の記憶だけではなく、暗い秘密も刻み込まれていた。    駅舎の時計は、午前4時44分を指している。始発列車が到着するまで、あと6分だ。ジョンは、ホームの端に立ち、ただじっと線路を見つめていた。   「もうすぐだよ、ジョン」    背後から、懐かしい声が聞こえた。ジョンは振り返り、目を丸くした。そこには、幼馴染のサラ...

ひっそりコッソリやるブログ | 2024.05.05 Sun 17:58

始発電車の乗客

薄暗いホームに、冷たい風が吹き抜ける。夜明け前の静寂を切り裂くように、電車が轟音を立てて入ってきた。 私は、その電車に乗車する。車内はいつもより薄暗い。蛍光灯の冷たい光が、乗客たちの顔に不気味な影を落とす。 私は、一番奥の席に座る。窓の外には、街の灯りが消え、闇が広がっている。   電車が動き出す。車輪が軋み、金属がぶつかり合う音が響く。   突然、私の隣に座っていた男が、私に話しかけてきた。誰かに似ている気がした。 「君は、どこに行くんだ?」 男は、薄暗い車内で、奇...

ひっそりコッソリやるブログ | 2024.05.05 Sun 17:58

時を越えた約束

 雨粒が窓に無情に打ちつける。冷たい雨の中、薄明にぼんやりと佇む破壊された街の景色。ふと視線を外に逸らすと、始発列車が焦土と化した遠くの地平から姿を見せた。一陣の風が私の長い黒髪をなびかせる。それでもなお、外の世界からは目を逸らさないでいた。 「やっぱり来ないわけだ」  幼馴染の彩と共に、交わした約束を思い出していた。私たちの道はここで分かれたはずだった。  学生時代から注がれた努力と、夢を諦めることなく前に進む強い意思。それらは全て、遺跡から見つかった古《いにしえ》の力で人類を救う、...

ひっそりコッソリやるブログ | 2024.05.05 Sun 17:57

夢の中の

 田舎町の夜明け前の無人駅は、薄暗い蛍光灯の光に照らされていた。誰もいないホームはひっそりと静まり返り、時折吹き抜ける風の音と雨音が、かすかに聞こえてくるぐらいだった。  夜勤明けの俺は、始発電車を待っていた。雨に濡れた髪を風に揺らめかせながら、暗いホームをじっと見つめていた。  突然、背後から声が聞こえた。 「和樹?」  振り返ると、そこには信じられない人物が立っていた。それは、幼馴染の健太だった。 「健太?! なんでこんな所に…?」  俺は、驚きと喜びを隠せない声で叫んだ。  ...

ひっそりコッソリやるブログ | 2024.05.05 Sun 17:56

亜矢花の秘密のドリンク

 私はいつも通り、学校への通学路を歩いていた。このペースだと遅刻しそうなのに、足取りは重く、ゆっくりとしか歩けない。今日は 朝からなんとなく身体がだるい、頭もずっとぼんやりしている。    (あーー、どうしてこんなに眠たいんだろう。ちゃんと目が覚めないまま出かけちゃったみたい)    ふと前を見ると、私と同じ制服の女の子がいた。ひとりで歩いているようだ。あれは同じクラスの亜矢花だ。いつも以上にすたすたと歩いている。  亜矢花がふいに立ち止まり振り返った。私も足を止める。二人の距...

ひっそりコッソリやるブログ | 2024.05.05 Sun 17:56

奇妙な未来人

 ――奇妙な午後――  陽光が降り注ぐ午後の公園。私はベンチに座り、新刊のSF小説を読みふけっていた。その時ふと、視界に奇妙な人物が飛び込んできた。  それは、まるで未来から来たような格好をした青年だった。銀色のメタリックスーツに身を包み、頭には奇妙な形のヘルメットを被っている。 「こんにちは」  青年は、にこやかに挨拶し、私の隣に座った。 「こんにちは…」  私は、戸惑いながら答えた。 「あなたは、この時代の住民ですか?」  青年は、真剣な顔で尋ねてきた。 「ええ、&hellip...

ひっそりコッソリやるブログ | 2024.05.05 Sun 17:55

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