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JUGEMテーマ:小説/詩 「レイヴン、レイヴン」オリュクスは──この動物はまったく不思議なくらいに疲れるということを知らない生き物のように思えてならなかった。 いや、そんなことはない。オリュクスだって疲れて眠りたい時は当然にある。 ただ、今はそれを必要としていないというだけだ。そう、彼が今必要としているのは、思い切り体を伸ばし、動かし、エネルギーを大量に消費することなのだ。 そしてレイヴンはレイヴンで、思考することでやはり多大な──なけなしの──エネルギーを消...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2025.03.29 Sat 12:27
歯を抜く事になった。 昔のお侍ちゃんは切腹を命ぜられた際、腹を切る事になったと近親者に報告したとかしないとか、実際に見た訳ではないから何とも言えないが、切腹制度のない現代においては同じ程度の覚悟と言って差し支えないだろう。それほど下の親知らずは重い。また、わたくしだけではなく、連れも両親知らずの抜歯が決まっている。そちらは町の歯科医で手に余る可能性があるらしく、大病院に場を移しての手術である。理由としては、危ない神経が近いとか血管を傷つけた場合の大量出血など、聞くだに恐ろしいリスクが挙が...
記4 | 2025.03.27 Thu 00:00
JUGEMテーマ:小説/詩 暗い空間で、送出係から最後の指示を受ける。 「ここから先に出ると、重力がかかってきます。大きく下に引っ張られますが、人の手によって受け止められるはずなので地面と衝突する心配は基本ありません」 基本通りに事が運ぶよう祈りながら頷く。 「それと同時に強い光が照射され始めます。最初は目を閉じて、少しずつ開けていって下さい」 頷く。 「最初にやるべきは、肺の中に含まれている水を一気に外へ吐き出すこと。そうすれば、肺呼吸が可能になります」 教わ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2025.03.26 Wed 18:08
JUGEMテーマ:小説/詩 「すごいなあ、すごいなあ」ひとり感嘆の声を上げつづけるのはオリュクスだった。「この鳥さん、すごく速いよね。すいーって、すごくきれいに飛ぶよね」 「ああ……まあ、すごいけど、な」コスが注意深くながらも同意する。 「でもね、オリュクス」キオスが、その先でオリュクスが何を望むのかを予測しながら声をかける。「だからって君も、とはいかないよ」 「そういえば、ようこそ」オーストラリアツバメは変わらず8の字を描きながら思い出したように行...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2025.03.25 Tue 16:28
来月から大阪お手盛り利権カジノ誘致被災地置き去り未完成レガシー土壌汚染万博が始まる。わざわざチケットを買うのは癪だが旅費交通費及び無料券を貰えるなら何かのついでに行ってやっても宜しい。維新の会の合法チンピラ議員様がお金を出すからどうか訪れてくれと頼んでくるのであればそれもまた吝かではない。 本当のことを言うと、どのくらい惨憺たるものになっているのか実地で見てみたい。海水注入後わずか三日で根元を侵食された柱とか、メタンガスで爆発する透明なトイレとか、プレハブだらけで旧共産圏と協賛企業のパビ...
記4 | 2025.03.18 Tue 22:20
JUGEMテーマ:小説/詩 レイヴンは正直なところ、日が暮れた後はただちに、殻の自動浮揚推進機能をフルモードにして、もちろん収容籠を伴い安全に進みつつ、自分も素粒子状態と化して休養およびダメージ修復に移りたかった。 だがそれは、動物たちをきっちりと収容籠内に保護した状況でないと実施できないプランだ。 オリュクスをオーストラレーシアの夜の野に解き放ってレイヴンだけがぐっすり休むことなどできるはずもない。 そしてオリュクス。 この『天真爛漫でやんちゃな生...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2025.03.15 Sat 12:45
JUGEMテーマ:小説/詩 『絶筆。』 山は今日も、雪を残し、雲が流れる空に見守られ、 ”すがすがしい風が吹いていたあの日のように” Endingを迎える。 人の心の醜さと残虐さに、どれだけ心を痛めたのだろうかと 「世尊」の闘いを思う。 己の為に書く文はなく、 2019年に、再び、書くことを決意した時には、 『何日も悩んで』 ”人を傷つけないだろうか、それよりも、書くこと...
Jupiter〜夢を失わずに〜 | 2025.03.13 Thu 18:49
年下の知り合いが突如死んでしまい、一ヶ月くらい呆然というかぼんやり過ごしていた。 十年以上前に高校の同級生が家ごと自分を燃やしてしまった時も大層ショックを受けたが、それは死後一年経ってから友人つてに聞いたもので、どこか遠い土地の事件でも知ったような輪郭のはっきりしない死だった。今回の死について言えば、先週まで普通に喋っていた知り合いが今では彼岸の存在というものであって、目の前から攫われるのをなすすべもなく見送ったのに近い。衝撃から立ち直りつつある今ですら、どう受け止めて良いのか分からない...
記4 | 2025.03.08 Sat 02:24
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