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JUGEMテーマ:小説/詩 レイヴンはその後、チンパンジーの群れに声をかける機会を見つけられないまま、彼らが群れの仲間の一頭の元へ向かい、その対象に対し金切声を挙げながらよってたかって叩いたり引っ掻いたり噛みついたりし始めるのを傍で眺めることしかできなかった。「レイヴン」キオスが叫ぶ。「大変だよ。やめさせなきゃ」 「あいつらの言う『さばく』って、こういうことなのか」コスも戦慄を覚えたように茫然と呟く。 レイヴンは二人の声のおかげではっと我に返ることができたが、...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2024.05.24 Fri 22:48
JUGEMテーマ:小説/詩 オリュクスは素早い。疾風のように素早く、水のように無駄のない動きで流れるように走る。 彼はとにかく元気で、いつもご機嫌で、とにかく自分の体を動かすのが好きな動物だ。自分の体が動くということが、嬉しくて楽しくて仕方がないという雰囲気を醸し出しながら生きている。今もきっとそうだ。 「チーター?」レイヴンはふとそう思った。 何がチーターなのかというと、オリュクスが今一緒にいる──そんな恐ろしい話を避けるならば、わりかし近くにいる生き物、...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2024.05.18 Sat 06:02
JUGEMテーマ:小説/詩 ”なにを思うか”を共有するその目は、 私と同じ方角に向かって風を見ている 伝説の龍の赤い目は 私と同じ「憤怒」の目 いつも燃えている 「怒り」「悲しみ」らのシンパシーを越えて 感情のいらない強い力で 私達は空を切って目を向ける ”まるで、刃のようだ。” 赤く燃える剣(つるぎ)のようだ。 「足元に湧く泉を穢(けが)す泥...
Jupiter〜夢を失わずに〜 | 2024.05.13 Mon 12:45
JUGEMテーマ:小説/詩 「なんか聞こえる?」 「なんか言ってるわ」 「どこ?」 「どいて」 「ちょっと尻尾引っ張らないで」 「やめて」 「どいて」 ハダカデバネズミたちは何やらもめている様子だった。 「あの、ここです」レイヴンは辛抱強く声を張り上げつづけた。「あなた方に危害は加えません。どうか穏便に、話を聞いてください」 「なんか言ってるわ」 「どいて」 「尻尾引っ張らないで」 「なに?」 「どこ?」 「あの、あなた方より少し大きくて...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2024.05.10 Fri 21:58
JUGEMテーマ:小説/詩 リーダーのゾウは立派な牙を備える巨大な体躯の持ち主だった。その前足を持ち上げ、キオスの上に下ろされるだけで、この小さな動物はぺしゃんこになるだろう──杞憂にすぎないとわかってはいるが。 「あら、どうしたの? 眠れないの?」リーダーは、とても穏やかな表情と口ぶりでキオスに話しかけてきた。 「あの、リーダー……ぼく、元いた星からお迎えが来たので、帰ります」 「まあ」リーダーは目を丸く見開いた。「そうなのね……でもよ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2024.05.04 Sat 08:47
「私は物語を集めているんです」 5000字程度書いた。魅力的な会話が書けなくて泣ける。会話とは……人間とは……小説とは……? 物語は佳境だが、「これって面白いのか?」期に突入しており、さらに登場人物たちがやりたい放題、当初のプロットを破壊し始めた。「えっ、お前、そうだったの?」とか「いやそんなん先に言ってくれんと、前半部分書き直しじゃん」とかぶつぶつ言いながら書いてる。作者とは? 今更だけど、私は話を繋げたがる癖があるなと気づいた。 小説の書き方的な本をちまちま読んでいるが正直よくわからない...
水平線上の雨 | 2024.05.01 Wed 21:23
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