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波の回廊 47

    金村と別れたあと、信子はなぜか釈然としない気持ちで帰り道を歩いていた。 金村はカネの無心で佑子を利用した。会っても、昔を懐かしむ気持ちなどこれっぽっちもないようだった。佑子のことを特別気にかけてくれたわけでもない。 あれは自分の知っている金村ではない。金村はもっと男らしく、力強い男であったはずだ。それが、おカネを口にした瞬間、青菜に塩の如くショボイ男になりさがった。 だが、そうはいっても自分にてらしてみれば金村の心の動きは理解できる。やはりおカネというものは怪物で、...

 at dawn | 2018.03.12 Mon 09:47

波の回廊 46

    「昔のことだし、人のことだといわれればそれっきりだが、あのときは、あまりの変わりようだった。宝くじでも当たったんじゃねえかと思うほどだ」 信子は、宝くじという言葉に一瞬驚いたが、金村がそのことを知っているはずはない。 「それにだ。しばらくして仕事で新潟に行ったとき、おまえの店へ寄ったが、売ったっていうじゃねえか。誰に訊いても行き先を知らねえ」 「ちょっと待ってよ。佑子の話に戻してくんない?」 なんのために金村に会ったのか。話の主導権が金村に移っている。 「まだ終...

 at dawn | 2018.03.11 Sun 09:23

詩『うぶ湯:Given The First Bath』

おぼろげなひかりが次第にかたちをなしていく あわい微妙な色彩にいろどられたいくつもの矩形 まだすわらない頸がみつめるのはそんな光景なのだろう なぜここにいるのかもわからぬ なぜいまなのかもわからぬ しかも、おのれというもの自体がわからぬ だからさけぶのだ ひとはかつてのおのれとてらしあわせて さもそれが自身のことであるかのようにかたる 悦びも 哀しみも そして嘆く 嗚呼 そんな重圧などしらぬ わたしはわたしでていっぱいなのだ

with a kiss, passing the key | 2018.03.11 Sun 00:00

波の回廊 45

    年があけた。 正月三日、信子は品川のホテルで金村と会った。 そのホテルはランチバイキングが人気で、その日も正月であるにもかかわらずレストランの前には長い列ができていた。 「お正月だというのに、家にいなくていいのかしらね」 「今は、正月もなにもねえよ。年がら年中店はあいてるし、おせちだって作らねえ家が増えてきてるっていうじゃねえか」 「並ぶ?」 「いや、ほかへ行こう」 ふたりは外へ出たが、互いに行く当てはない。そばのファミリーレストランに入ったが、そこも混んで...

 at dawn | 2018.03.10 Sat 11:09

波の回廊 43

    「佑子ちゃん、その人に会ったんだね?」 「うん」 「いつ?」 「ボイストレーニングの前の日」 ということは、その翌日に境川権蔵が佑子を待ち伏せて、さらわれた云々(うんぬん)をいったことになる。 「なんで黙ってたの?」 「いえば、おばあちゃん心配するから……」 佑子の顔が曇った。 金村は作業服を着ていたらしく、ポケットから名刺を出して佑子に渡したという。 「その名刺、見せて!」 信子がいうと、佑子は急いで部屋から持ってきた。 名刺には、左官職...

 at dawn | 2018.03.08 Thu 11:04

波の回廊 42

    アメリカに行った幸一はサンノゼという町にいるようだ。 サンフランシスコ国際空港からフリーウェイを南に下り、四十分くらいで着くという。アパートに住んでいるが、日本のそれとは比べ物にならないほど立派で、大学までは車で二十分。中古の日本車で通っていると手紙に書いてあった。 「おとうさんと、話したいなあ」 「いま?」 「うん」 さて、と信子は困ってしまった。 幸一から二度手紙をもらったが、どれにも電話番号は書いてない。何かあったらどうするつもりなのかと腹が立つが、親...

 at dawn | 2018.03.07 Wed 10:07

波の回廊 41

    翌朝、信子はさっそく境川という男に電話した。 今年も残すところあと一日だ。嫌な気分で正月を迎えるなど、まっぴらごめんである。 「いい加減なことをいうのはやめてください。根も葉もないことをいわれて、あの子は相当ショックを受けています。どういうつもりですか?  北海道からわざわざいらしても、あなたのネタになるようなことは何もありませんから!」 開口一番、信子は相手に食ってかかった。 「根も葉もないことって、お母さん」 「お母さんじゃありません、失礼な! あの子は...

 at dawn | 2018.03.06 Tue 09:05

波の回廊 40

    「お連れのお嬢さんは、高橋佑子さんですね」 男の第一声だった。  マネージャーの松島は返答を避けたが、男はそれを肯定の意味に取ったようで、 「そのお子さんは、前に誘拐されたお子さんかもしれないのですが、そのことはご存知ですか?」と訊いた。 松島は驚いて、急いで佑子を後ろに隠した。 男は胸ポケットから写真をだして松島に見せたが、それは暗い公園のような場所で若い男が赤ん坊を抱いている写真だった。 男は、佑子と二人だけで話をさせてくれといったが、松島は断った。 ...

 at dawn | 2018.03.05 Mon 07:39

詩『スマホ: A Cell』

視界のむこうにそれはある はくぎんいろの四辺形だ ひずんでみえるのはそれ自身のせいじゃない みつめるわたし自身がゆがんでいるからだ けぎらうふりをしてみせるのは正鵠をいようとしてばかりいるからだ さもなければ、正論しかかたろうとしていないから でもそれはそれ自身のせいでもない だからといってわたしがねじけているともいいたくない かつてはわたしがかたりたいだけかたる それだけだった わたしのみたいもの わたしのききたいもの わたしがせっしていたいもの それだけに掌がとどく そしてそれで充分なの...

with a kiss, passing the key | 2018.03.04 Sun 00:01

波の回廊 38

   (今日は少し長いです。原稿用紙で五枚分です)   信子がその金額に羨望の声をあげると、 「失礼ですが、その程度で驚かれるのでは、話になりません。 佑子さんはダイヤモンドの原石です。磨けば、うちのプロダクション始まって以来の稼ぎ頭になるでしょう。佑子さんは、わたくしどもにとっては金の鉱脈のようなものです」 社長は歯の浮くようなことをいうが、結局は自分をダシにして佑子を取り込むつもりなのだと信子は思った。 「ちょっといいでしょうか」 校長が口をはさんだ。 「わた...

 at dawn | 2018.03.03 Sat 12:46

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