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JUGEMテーマ:小説/詩 風が秋を伝える。 私達はもう1年近く闘い抜いた。 「私達はなぜ、こんなことになったのかを嘆くこともなく」 誰一人、疑問を持つこともなく、闘いは始まった。 「命とは永遠であり、生きているものを”生命”と言い、それ以外のあらゆる命はまた”命という宝”でもある」 去年11月に亡くなったハムスターの「むい」ちゃんを思い出す。 亡骸すら可愛くて、そのけなげな足が2本、揃えられ...
Jupiter〜夢を失わずに〜 | 2024.09.21 Sat 11:21
JUGEMテーマ:小説/詩 「とにかく、下りてみよう」レイヴンは誰にともなくそう言い、下降しはじめた。 「え」 「下りるって?」 「あれ、泳ぐの?」動物たちは一斉に質問した。 「いや、まだ水面近くにいるみたいだから」レイヴンは誰にともなく説明しながら下降を続けた。 「いるみたいって、誰が」コスが質問を続ける。 「ほら、彼がさ」レイヴンは触手で下の海水面を示した。 そこには確かに、さっき皆を呑み込もうとして、次にむせ込んで、さらに次に皆を吐き出したあので...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2024.09.20 Fri 23:02
JUGEMテーマ:小説/詩 レイヴンは生まれてこの方初めてなほど、触手に全エネルギーを注ぎ入れた。幸いエネルギーの素となる分子は海水中から無限に取り込める。生成する端から各触手に送り込み、各細胞で燃焼させた。 サブ触手の数本をワタリアホウドリに巻きつけまた収容籠をしっかりと抱き、メイン触手をクジラの口端まで伸ばして出口付近の歯──というか髭のようだが──を掴む。 「レイヴン!」 「がんばれ!」 「すごい、ぼくも手伝う」収容籠の中の動物たちが激励(と多少のわがま...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2024.09.14 Sat 12:05
「夜っぽい曲」 「夜っぽいねえ。夏っぽいし」 「夏の夜だね」 続編的なの17000→18500字。いったん停止。 「夜に」新作8000→7500字で完。謎だったけど主催者さんには好評だったようで一安心。 某企画参加原稿2800字完。「書けるよってひといいね下さい」のツイートにダメもとでいいねしたらお声掛けいただけて舞い上がってしまった。たぶん近日中にお知らせできるはず。 人称について。最近は一人称で書いてから三人称限定に変更というパターンが多いんだけど、「夜に」新作では形式上一人称のままとした。一人称→三人...
水平線上の雨 | 2024.09.03 Tue 20:38
JUGEMテーマ:小説/詩 月は新月。闘技場を取り囲む松明が闇に向かいジリジリと牙を剥く。観客はいない。これは極秘裏に行われる、ダークイベントだ。 「ではこれよりユウヤ対ヒロトの竜脂炎闘試合を行う」宣言するのは固そうな木の杖をつく白髭の老人だ。「無制限一本勝負、始めッ」 俺の名はユウヤ。年齢三十一歳、独身。身長百七十センチ、体重九十八・五キロ。BMI値三十四。臍のラインに浮き輪肉がたんまりついている。上腕の下にも首の周囲にも豊富に蓄えがある。 対峙するヒロ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2024.09.01 Sun 13:30
JUGEMテーマ:小説/詩 ゲラダヒヒの捕獲は『失敗』に終わった、と、ルルーはついに判断を下した。 彼奴らは誰かに入れ知恵でもされているのだろうか? 「タイム・クルセイダーズがこの当たりをうろついている間は、決して岩陰から表には出るな。ひたすら逃亡および隠棲を優先せよ」と。 不意に視界の中へ真っ赤な体色の生き物が映り込んできた。 はっと身構える。 シラガエボシドリだ。鳥はルルーに見向きもせず、再び彼の視界の外へ飛び去って行った。 ──なんだ、おど...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2024.08.30 Fri 21:42
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