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個人と家族と社会。住まいは…。5

 例えば、今の私の暮らしなどは、コロナ前とほとんど変化がありません。社会との関わりもそれほど濃くないし、通勤も元々なく、自分の仕事場と自宅との往復は徒歩で数分です。自分の仕事場は全て私の息のかかったもので埋め尽くされ、私に仕事を依頼してくださる方たちと、そしてその仕事を実現するためのお仲間というコアな人間関係の中に暮らしています。元々一般的な方よりも孤独で過ごすことが多いスタイルですし、だから変わらないのです。しばらくは、それが普通だと思っていました。がしかし、コロナ禍が長期化し、さまざまな...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.03.08 Tue 07:33

個人と家族と社会。住まいは…。4

 色々な状況をみても、社会不安やパニックは社会を何となく全体主義的な方向へ導き、「一個人」というものを蔑ろにする方向へ引っ張られてしまいます。個人同士でも知らず知らずのうちに同調圧力を生み、いよいよ閉塞感が増していきます。歴史を振り返ると、この国の人々はその傾向が強いのかもしれません。島国で、自他を意識するために基点とする「個人」というものをあまり考えずに暮らせて来れた幸せもあるかもしれませんが、逆に一度全体主義に走ると思考停止に陥り暴走する傾向は否めません。お話ししてきたように、コロナ禍で...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.03.07 Mon 07:19

個人と家族と社会。住まいは…。3

 私たちを刺激するあらゆる情報ソースもカオスなら、場所で切り変えてきた身分や肩書き、立場ですら渾然一体として住まい中に入り込んでしまい、心身ともにカオスの中に首までどっぷりと浸かってしまった感のある私たちの暮らしは、いよいよ「安らがない」状況になってしまっています。 ここをどう考えて住まいづくりをしていくかが一つの課題としてあると思います。コワーキングスペースや、ブース的な書斎空間などが最近の間取りには出てきていますが、限りある住まい空間の中で、いかにバブリックを集約して他と区別するかとい...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.03.06 Sun 07:29

個人と家族と社会。住まいは…。2

 コロナから始まったここ数年のパニック的な社会状況は、人と人とのコミュニケーションを分断し、一人一人の個人というものをとかく孤立しがちな方向へ導く傾向があるように思います。また、それとは真逆に、この分断を補おうと急速に進んだメディア媒体とSNSなどを通じたヴァーチャルコミュニケーションが、外部から徐々にではなく、いきなり個々の手元のスマホからダイレクトに個人を刺激しリアルに置き換わるという、何とも裏腹なことが同時に起こっていて、私たちは戸惑いを隠しきれない状態にあるとは言えないでしょうか。リアル...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.03.05 Sat 07:17

個人と家族と社会。住まいは…。1

 いよいよコロナ禍はなす術もなく、行政は蔓延防止を緩める方向へ舵を切るようですね。未だ減少傾向とは言ってもかなりの死者も出ていますし、何らかの対策は継続して然るべきなのですが、検査は抑制する、社会保障はできるだけしないを徹底しているようです。私などは「自主ロックダウン」などと嘯きながら、個人営業のいつもの仕事場で机にしがみついている日々ですから、まあこれまでとあまり変わりがない暮らしなのですが、もっともっと社会インフラに我が身を委ねている方や、組織の一員として働かれている方達には、そういう社...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.03.04 Fri 07:16

ほんとうの暮らしをとり戻すための住まい創り 5

 今の流行も含めて、ネット情報というものが大きく影響していることは間違いないのですが、ネット情報の危うさは、情報ソースがどこから来たのかわからないことで、良し悪しは完全に個人の判断に委ねられるカオスな世界であることと、受動体である私たち一人一人の個人が、そのヴァーチャル空間の中でほとんどフィルターも解さずダイレクトにつながってしまっている事だと思います。簡単で早い、調べ物やちょっとした学びには、まさにコンビニのような手軽さがある最適なツールではありますが、果たしてそれが正しい知識で、適切な情...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.03.03 Thu 07:13

ほんとうの暮らしをとり戻すための住まい創り 4

 どのご家族もそれぞれ個性があり、社会との関わり方や一人一人のキャラクターの関わり方にも特徴があります。結構な数のご家族たちと住まいづくりを、七転八倒しながらしてきましたが、そこには二つとして同じものはありません。また、絵に描いたような標準というものも私はないと考えています。そのご家族が、しっくりと豊かに暮らすための住まいですから、私は二つとして同じものはなくて良いと思うのですが、あまりにも軽々に、コンビニで何か間に合わせのものを買うような住まいづくりが、今もって大半だということに関しては残...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.03.02 Wed 07:16

ほんとうの暮らしをとり戻すための住まい創り 3

 そこへ来て、このところの高性能住宅ブームです。もしかするとそれが、私が今綴った住まいづくりのパターンの結末から、逃れるための「特効薬」のように感じている方も少なくないのかもしれません。しかし、長年、高性能住宅と言われる範疇の住まい創りをしてきている私はそうは思いません。どうも期待しすぎな感じがします。あまり期待しすぎて、その言葉に身を任せすぎるのは、思考停止してこれまでのように既成住宅を簡単に買うこととあまり変わりがないことだと思いませんか ? 勿論、これからの住まいづくりでは高性能化は必須条...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.03.01 Tue 07:30

ほんとうの暮らしをとり戻すための住まい創り 2

 戦後の住まいづくりは、数の上ではほぼ大手ハウスメーカーが主導して、国もそれをバックアップして、行政システムも金融も全てここを起点に進んできた感があります。もちろんそれが全て悪いと言っているわけではありません。戦後の慢性的な住宅難に数を量産するために、右肩上がりの経済の最中、不安のない未来に向けて個人が長期のローンを組みながら、国民が元気よく戸建て住宅を建てて豊かになっていく様は、むしろ逞しくもあったと言えるかもしれないです。ただ、時はそれから随分何十年も経ちました。少子高齢化で人口は減り続...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.02.28 Mon 07:16

住まい創り屋の「戦争反対」2

 私はウラジミール・プーチンという方のことをよく知りません。お恥ずかしながら、ウクライナという遠い国のこともよく存じ上げません。こういう情勢になって初めて地図を見たり、記事を読んだりするのですが、突然のロシア侵攻という戦争状態に、彼の地に暮らされている方達の惨状は想像できます。戦争というものはそういうものです。私たちが子供の頃は、まだ先の戦争経験者がたくさんいて、空襲に逃げ惑う夜の話しや、食べ物に苦労した話し、発狂した権力の強権の有様を懇々と語ってくれたものでした。そして必ず誰しも、「どんな...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.02.27 Sun 23:07

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