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「小説」はなんとなく堅苦しい。
もっと気軽に、じゆうな感性で楽しんでほしい。
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コバルト曜期と蛾車

JUGEMテーマ:ものがたり    ステーションの巨大な壁時計が、控えめな鐘の音を響かせた。きっと世界の裏側から摘まんできたのだろう。そう思えるような響きだった。それと同時に、壁時計の一部が開き、燕尾服と山高帽姿の、蛙頭の紳士が現れて宣言する。 「ステーションは六十三時丁度となりました。ただいまよりコバルト曜期に浸り始めました」  それを聞いた者たちが、一斉に拍手し出す。ベンチシートに腰掛けていた者は皆立ち上がって。私だけが取り残されてしまって、座ったままどうしたものかと思案してい...

pale asymmetry | 2026.10.08 Thu 16:11

あり得る蝕、あり得ない蝕

JUGEMテーマ:ものがたり    蝕がそこにあるというのならば、蝕まれる事象がそこになければいけない。それはゆるやかに侵されていき、纏うべきものを失い、新たに過剰な装飾を得ることになる。それが得るべき装飾なのか、得るべきではない装飾なのかを判断することは難しい。その蝕があり得る蝕なのか、あり得ない蝕なのかを判断することが難しいからだ。私たちはいつだって無い物ねだりをしてしまう生命体だから、全てをあり得る蝕にカテゴライズしたくなってしまう。どうしてもそうしたくなる気持ちを抑えることは出...

pale asymmetry | 2026.10.03 Sat 16:48

人形たちは何を冠するか

JUGEMテーマ:ものがたり    波打ち際をバスが歩いている。その路線バスは確かに歩いている。タイヤの代わりに四本の脚が生え出ていて、その足を砂にめり込ませながら進んでいた。その脚は馬脚だった。金茶色の毛を纏った馬脚だった。足先がときどき波に濡れる。でも波に掠われることはない。だから馬脚のバスは境界を跨いで歩いている。時刻は夕暮れ時で、そろそろ夜の裾が砂浜にしなだれかかろうとしている。空気の色が知性に彩られ始めているから、「たそかれ?」と口にしたくなるような時刻だった。  馬脚のバ...

pale asymmetry | 2026.10.01 Thu 17:33

あわいのみちゆき

JUGEMテーマ:ものがたり    古びたバスの車内だった。車内のあちらこちらに錆が目立った。けれどシートだけが真新しく見えて、座り心地も良さそうだった。実際に腰を下ろしてみる。程良い硬さで確かに心地良かった。窓外の空気の色は、夕間暮れのそれだった。粗い粒子で構成された風景は橙と青碧がしなやかに組み合うような色彩だった。古びたバスのエンジン音は、かなりがなり立てていたけれど、それ以上に波の音が車外から響いてきた。見るとバスは波打ち際を走っていた。車体の下部がときどき水面下に没するくらい...

pale asymmetry | 2026.08.29 Sat 20:41

液中に実る

JUGEMテーマ:ものがたり    眠気を堪えて幻を見る。それは液中の幻。そこにある巨大樹の幻。そこに実るのは魚のはずだった。けれど今は蝶が実っている。それは間違っている。蝶は記憶に過ぎない。そこには螺旋の残像があるかも知れないけれど、螺旋そのものではない。すると果実は熟す前に腐り落ちてしまうだろう。螺旋を手に入れなければ。それは流星雨に紛れて飛来しないだろうか。そんなに都合良く行くはずがない。それでも信じていれば、そこに活路があるかもしれない。そうだ、私たちは並列している。だからこの...

pale asymmetry | 2026.08.20 Thu 18:35

二極と四文字の狭間

JUGEMテーマ:ものがたり    世界は陰陽の二極から形成されている。そう告げるのは大きな存在でなければいけない。ただし大きな存在だからといって、叡智を有しているとも、全能であるとも限らない。つまり二極の形成も、それは絶対的な事象ではないということなのだろう。それでも大きな存在の告げ口である以上、私たちにはそれを拒絶することは出来ない。私たちはその事象を無条件で受け入れ、二つという数字を記憶に、記憶の中心にまず刻まなければいけない。それが世界の基底となる数字なのだから。二つという数字...

pale asymmetry | 2026.08.08 Sat 11:02

核と枠と彼方

JUGEMテーマ:ものがたり    漠然としたイメージを漠然としたままで進んできた。これを演劇が終わるまでそのままにしておくことも出来る。漠然としたイメージは漠然としたままの方が安定させやすいものだから。ただ漠然と言っても、身勝手な漠然さでは何を表しているのかが解らなくなってしまう。それでは何も表していないのと同じだ。それはつまり私自身がその漠然を把握していないからだ。その漠然がどのように機能するのか、どのように振る舞うのかを私自身は正確に、精密に把握していなければいけない。漠然とした...

pale asymmetry | 2026.08.02 Sun 14:42

明瞭で破綻している繋がり

JUGEMテーマ:ものがたり    その繋がりは明瞭で、けれどしっかりと破綻している。その最初の最初から、実は皆が思い描いているものとは全く違う繋がりの上を進んでいるのだ。とくに魔女は大きく勘違いしていて、自分こそがしくじった事象はそのままに、上手く翻った事象を手繰り寄せて、しかるべき分岐点で巧みに繋ぎ直したのだと理解している。しかし本当のところはそうではない。かなり初期の段階から、魔女だって操られているのだ。では何者がその繋がりを支配しているのか。それは解らない。少女ではない。少年で...

pale asymmetry | 2026.07.30 Thu 11:28

睡と奏の八重の因縁的イメージ

JUGEMテーマ:ものがたり    誤りが、ことを複雑にしてしまう。本来ならば起こらなかったことを起こしてしまう。それが睡と奏の因縁を八重に重ねるように、ややこしく猥雑にしてしまった。彼は何を見誤ったのか? 一つずつ確認する必要がある。その前に、まず大前提としてこの宇宙に満ちているエネルギーのほぼ全てはどのようなものなのかが判明していないということ、従ってそのエネルギーを確定することは出来ず、その性質に基づいて摂理を受け入れることも出来ないということ。だから彼が見誤ったとしても、それは...

pale asymmetry | 2026.07.27 Mon 19:51

ぼんぼりを食む

JUGEMテーマ:ものがたり    小学生の頃、毎年夏休みになるとすぐに祖父母の家に遊びに出かけていた。今から考えると両親が共に働いていたので、預けられていたのだろうけれど、当時の私はただただ楽しかった。自然豊かな環境にある祖父母の家は、絵に描いたような田園風景に囲まれていて、毎日が冒険気分で過ごせたのだった。不可思議なこともたくさん経験した。もちろん子供だから知識に乏しくそう感じてしまったということもたくさんあったけれど、大人になった今でもよく解らないこともある。その一つが「ぼんぼり...

pale asymmetry | 2026.07.26 Sun 10:55

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