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波の回廊 24

    権蔵は道路工事の音を聞きながら、ゆっくりと歩いていた。 地震直後にあった道路脇のたくさんの瓦礫は取り除かれ、あたりは平坦になりつつあったが、海から離れた陸地の奥に、漁船がまだひっくり返ったままで腹を見せていた。 「俺にことわりもしねえで、船をあんな所まで持っていきやがって」 権蔵の後ろで声がした。 振り返ると、頬がこけ、眼窩がくぼんだ細枝のような男がいた。 子どものような背丈で、腰が曲がり、杖をついている。相当な歳だ。九十は過ぎているだろう。 「じいさんの船か...

 at dawn | 2018.02.17 Sat 11:14

単発ブログエッセイ「ハッスルばあちゃん伝説〜年寄りもブームには目がないのであーる〜」

母方の祖母(通称、ハッスルばあちゃん)が亡くなってから、早くも今日で2ヶ月が経ちました。 何だか、未だに信じられないような気がしますが、ハッスルばあちゃんのエピソードは沢山ありますので、知られざるハッスルばあちゃんの素顔を、毎月1回はお届けしていこうと思います。 では、こちらをご覧ください。 〈ハッスルばあちゃんは、とにかく気が若い人であり、その時々の流行に敏感な人だった。 とりわけ、一時代を象徴するほどのブームになった人や物を直に見たいという好奇心が人一倍強かったようで、“なんちゃっておじ...

素晴らしき出会いに…乾杯!!〜良き人・良き物・良き話〜 | 2018.02.16 Fri 16:49

波の回廊 23

    信子と同じ町内に、ひとり暮らしのばあさんがいた。 おせっかいにも、信子に会うたびに同じことを忠告してくる。 小さいうちは人ごみに連れて行っちゃダメだと盛んにいうが、信子はお構いなしに佑子を連れ歩き、デパートに行っては子ども服をたくさん買った。 「まあ、かわいい!」 こういわれるのは毎度のことで、「若いステキなおばあちゃまに、かわいいお嬢ちゃん。まるで映画のワンシーンみたいね」と、大声でいわれたときには、まわりの人も足を止め、そうだそうだといわんばかりに笑顔を向け...

 at dawn | 2018.02.16 Fri 08:46

波の回廊 22

    その晩、信子が店に出ると客の入りが少なかった。 にっぱちといって二月と八月は商売が低迷するが、信子の店も少なからず影響を受けていた。 女の子たちは、オシボリをたたみ直し、それが終わると自分の手帳をひらきながら、さて誰に電話しようかと、客選びにかかっていた。 左官屋の金村良治は、ここのところずっと店に来ていない。電話してみようかと信子は思ったが、また前のように心を持っていかれてはたまらない。信子は受話器を置いた。 今月四十二歳になった信子は、女として枯れるにはまだ早...

 at dawn | 2018.02.15 Thu 11:00

バレンタインサブリミナル

チョコレートが食べたい。 だってもう、なんかどこでもチョコチョコしか言ってないじゃない! チョコレートが食べたい。 口の中で頬張れば、体温でじわっと溶けていくチョコ。 かみ砕いて、口中で味わうのもいいし、じっくりなめきってしまうのもいい。 もう、チョコレートが食べたい。 ここまでチョコレートが食べたくなってくると、ちょっとやそっとのチョコレートじゃ物足りなくなってくる。 そう、今、自分が一番欲している、最高のチョコレートが食べたいのだ。 食べた後に、「あ〜これじゃないんだよな...

未消化排出物 | 2018.02.14 Wed 23:40

波の回廊 21

    一歳三ヶ月の佑子は、水が怖いのか、湯船に足がつかるとバッと信子に抱きついてくる。 小さな椅子に座らせて体を洗い、洗い終わって自分の前に立たせたとき、信子は、亡くなった佑子の母親をあわれに思った。 「あのさぁ」 幸一が風呂の外から声をかけた。 「あした、みんなで昼めしを食べにいこうよ。俺がおごるから」 幸一は機嫌を直してくれたようだ。 「悪いけど先に寝る。オレ疲れたから」 幸一の影がドアのすりガラスから消えた。 風呂からあがって、佑子にパジャマを着せてリビ...

 at dawn | 2018.02.14 Wed 09:05

いないいない

 終電に揺られ最寄り駅で下車する。徒歩二十分の条件で選んだアパートまで、実質三十分かかる。玄関のドアに到達する頃には午前一時を回ってしまう。真新しい家の建ち並ぶ住宅街の一角、すべてが耳をひそめるなかで鍵をさしこんで回す。かちゃん、と音がしたたり落ち、夜に波紋が広がる。  静かにドアを閉め、鍵をかけて靴を脱ぐ。寝室の戸をそっと開けると、隙間から布団が三枚敷かれているのが見える。真ん中のかけ布団が大きくずれていた。私は部屋に忍びこみ、冷たい布団を掴むと本来の位置まで戻す。  リビングに向かう。テ...

水平線上の雨 | 2018.02.13 Tue 20:59

波の回廊 16

    佐伯支店長は、高橋幸一さんがそちらへ行く予定はあるのか、昔からの付き合いですかなどと訊いてきたという。 「中学の同級生だったということは、いったよ。津波で住むところが無くなったし、働き口も探さなければならないから、当分俺のところにいる予定ですといっておいたが、誰にきかれても、それでいいんだったよな?」 「ああ、ありがとう。その人は奥尻支店の支店長だよ。会社で生き残ったのが俺ひとりだろ。だから、預金をほかのところに持っていかれるんじゃないかと気にしているんだ」 「ふう...

 at dawn | 2018.02.09 Fri 10:12

波の回廊 15

    早く安全なところにカネを預けたい。 幸一は生まれて初めて、カネを持ち歩く怖さを知った。 だが、銀行にしろ郵便局にしろ、新しく口座をつくるには本人確認を求められる。 奥尻島の運転免許証で都内に口座を開くことができるだろうか。大量のカネを預けて怪しまれやしないか。 今度は、カネを手に入れるための心配ではなく、カネを手放すための心配が頭をもたげてきた。   翌朝、十時にチェックアウトした幸一は、新潟の母親に電話した。 口座番号を訊き、大手銀行の支店から三千万...

 at dawn | 2018.02.08 Thu 09:42

波の回廊 14

    客が一億を超える現金をそのまま持って帰るなど、都銀ならあるかもしれないが、檜山信用金庫にとっては初めての出来事だという。 高山はこれから函館空港に向かうという幸一の安全を気遣い、役員専用車を出して幸一を空港まで送るよう総務課長に命じた。 「東京で支払いが済んだあとで、もし、わたくしどもでお役にたつことがあれば、いつでもご連絡ください」 高山は車のドアをしめて幸一を見送ってくれたが、いつまた引き返せと自動車電話でいってくるのではないかと、幸一は気が気ではなかった。 ...

 at dawn | 2018.02.07 Wed 09:39

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