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JUGEMテーマ:ものがたり 「私の部屋の隅に天使がいるの」 妹がそう言いながら僕の部屋に入ってきた。僕はそのときPCゲームをしながら寝落ちしそうになっていたので、妹が何を言っているのかよく解らなかった。 「だから、一緒にアイスクリームを食べようよ」 妹はそう言って僕の肩を揺する。揺すられて、僕は覚醒に連れ戻される。ゲームの中で僕のアバターは瀕死状態だったので、僕は慌ててログアウトした。同時に覚醒した僕の脳内で二つのワードが踊り出す。 「天使? アイスクリーム?」 「天...
pale asymmetry | 2023.12.02 Sat 20:46
JUGEMテーマ:ものがたり ・「あの夏に置き忘れた君との記憶」の第3回です。(出来上がった所からUPする方式の不定期更新です。) 他のページはコチラ→あの夏に置き忘れた君との記憶1/2/4/5/ 「設定って、今どれくらいできてるの?」 「……いや、まだ全然」 愛理咲(ありさ)のテンションと反比例するように、 創治(そうじ)のテンションは落ちていく。 だが愛理咲は気づかない。 「ねぇ、そのゲームさぁ……私も設定考えちゃダメ?」 「...
言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜 | 2023.11.29 Wed 21:01
JUGEMテーマ:ものがたり 子供たちは壁に沿って歩く。皆目隠しをしているのに、壁から一定の距離を保って整然と歩いている。壁に身体がぶつかることはなく、前を歩く子にぶつかることもない。見えない糸で操られているように、皆どこかぎこちない動きだけれど、列が乱れることはない。誰もがルールの裏側まで精密に理解しているから、こんなことが出来るのだろうか。配達人はその子供らの振る舞いをじっと観察し、しばらくそうした後に私にデバイスを差し出す。デバイスのモニタには細かな見知らぬ文字が、ぎっしり...
pale asymmetry | 2023.11.29 Wed 19:08
JUGEMテーマ:ものがたり 少女は小さな人形の手脚を千切る。自身の痛みを拡散するために。そういう行為が残酷であると彼女は思っていない。この世界にはもっと徹底的に残酷な事象が散乱していることを彼女は知っているから。ただ普通に暮らしているだけで、そういう事象に纏わり付かれることになり、振り払えば傷つくことになるから、纏わり付かれるままにしておくしかない。それを理不尽だと考えるならば、この世界では暮らしていけないことを彼女は理解しているから、彼女の手は人形の四肢を解体する。その美しい...
pale asymmetry | 2023.11.22 Wed 21:26
JUGEMテーマ:ものがたり 海辺の背の低い防潮堤の上に、僕と妹はランプを並べた。西の海面に、太陽が今まさに沈もうとしている。空気は濁っているから、その瞬間に緑に発火することはないだろうけれど、それでも僕はそれを期待してしまう。妹はそんなことには興味がないようで、淡々と等間隔にランプを並べている。ランプは全て妹の手作りだった。それは廃材で形作られていて、だから火を灯すことは出来ない。そもそもそういう構造になっていない。オイルを入れる場所も、点火するための芯もない。輝かないランプだ...
pale asymmetry | 2023.11.15 Wed 21:36
JUGEMテーマ:ものがたり まるで『かごめかごめ』のように、少年は人の輪に取り囲まれていた。全て少女だ。白銀色のドレスを纏った少女たちだった。その少女たちが少年を真円状に包囲して、踊っていた。激しく踊っても、その真円は崩れない。真円の軌道上を歩きながら、少女たちは踊り続ける。跳ねても走ってもその真円は崩れない。それは完璧な秩序で、だから可逆的な秩序だった。そしてそれを生み出しているのは少年に違いなかった。少年が、真円の中心から少女たちの一人一人に向けて見えない糸を繋いでいるのだ...
pale asymmetry | 2023.11.07 Tue 20:41
JUGEMテーマ:ものがたり 今年最初の冬の戦車が真夜中に通過するらしい。螺旋波天文学のニュースサイトがそう発表していた。それで僕と友達は真夜中近く、冷笑するような月が沈んだあとに街の図書館に出かけた。もちろん図書館は閉館していたけれど、非常階段から僕らはその建物の屋上に忍び込んだ。僕らが行ける最も高い場所がそこだったからだ。僕らは日頃からそういう場所を念入りにリサーチしていた。 「実は、冬の戦車を観るのは初めてなんだ」 屋上の中央で、バックパックからアッシュロイド式のスタ...
pale asymmetry | 2023.11.06 Mon 20:43
JUGEMテーマ:ものがたり ・「双子の聖女は運命を入れ替える」の第55回です。 他のページはコチラ→双子の聖女は運命を入れ替える1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/31/32/33/34/35/36/37/38/39/40/41/42/43/44/45/46/47/48/49/50/51/52/53/54/56/57/58/59/60/61/62/63/64/65/66/67/68/69/70/71/ その頃、会場の隅(すみ)でイーリスは、蒼白に...
言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜 | 2023.10.29 Sun 19:33
JUGEMテーマ:ものがたり 窓を開けると、ムーンソウルが流れ込んできた。青く煌めく液性の風。満月と半月と三日月の紋様が織り込まれた巨大な流れ。それが瞬く間に部屋を埋め尽くし、私の身体を軽くする。私は軽く床を蹴る。すんなりと身体は浮き上がり、天上で折り返してまた床に着地。そうだ月の重力は六分の一だった。そんなことを考えながら、何度も跳ね、何度も着地。だから月にはウサギが住んでいるのだろうなと、意味のあるようなないような思考を空回りさせる。 「どうして窓を開けたのかしら?」 ...
pale asymmetry | 2023.10.19 Thu 20:30
JUGEMテーマ:ものがたり 萌黄色の潜水艇が空に浮遊していた。高層ビルの狭間をのんびりと進んでいる。それは見ようによっては慎重に周囲を探りながら進行しているようにも思えたけれど、同時にただのほほんと漂っているようにも感じられた。背後の空はエメラルドグリーンで、だから時折潜水艇は空に溶け込みそうになったりした。宙を潜行しているのだな、と思ったりした。 空がエメラルドグローンなのは、海の向こうで戦争が始まったからだ。多くの血が流され、多くの生命が踏みにじられた結果、この都市の空...
pale asymmetry | 2023.10.17 Tue 21:37
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