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JUGEMテーマ:ショート・ショート 小さな白いテーブルの上には、あの人が私のために用意してくれたブランチがある。四角いテーブルの真ん中に、楕円形の器が置かれていて、そこに盛り付けられている。テーブルは窓辺にあって、今日は強い日差しだから、その器はキラキラ光っている。それが器の中身をハレーションに包み込んでいて、私は戸惑ってしまう。私は漂い、そのテーブルに近づく。器の中身は色とりどりの花だった。あの人は、私がこんな様なものを好むのだと思っているのだろう。あるいは、そんな風に記憶し...
pale asymmetry | 2025.07.14 Mon 18:21
JUGEMテーマ:ショート・ショート 大渋滞の国道から逸れて、僕らは堤防沿いの道でバイクを止めた。僕らの背丈と同じくらいの防波堤によじ登り、寝転がる。真上からの陽光は鋭く豪胆だったけれど、空の端から灰色の雲塊がゆっくりと迫っているのが見える。たぶんもうすぐ雨が降るのだ。それが解ったから、僕らはここに来たのだった。国道で雨に降られたくなかったのだ。渋滞の車の狭間を雨に濡れながら擦り抜けるのは格好悪いと思えたから。どうせなら思いっきりびしょ濡れになりたかったから、いつ来ても人影がまば...
pale asymmetry | 2025.07.05 Sat 18:09
JUGEMテーマ:ショート・ショート 時間には未来も過去もないのだという。つまり未来も過去も同じなのだという。それなら来世も前世も同じだということになるのだろうか。あるいは私の浅い理解では、ただ勘違いしているだけだろうか。しかし時間の経過を感じることはできるのだそうだ。それは熱だ。熱が冷めていく、高温から低温へと移っていく、つまりエントロピーが増大していく。これが時間の経過なのだという。ではいつまでも冷めない熱を抱き続ければ、私は時を超越できたりするのだろうか。それは誤った絵空事...
pale asymmetry | 2025.07.01 Tue 17:55
JUGEMテーマ:ショート・ショート 遠い大陸にいるあの人は、美しい夜景を眺めているのだそうだ。私は少しばかり浮かれていて、軽く跳ね回りたい気分だけれど、でも今日がラストシーンというわけではないから、ささやかな装飾を空想するに留めておく。日々は忙しなく過ぎていくけれど、何だか私の体内には何も残ってはくれないような気がして、それが良いことなのか悪しきことなのかもよく解らないから、取り敢えず摺り足で進むしかない。だから跳ね飛びたい気持ちは抑えて、次のでんぐり返りへと繋がるアイデアを夢...
pale asymmetry | 2025.06.27 Fri 18:44
JUGEMテーマ:ショート・ショート 君が指定した時刻の五分前を僕は提案した。もちろんその五分間には何の意味もない。意味ありげな顔で言ってみたけれど、多分君も気づいていただろう。それでも君は荷物をトランクに詰め込んで、「オーケー」と言って笑う。それは本当に無造作に詰め込んだ感じで、トランクは今にも破裂しそうだ。五分後に大爆発を起こして世界を消滅させてしまうかもしれない。そしてその五分後にまた新しい世界が回転を始めるんだ。僕らはそれに気づかずに、いくつかの些細な違和感を抱えたまま、...
pale asymmetry | 2025.06.18 Wed 18:43
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「白い貴婦人は清涼な甘い香りを連れてくるのよ」 彼女が真っ直ぐに降る雨を見つめながら言う。透明なはずなのに、その雨は七色を弾くように降っている。空気は初夏の午後のまま。このまま雨が上がっても、うだる熱気はそのままだろうと思えた。 「清涼なのに、どこか刺激的な香りなのよ」 彼女の口調が、何かを企むように潜めたものになる。多分何も企んではいない、そう思わせたいだけなのだ。 「貴婦人の綺麗な顔立ちは、美しいのになぜか化け物めいているの」 ...
pale asymmetry | 2025.06.12 Thu 17:53
JUGEMテーマ:ショート・ショート 「きっと真夏は本性を見せてくれないのよ」 彼女はどこか愉しそうに言いながら空を仰ぐ。風は強い南西風。本来は湿っているはずなのに、風速が早すぎて湿度が拡散されている。その風が彼女の髪を掻き回している。掠われそうになるキャップを押さえながら、僕は彼女の声に耳を傾ける。 「だから、何もかも銀色で塗りつぶそうとするの」 半ば叫ぶように言い、彼女は堤防の上で伸び上がる。目の前の水面は激しくささくれ立っていて、陽光がそれを引っ掻くからキラキラの傷...
pale asymmetry | 2025.06.08 Sun 14:53
JUGEMテーマ:ショート・ショート 猫と眠る。夢を見ずに眠る。そういうものが邪魔に感じるくらい、深く眠りに沈みたかったのだ。きっと猫もそう思っている。私の胸元で、行儀良く丸まって目を閉じたから。けれど目が覚めたら、猫は胸元にいなかった。背中に温かさを感じて目をやる。猫は私の背中に自身の背中をくっつけて眠っている。四肢を思いっきり投げ出して、尻尾はやわらかい曲線を纏っている。じっと見つめていると、猫が目を開く。 「ごめん、僕は夢を見たかったんだ」 そっと伸ばした私の手の甲を...
pale asymmetry | 2025.06.03 Tue 18:08
JUGEMテーマ:ショート・ショート 水の張られていないプールサイドに、私たちは腰掛けていた。プールの中に足を投げ出して揺らしながら、あるはずのない水を掻き混ぜていた。それはきっと美しい水で、だから私たちの足先も美しく変化しているはずだと思えた。でも私たちの足先はひどく穢れていたので、それが完全に美しいものになるには、永遠に近い時間が必要なようにも思われた。ここは十数年前に廃校になっているから誰もいない。深夜なら肝試しに来る者もいたけれど、こんな陽光の鋭すぎる正午あたりにやって来...
pale asymmetry | 2025.05.31 Sat 17:31
JUGEMテーマ:ショート・ショート そう言えば、傘を開いていない。私はそのことに気づいて立ち止まる。両手を見て、どちらの手にも傘が握られていないことを確認する。つまり何処かに傘を忘れてきてしまったということだろうか。よく考えを巡らせてみる。家を出るときには傘を手にしていただろうか。それもよく憶えていない。傘を持ってでかけなければ。そう考えたことは憶えている。けれどその後玄関で傘を手にしたかどうかは、定かではない。というのも、出かけるときには雨は降っていなかったのだ。玄関の扉に鍵...
pale asymmetry | 2025.05.28 Wed 18:03
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