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JUGEMテーマ:小説/詩 「なあ」ふいに、隣で足早に進んでいるボブキャットが声をかけてきた。 「うん、はい」モサヒーは返事をする。 「あの、レイヴンっていう奴が捜してる動物ってさ」ボブキャットは小走りに進みながら空を見上げてそう話した。 上空には鳥や虫が飛んでいる。食いつけそうな位置にそれらが下りて来る好機をうかがいつつ小走りに進んでいるのだ。 器用な動物だ。 「うん、よく知っていますね」モサヒーは慎重に言葉を選ぶことにした。 「ああ……...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2025.05.31 Sat 12:35
出雲大社に詣でる旅の途中、お気に入りのTシャツをどこかに忘れてしまった。帰りの空港に向かう途上でその事に気付き、駄目元でホテルに電話をかけたら部屋にあったのを保管してくれたそうで、ありがたいことに自宅へ郵送までしていただいた。連れがハワイで同じ目に遭った時は、それが世界標準だろうがフロントは非常に面倒くさがり、形だけ探してはくれたものの、物を失くすのは自己責任だからさっさと諦めろという態度であった。仰る通りなくす方が悪い。 だのに、日本のサービスは客の尻拭いまで行き届いており、有難いを通り...
記4 | 2025.05.28 Wed 01:59
JUGEMテーマ:小説/詩 「あれは誰だ〜い?」 それは、呼びかけというよりも──明らかに『歌』だった。 「あそこにいる〜、あの大きな動物は〜」 高らかに朗らかに、歌声が響く。 「熊かな? それともゴリラ?」 少なくともゴリラではなかろう。モサヒーはそう思った。棲息地域がまったく違う。 「ノーノーノー!」歌声の方もそれを否定する歌詞が続いた。 じゃあこの、今歌っているご機嫌な動物は一体? 「それはクズリー!」音量が最大となる。「クズリ、イエス、...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2025.05.23 Fri 16:28
個人経営のビストロで連れと二人、夕食を食べている。何故か学生四人組の飲み会と相席になり、彼らが代わる代わるトイレに立つので店主はコース料理を出しそびれている。わたしと連れは早々とデザートに差し掛かり、メニューを見せてもらうも全て何かしらのゲーム著作権を侵害していて慄然とする。ベースはワッフル、スフレパンケーキ、アイス等々シンプルなものだが、上にどう見ても任天堂のキャラクタが乗っており、店主は悪びれず、あのゲームのこのキャラが好きなどと事細かに説明してくれる。わたし達は気まずさに耐えかね、隙...
記4 | 2025.05.19 Mon 20:23
JUGEMテーマ:小説/詩 ぎゃお──んん 遠吠えが聞こえた。 ボブキャットはびくりと身を竦ませたが、すぐに舌打ちして前進を再開した。「ごみ漁り屋か」と呟きつつ。 モサヒーの方はただちに生体信号を検索し、それがコヨーテの遠吠えであることを認知した。双葉──ギルドが狙う対象ではない。だがこの種族も広範囲に分散し棲息しているものたちだ。何か情報を掴んでいるかも知れない。 声の聞こえた方へと浮揚推進していく。 「まじか」ボブキャットは顔をしかめた。ご...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2025.05.17 Sat 13:29
野球の国際試合を皆で観戦するため、深夜の高校に集まった。授業ではないのでそれぞれ好きな席に座り、プロジェクタの準備も終わったが、まだ半時間ほど余裕があるということで、先生の持って来た流行りっぽいショートムービを流す。 日常風景の隙間隙間に半ばモザイクのかかった二次元少女が現れると、彼女の周りで衝突が起きたり起きなかったりし、そんなシーンがカットアップで繋がって行く。背後には抒情系のポストロックがメドレーで流れ、物言いたげな雰囲気を醸し出す。一時期流行った空気系のムービーだが音楽も映像もや...
記4 | 2025.05.14 Wed 23:32
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