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あと二日で体育祭という今日、ようやく衣装も出来上がったと御子柴さんからお知らせを頂いた。 「凄い数だったけど、間に合うもんだね〜。手芸部の人って、すごいな」 類が感心したように言う。 真面目に毎日手伝いに行ってた類曰く、最後辺り、お手伝い連中のいい加減な縫い目や飾りの縫い付けの適当なものは、手芸部員が片っ端から直しを入れて、鬼気迫るものがあったらしい。 「あいつら、プロだから」 要が笑う。 そうなんだよね。ステファノ祭のバザーの出品物も、手芸部の作...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.11.23 Sat 09:24
教室に戻って教科書を取ると、僕は生徒会室に向かう。 こんな気分のまま廉に会いたくなくて、思わずゆっくりとした足取りになってしまう。待たせてるのに。 思わずため息をついた僕は、よし!と声を入れて気合を入れ直すと、小走りに生徒会室へ続く廊下を進んだ。 「おまたせ! ごめんね、遅くなって」 勢いよく扉を開けると、廉と、渕上さんの姿が目に入った。 「渕上会長…」 「おかえり、いばら姫。僕はもう会長じゃないって云っただろ?」 いつものきらきら笑顔...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.11.22 Fri 08:54
「馨」 イヤホンをしたまま、いつのまにかうとうとしていたらしい。 突っ伏していた机から顔を上げると、目の前に廉がいた。 「――痕ついてる」 イヤホンのコードを下敷きにしていたのか、頬についたらしいコードの痕を、廉が笑って指でなぞる。 「うん…」 ぼうっとした頭のまま答えて、伸びとあくびをいっぺんにする。 放課後の生徒会室。北側の大きな窓は年代物の上げ下げ窓で、白く塗られたペンキは所々はがれていて、開け閉めはギシギシいうし、密閉性は低いし、鍵は真鍮...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.11.21 Thu 12:56
「どうする? 馨」 廉が、途中で立ち止まってしまった僕に、笑いを含んだ声で訊いてくる。 ――自分が行きたいっておいてなんだけど、やっぱ無理。ちょっと涙目で、廉を見上げた僕に、廉が笑い出す。 「そんな悲壮な顏しなくても…。俺が気になってる店でもいい?」 可笑しそうにそう云った。 クサいとは聞いてたけど、…これって食べ物の匂いなの? それに外から見てわかるお店の感じがなんとも。 古いとかボロいのとかは割と嫌いじゃないというか、好きな方だと...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.11.13 Wed 23:24
翌日、本条が先に僕の家に来ていた慎一と河野と、僕を迎えに来た。 車寄せに停められたのは、黒のリムジン。慎一がちょっと嫌そうな顔をした。 車から降りてきた本条が、見送りに出てきた母たちに丁寧に挨拶をする。 いつもより少し気合の入った髪型で、ふんわりした可愛らしいワンピース姿の麗は、朝から、おかしくない? 可愛い?と賑やかだったけど、今は借りてきた猫状態。でも、先に来ていた二人を見た時より絶対テンション上がってるよね。 本条は白いボタンダウンのシャツに、薄手のジャケ...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.10.31 Thu 09:15
今年のGWはあまり良いカレンダーではなく、連休は2つに分かれる形になった。 前半の連休に帰省する予定だった僕に合わせて、本条はその3連休の中日に鎌倉の別荘へ連れていってくれると約束してくれた。 そのことを廉に話すのは躊躇われた。だけど誰にも言わずに内緒で行くというのも、なんだか気が重くて、僕は慎一にはその話を打ち明けた。放課後、茶道部の部活が終わってからこっそりと。 「本条を勧めたのは僕だけど、いきなり彼の家に行くのはどうなんだろうね…。それも一人で」 ...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.10.30 Wed 09:03
それ以来僕は、毎夜、朝まで眠り続けた。 夜半に目覚めることもなく、泥のように、深く沈み込むように。 そうして、劣化した8?フィルムのような映像を見せられ続ける。音のないその映像を、ただ延々と途切れることなく。 音はないのに、その映像の中の人物が何をしゃべっているのかも、どんな音がしてるのかも、匂いも、味も、何もかもわかった。 そうやって、意識の中に流れ込んでくる、カヲルの記憶。 頭の中の奥にある記憶の引出しから、勝手に溢れ出して、僕の記憶を押しやってしまいそう...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.10.29 Tue 12:45
「おはよう」 次の日の朝。僕は初めて2年3組の教室に入った。 「おはよう、茨木。もう大丈夫なのか?」 新しいクラスメイト達が、集まってきた。 「うん。心配かけてごめんね。ただの寝不足だよ。いっぱい寝たから大丈夫」 笑って答える僕に、それでも、無理するなよ。とみんな心配してくれる。 「おはよう、馨」 奥にいた、慎一が声を掛けてくる。 「おはよう、慎一。昨日はごめんね」 「謝らなくていいよ。それより、こっち」 慎一は僕の手を引いた。 「馨...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.10.28 Mon 08:40
遠い――。遠くに、月が見える。 ああ、月は遠いところにあるものだ。それは分かってる。 円い夜空に、円い月が浮かんでる。 淡い光は、青く、冷たくて、吐く息が白く揺らめくその向こう。 遠い、月が見える。 ――…る、…。 昏い奥底に沈み込んだ意識に、かすかに届く、声。 この声は――、…さん――? 「馨、…馨」 目を開けると、見慣れた、顏。 「廉…?」 「おはよう、馨。&he...
サバクノバラトウミノホシ。 | 2019.10.27 Sun 11:49
お久しぶりです! Rinkです、みなさま元気におすごしでしょうか? 事後報告になってしまいましたが 2019年10月6日(日)秋のJ・GARDEN参加してきました。 当日のお品書きはこんな感じでした。 相変らずのデッド入稿でとうとう前日の土曜日に入稿して、日曜日会場納品でした(汗) ですのでお知らせも無く、終わったよ報告大変失礼いたします。 隣接はいつもの相方 BL風味のさくらんぼ 柚子季さん! 彼女といっしょだと一人スペースも安心していられ...
時の過ぎ行くまま(Rink's Cafe別館) | 2019.10.08 Tue 08:46
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