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「小説」はなんとなく堅苦しい。
もっと気軽に、じゆうな感性で楽しんでほしい。
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双子の聖女は運命を入れ替える(プロトタイプ版)42

JUGEMテーマ:ものがたり      ・「双子の聖女は運命を入れ替える」の第42回です。   他のページはコチラ→双子の聖女は運命を入れ替える1/2/3/4/5/6/7/8/9/10/11/12/13/14/15/16/17/18/19/20/21/22/23/24/25/26/27/28/29/30/31/32/33/34/35/36/37/38/39/40/41/43/44/  45/46/47/48/49/50/51/52/53/54/55/56/57/58/59/60/61/62/63/64/65/66/67/68/69/70/71/     入れ替わりの決行は、ローレンツ王子の里帰...

言ノ葉スクラップ・ブッキング〜シーン&シチュ妄想してみた。〜 | 2023.07.16 Sun 13:38

累累

JUGEMテーマ:ものがたり    私はその少年の目に薬を落とした。そして少年は盲いた。もう、彼に視力は必要なかったからだ。身の回りの世話は全て、剃髪された青年たちが行う。着替えも食事も入浴も、歩行さえも彼がする必要はなかった。少年が行うことは、彼を訪ねてくる人の手を取ることだけだった。そして「違う」、あるいは「そうだ」と声を発することだけだった。  朝から夕刻まで少年は黄金の神座に半ば横たわり、その行為を繰り返すだけだ。その意味を知らないままに。日が沈むと宴が始まる。剃髪の青年たち...

pale asymmetry | 2023.07.09 Sun 21:34

Capricorn full moon

JUGEMテーマ:ものがたり    ひんやりとした空気が頬を撫でる。その感覚で僕は目を覚ました。いつの間にかカーテンが引き開かれていて、部屋は黄金の光で満ちていた。 「こんな夜に眠っているなんて、あなたは馬鹿なのね」  見知った女の子が僕を覗き込んでいた。その子が口をとがらせ僕に息を吹きかける。ひんやりと尖った小さな風が、僕の頬を撫でた。 「今夜は、空に昇らなければいけない夜なのよ」  女の子はどこか残忍に笑い。ベッドの脇の窓を開ける。流れ込んできた空気はとても澄んでいた。恐ろ...

pale asymmetry | 2023.07.03 Mon 19:15

黒い狼と青い甲虫

JUGEMテーマ:ものがたり    黒い夜だった。暗い夜ではない。明かりはそこら中に満ちていたけれど、その曖昧な輪郭の外側は、真っ黒だった。そんな夜だったのだ。私は明かりの下にいたけれど、私の心はその外側にあったかもしれない。そう言う時間を持て余していた。  激しく連打されるチャイムにアパートの扉を開けると、友人が立っていた。その傍らには大きなトランクケース。そして左肩に脚立を担いでいる。真っ直ぐに私を見つめて、友人は微かに笑った。ように見えた。 「狼に追われているの」  そうい...

pale asymmetry | 2023.06.23 Fri 21:04

drowning flower

JUGEMテーマ:ものがたり    強い雨に濡れながら、小さな大樹が佇んでいる。小さいのに大樹とは矛盾しているけれど、確かに私の目の前にそれがあるのだから仕方がない。私の膝下くらいまでしかない背丈。でもそれは大樹なのだ。そういうオーラを発していると言えば良いだろうか。今は小さいけれどこれから大樹に成長しそうだと感じたわけではない。今すでに、それは小さな大樹なのだ。  小さな大樹の根元には小さな洞があった。思わずそこで雨宿りしたくなるような洞。もちろん私が入るには小さすぎるけれど、そう...

pale asymmetry | 2023.06.13 Tue 21:17

Horn and Blood

JUGEMテーマ:ものがたり    目覚めると、何だか身体が熱っぽかった。午後の遅くのこと。休日にぐうたらして中途半端に眠り続けたせいだろうか。それにエアーコンディショナーの設定温度を下げすぎたせいかもしれない。体温計を探してみたけれど目につくところになかったので、取り敢えず顔を洗おうと浴室の洗面台に行く。そして、角に気づく。  鏡に映った自分のおでこに角が一本生えていたのだ。漆黒の角だった。先端の尖りに向かってゆるやかにカーブする角だった。触ってみると金属質な冷たさを感じた。これが...

pale asymmetry | 2023.06.03 Sat 20:20

black old beast

JUGEMテーマ:ものがたり    長老から紙切れを渡されたとき、彼は少なからず奇妙な心持ちになった。こんな紙切れがなければ闘うことが出来ないなんて、世界はきっと歪んでしまっているのだと思えたのだった。 「護符だと思えば良い」  長老はそう言って笑ったけれど、その笑顔もどこか歪んでいるように彼には思えた。護符であるはずなどない。むしろ枷ではないか。彼にはそう思えたのだった。その紙切れには許可証と書かれていて、彼の戦いが政府の許可のもとに行われることを保証していたのだけれど、目の前の...

pale asymmetry | 2023.05.22 Mon 18:48

chaos on the edge

JUGEMテーマ:ものがたり    惑星間隙チケットが手に入らなかったので、僕と相棒はステーションで途方に暮れていた。いや、正確には途方に暮れていたのは僕の方だけだったかもしれない。相棒の方はコントラクションサワーを飲みながら、オルタナティブスタンディングで精神をぐるぐる巻きにしていたから。 「※※※△△」  綺麗なパッションピンクのヒューマノイドが話しかけてきたけれど、見知らぬ言葉で答えようがない。それでもしつこく話しかけてきたので、適当に頷いたり首を振ったりしていると、何故か最新式...

pale asymmetry | 2023.05.07 Sun 20:50

Voices beyond boundaries

JUGEMテーマ:ものがたり   「君までの距離は、何メートルだろう?」  彼の穏やかな声。少し笑っているような感じで聞こえてくる。どこか悪戯を企んでいるようだ。 「何メートル? 何キロメートルでしょう?」  私がそう言うと、回線の向こう側で彼が擽ったそうに笑う。 「メートルであることが重要なんだよ。それに付随するものはどうだって良いんだ」 「どういう意味?」 「君と僕が距離を共有できることが大事なんだということだよ。君にとっての僕までの距離が伸び縮みしないように」 「あ...

pale asymmetry | 2023.04.11 Tue 19:28

closed eyes

JUGEMテーマ:ものがたり    巨人は軽く膝を抱えて腰を下ろしていた。広いビーチの波打ち際。海は鏡のように凪いでいて、だからその波打ち際の境界はやわらかく巨人に促しているようだった。世界は安定していて、どちらの方向にも傾いていないと。ビーチの砂は純白より白く、その本性を隠している。巨人に知られたくないのか、私に知られたくないのか、あるいは世界そのものに知られたくないのか。  風はない。風の粒子は沈んでいる。少しだけヒンヤリとした空気を感じることが出来たけれど、風が無ければそれは曖...

pale asymmetry | 2023.04.09 Sun 20:27

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