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卒じながら、私のゴールデンウィークは、声を失った一週間だった。原因はよくわからないが、突然ある晩から出なくなり、予定されていたお打ち合わせなど散々なもので、関係者の皆さんには大変なご迷惑をお掛けしてしまいました。今は大分戻り、意思疎通は普通にできるようになりました。夏風邪の最終段階だったのかもしれませんが、熱もなく、体は元気なのに声だけは悲惨でご心配をお掛けしたこと、反省しております。日頃は録音されている自らの声を聞き、これが自分の声かとぎょっとすることも多く、同じような方が多いと聞...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.08 Sun 07:32
社会の価値観が、何もかも貨幣経済という物差しを使うようになってしまって久しいですが、近年いよいよ極まって、それと共に人間の心の内がどんどん刺々しくなってしまっていくのは、そんなことも起因しているのではないかとよく思います。私がいう丁寧な時の流れというものは、まさにそれはそういう物差しとは真逆の価値観なのかもしれません。時間の流れは常に平等ですが、何を思いながら何を見てどう過ごすかによってその豊かさが全く違ってくるように思います。住まいはそういう豊かさを演出する器でありたいと思います。 ...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.07 Sat 07:27
時間がゆっくり流れるということは、感覚的な言い方になってしまいますが、時間が丁寧に流れていくという言い方もできるかもしれません。例えば、食事というシーンを考えても、真逆なのは、お湯を注いだら3分とかいう即席麺を場所も構わずそのまま食べるというようなものから、気持ちの良いダイニングに無垢の木のテーブルと椅子が置いてあったりして、さてここで食事となれば、テープルセッティングはどうしよう、照明はとなり、器はどうしよう、BGMはと、どんどん想像力が膨らんでいき、質が向上していくような設えが住まいとして...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.06 Fri 07:20
空間の持つ力として、住まい手の心身を安心の方向へ導くことができると私は思います。いわゆる人間工学的な汎用性については当たり前のことですが、それに加えてその住まい手特有の部分に関しては、かなり密に詰めていく必要があります。私はよく、住まい手のなかにサウスポーの方がいらっしゃるかどうかを尋ねることがありますが、利き腕がどちらかということだけでも、想定できる動きやすい起居動作も変わってくるからです。その辺りは決して、概論的なレベルではカバーできない安心の要素と言えます。 そして、機能だけでも...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.05 Thu 07:36
私の拙い30年余りの仕事の中でも、さまざまなご家族の暮らしを見つめてまいりましたが、まあそのありようは三者三様、一つとして同じものは存在しません。例えば国民的家族の象徴のようなサザエさん一家のようなご家族などというものは現実には存在しません。皆さんなんらかの歪な要素を抱えながら、日々折り合いをつけながら暮らされている。住まい創りを生業としている私としてできることがあるとすれば、その歪みというか個性というか、そのご家族固有の要素を少しでも汲み取り、ご家族ひとりひとりが、ストレスなく、そしてこれ...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.04 Wed 07:02
私事ですが、私は珈琲が何より好きで、好きというよりは既に私のどこか一部のようになっていて、一日の始まりはその日の分の珈琲を豆を弾き、ドリップし、ポット一つを満たすことから始まるという毎日を送っています。15歳で実家を離れ、寮生活を始めやがて学校のそばの農家の離れに下宿した青春時代、とあるジャズ喫茶のマスターご夫妻に子供のように可愛がっていただきながら、ジャズと珈琲を地肉にしながら大人になっていった経緯があります。15歳の少年に世間様はとても温かく、良いことも悪いことも(笑)全てそこで教えていただ...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.03 Tue 07:34
好天に恵まれた日に、直方市のK邸のファサードの撮影に行ってきました。長閑な田園風景の中に、もともと休耕田だった細長い敷地を持つK邸は、その敷地形状に合わせて間口5M余りの細長い平面形態を持つ住まいです。ご夫妻とこれから誕生する子供さんのための33坪。ご主人の地元である彼の地での土地探しからご相談をいただき、この土地の話が始まった時には、「細長い土地だが本当に建つのか?」という問いから始まりましたが、弊社の事例ではもっと狭隘な場所でも企画実現していますので、ご安心くださいという回答から、企画が...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.02 Mon 20:26
近年の高性能住宅ブームで少しばかり危惧するのは、ネット媒体の加速度的な波及効果と裏腹に、住まい創りの取りこぼしてはいけない部分がポロポロと案外ぞんざいに扱われていないかという部分なのです。住まいは、住まい手にとって何より優しくなければなりません。たとえぱ声高に、「こんな超高性能!」と掻い摘んだ数値のみを誇らしげに喧伝したとして、それ以外のことは一切わからないわけで、この混乱の中、これからは、「優しくない高性能」すらできてしまいそうな勢いだから、私などはどうしてもブレーキを踏むような発言を繰り...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.02 Mon 07:21
あの窓辺に行けたら〇〇ちゃん喜ぶ。お打ち合わせの中の、そんなご家族の言葉から生まれた猫トンネル。このトンネルをくぐると、キャットウォークが吹き抜けの上の窓辺まて続きます。 K邸は、家族同然の猫ちゃんと暮らすことを前提として計画された住まいです。飛び出し防止の玄関のしつらえや、階段下のトイレなどなど、さまざまな部分でその存在がいろいろな要因として住まいづくりに織り込まれてきました。ご家族同様、この住まいを楽しんでほしい。そんな設えのひとつです。カスタムオーダーだからこそ出来るのが、こういう部...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.01 Sun 18:14
以前にも少し書きましたが、かつて一軒の住宅があった敷地。と言ってもそれほど大邸宅でもない普通の郊外の一戸建てでしたが、そのの既存住宅を、あっという間に壊したかと思うと、土地はいきなり西面道路側から三分割されて、三軒の住宅が今にも軒先がくっつきそうな状態で建ち始めたかと思うと、瞬く間に出来上がりました。そして幟旗が上がり分譲が始まったのです。人様のお仕事に何か言ってはいけないのかもしれませんが、西面しか解放されず南北は隣棟間隔がほとんどない配置は、外部から拝察しても熱的にとても厳しい状況が見...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.05.01 Sun 07:29
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