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設計業界に立ち戻り、資格をとって独立開業したのは26歳の時でした。今から思えばただただ無鉄砲なだけで、なんの根拠もなく始めたので仕事なんかありませんでした。学生時代のオープンデスク制度の伝手でわずかばかりの下請け仕事をいただきながら始まりましたが、この時一生のおつきあいになる大恩人に出会いました。私がスーパーゼネコンの巨大コンペチームの中で仕事をさせていただいた時にサブチーフのような仕事をさせていただいていた時の上司で、その後鬼籍にはいられる一昨年までずっと、業界の兄のような存在のH氏です。...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.08.04 Fri 05:59
私はもう40年も前に母校を卒業して、まずは京都の社寺建築専門の会社の設計部に入社しました。青臭い志だったかもしれませんが、どうせやるなら最高峰の仕事がしたいとその道を選んだのです。職人さんではなく設計部社員の採用でしたから、もちろんデスクワークの製図作業でしたが、京都特有の風土で、しばしば丁稚(でっち)さんと呼ばれて鍛えられました。ただ、日々を重ねると悶々とするものが自分の中に湧いてきて先輩に相談すると「お前は器用すぎるから、向いていないかもしれまい。今もの(現代調の建築)に変えた方が良いかも...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.08.03 Thu 07:50
今、福岡城址のお濠の蓮が盛りを迎えています。先日、たまたま知人があげたインスタの記事を見てふと思い立ち移動中に立ち寄って少し眺めていたのですが、時間を忘れて見入ってしまうほどの美しい蓮の花はなんとも神々しく、昔から仏様ごとに常に引用されるのもよくわかるなぁと思いました。泥池からむくむくと茎を1m以上も伸ばして天を仰ぎ咲くその姿を実際に目の当たりにしてみると、この花のスケール感がとても大きく、人の顔ほどもあるのに驚きます。 これまでずっと私は住まいづくりをしてきて、たくさんの、本当にたく...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.08.02 Wed 07:24
社会体制や経済が乱気流のように不確実なものになってきて、えも言われぬ個人に感じる浮遊感の中で、これからこの街並みがどのように変わっていくのだろうかと思うことがあります。カオスがさらに極まりゆくのか、それとも個人が自意識に目覚め始めて独自のフラットなコミュニティーがアメーバ状に広がりを見せていって、そのことが町並みに個性を生み始めるのだろうかとか、想像はつきません。いずれにしても、この国らしい風景はいずれどこかで再構築されるべきかもしれません。現時点からでも、少しでも周辺の景観に貢献するよう...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.08.01 Tue 06:27
罪作りなのは、誰も悪気がないことです。住まい手本人であったり、住宅メーカーの営業の方だったり、あるいは大工さんだったりが、俯瞰的な視点とは全く無関係に外観を定めていく結果として、無秩序な街並みができてくる。そんな感じです。そこに一定レベルの俯瞰的デザインという視点でのセオリーや秩序が意識されれば良いのですが、ここがほぼほぼないのが現状かと思います。私が住まいの外観を定めていく場合は、周辺環境の素材やカラーを一旦リサーチして、その素材の中に、もう一つ何かを加えるときに、違和感がないように、馴...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.07.30 Sun 07:57
この国の風景が、今のような羅列に変わり果てたのは、戦後の復興期のスクラップアンドビルドの頃からのものではないかという想像は容易につきます。それがそのまま、実に今まで続いているわけです。基本的には一般に広く作り続けられている量産住宅の寿命は2〜30年程度と言われていますから、脈絡なく無秩序に作り続けられ、また壊し続けられ、してくれば、歴史的要因や、地理風土的な要因も無くなってしまうのは自明のことかもしれません。ましてや、軽々に「お隣さんの壁は白だから、こっちは目立つようにダーク色で」...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.07.29 Sat 06:27
例えば、住宅街の風景を見ても、和風の設のものがあったり、住宅メーカーのサイディングのものがあったり色も素材もまちまちだし、形もまたまちまちです。なんとなく偶発的に羅列されたそこには秩序などというものはなく、ただただバラバラのものを並べたという見え方しかしない。その上電柱と電線がつい直でも水平でもないラインを引きまくっていますから、まとまりも感じられません。〇〇風の羅列ですから、そこには歴史的背景も地理的要素もほとんどないといった感じでしょうか。自由気ままにここまで乱立していますから、そ...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.07.28 Fri 11:54
良く、海外へ旅行などされたあとに、この国の街並みについて嘆くつぶやきをされる方は少なくありません。確かに、無秩序に電柱が立っていて、張り巡らされた電線は蜘蛛の巣のようにカオスで、法則性の見つからない要素にどこでシャッターを切っても、なんとなく写真映えしない風景があるのも事実です。かく言う私も拙い経験値で比較しても、やっぱり絵になる街並みというのが少なくて、どうしてこうなんだろうと思うことも少なくありません。特に、戦後の復興以降スクラップアンドビルドで形成されてきた住宅街は、その中でも抜きん...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.07.27 Thu 06:56
バブルの惰性のような数十年間とは裏腹に、定住しないNOMADOと呼ばれるライフスタイルが取り上げられたり、近年、タイニーハウスという極めてミニマルな居住空間の家が脚光を浴びたり、暮らしのありようもごくありふれたステイルブックをなぞるようなものとは別の脈絡が育まれているのも事実ではないかなと思います。ここは一旦固定概念を全て捨てて、自分の暮らしに一番何が大切なのかという原点に立ち返り、広さや立地や間取りといったものをゼロベースで再構築し、個人として固有の着地点を見出していく時なのかもしれないなと思...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.07.26 Wed 06:49
おそらくは、時流に乗り、バタバタと年相応の時期が来たから皆がそうしているからと、なんとなくの雰囲気で住まいづくりをするというような時代はもうとうの昔に終わっているのかもしれません。人が生涯で返済できる借財で、誰もが判で押したようにすまいづくりをする時代も、すでに違う気もします。以前お伺いしたお話で出典が定かではないですが、ドイツでは家を建てると子供がリノベして暮らし、孫はヨットを買うという諺があると聞いたことがあります。すなわち、住まいはそれほど長く使うものだから、ひと世代ごとが毎度毎度住...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2023.07.25 Tue 07:20
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