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JUGEMテーマ:ものがたり 庭に面した窓のカーテンを開くと、隅っこで少女がしゃがんで花を見つめていた。こちらには背を向けているので、その表情は見えなかったけれど、生者ではないことは解った。その身体が半透明だったから。斜めに庭に差し込む朝の光が、少女の輪郭を擽るように揺らめかせている。纏っている淡い水色のワンピースが陽光に煌めいていて綺麗だった。私はそっと窓を開けて、縁側に腰を下ろした。花を愛でる少女の背中は、アート作品のような完成度でそこにあって、私はそれに魅せられていた。ひょ...
pale asymmetry | 2025.07.15 Tue 18:25
JUGEMテーマ:ものがたり 「どんなことだって起こりうるのが、世界なんだ」 そう言った次の瞬間、少年が私を蹴り上げた。胸辺りに重い痛みを感じながら、私は宙を舞った。 痛みに悶え宙を舞いながら、私は考える。きっとあの傷だと思った。踝を傷つけられた事が、私と猫の入れ替わりを起こしたのだと。それならあの少年の踝に傷を付けることができれば、私は人間に戻ることが出来るはず。二回三回と宙で回転し、私は砂浜に降り立った。猫だったから回転をコントロールすることができたし、着地も上手にでき...
pale asymmetry | 2025.07.07 Mon 19:19
JUGEMテーマ:ものがたり 真夏の早朝のこと。小さな漁港の脇の、小さな砂浜でのこと。白砂のビーチは漁港から伸びる防波堤に寄り添っていて、私はその防波堤に腰掛けて水面を見つめている。ビーチは西に面していて、まだあどけない陽光は背後にある。それでも真夏の空気は、十分な熱を孕んでいた。潮は満ちていて、それでも綺麗な凪を纏っているから、水面はやわらかく平坦だった。砂はすでに熱かったかもしれない。朝日に煌めいていたから。あるいは逆か。下半身に触れる防波堤は冷めていたから。何を眺めるでもな...
pale asymmetry | 2025.07.06 Sun 18:21
JUGEMテーマ:ものがたり もちろん全ては身勝手なイメージだ。その繭の内部では今まさに変態が進行していて、だから繭の内側に形という概念は存在しない。それが存在しない以上、振る舞いも存在しない。振る舞いが存在しないのならば時間も存在できないのだけれど、この辺りは後日の話。しかしながら変態は進行していて、であればそこに時間がなければいけないわけで、特殊な加工がひつようなのだろうけれど、それもまた後日の話。何にしても変態が進行しているのだから、何者も繭の内部には存在せず、何者でもない...
pale asymmetry | 2025.06.30 Mon 19:06
JUGEMテーマ:ものがたり 西の王国と極東の皇国を結ぶ大陸横断鉄軌道は、通称マグロウと呼ばれている。正式な名称はマグニフィカで始まるラテン語の長大なものだったから、誰もその正式名称で呼ぶことはなかった。おそらく創業以来誰にも正式名称で呼ばれたことはないのではないだろうか。この鉄軌道を動かしている乗務員でさえ、正式名称をとっくに忘れているというのが、まことしやかな都市伝説として流布されているくらいだった。マグロウの特徴は三つあると言われている。一つ目は、時刻表がない。この鉄軌道は...
pale asymmetry | 2025.06.23 Mon 17:47
JUGEMテーマ:ものがたり 兎角の語源は『兎角亀毛』という仏教用語なのだそうで、その意味は『この世界に存在するはずのないもの』なのだそうです。額の真ん中辺りに一角を有する兎はまさに存在するはずのないものという記号を具現化した存在ということです。その兎は透明な存在だったはずだけれど、いつの間にか色を纏っているのです。それは白銀色。つまりそれは月光の色彩で、しかも奔放に踊る月光の色彩ということになるのです。その舞踊に祈りは織り込まれていない。つまりつい本体の枷からは逃れているという...
pale asymmetry | 2025.06.07 Sat 18:16
JUGEMテーマ:ものがたり 一見して、それは曼荼羅アートにしか見えない。漆黒の天井に金色の線で描かれた記号の重なり。その一つ一つは単純な円と六角形と八角形と波打つ円形。大小幾つものそれらが重なると、なぜか精密機械のように思えて、動いていないはずの図形が、エネルギーを生産しているように思えてしまうのだった。それなら曼荼羅ではなく生命体のように見えてもおかしくないはずだけれど、そうではなくて、むしろ生命体の設計図のようにも見える。さらにその生命体は、というか全ての生命が世界と精密に...
pale asymmetry | 2025.05.27 Tue 19:34
JUGEMテーマ:ものがたり 生命が燃え上がることによって生まれたのであれば、その活動が過剰になったとき、炎を宿したことによって生命となったはずなのに、その炎そのものが生命を飲み込んでしまうことは十分にあり得ることだろうと思われる。つまり炎の方が生命を宿してしまうのだ。そのとき生命は自由を得たと言えるのだろうか。それとも炎の方が自由を得たと言えるのだろうか。たとえば前者は、形を捨てたが故に、縦横無尽の可能性を手にしたことになるような気がする。たとえば後者は、閉じ込められていた固有...
pale asymmetry | 2025.05.26 Mon 18:32
JUGEMテーマ:ものがたり 陽光が弾けた六角形と月光が弾けた八角形。頂点の数はもちろん八角形の方が多いが、より完成されているのは陽光の弾けた六角形の方だ。それは確かなこと。月光が弾けた八角形は過剰で、行きすぎてしまっているということ。だから陽光を眩しいと感じることはあっても、月光にそう感じることはない。陽光を纏う事象を眩いと感じることはあるけれど、月光が織り込まれた事象にそれを感じることもない。そもそも陽光は纏わせることは出来ても織り込むことは出来ないだろう。月光なら纏わせるこ...
pale asymmetry | 2025.05.13 Tue 18:33
JUGEMテーマ:ものがたり ・「双子の聖女は運命を入れ替える」の第120回です。 PC不調のため、相変わらずスマホ投稿です。レイアウトの不具合などはPC復活後に修正予定です。 他のページはコチラ→双子の聖女は運命を入れ替える1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/31/32/33/34/35/36/37/38/39/40/41/42/43/44/45/46/47/48/49/50/51/52/53/54/55/56/57/58/59/60/61/62/6...
言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜 | 2025.05.11 Sun 20:50
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